35歳になりました。

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当日になり、千佳と現地で待ち合わせた。会場は某ホテルの小広間だった。男性は35歳〜50歳、女性は30歳〜45歳が参加対象だという。男性も女性も会員には厳しい審査があり、今は男性でも女性に対するある程度の収入を求める傾向がある。 もちろん、そんなこと気にしない男性も一定数いるが、仕事をしている女性の方が好ましく思う男性が多くなっているらしい。 わたしは会費を払って受付を済ませると千佳と一緒にホールに足を踏み入れた。ちなみに今夜の男性陣は年収700万以上、が条件だそう。年収700万って自分で事業をしているか、それなりの役職でないと貰えない金額だ。 つまり、そういうハイステータスのメンズを集めた会、らしい。女性側の条件は年齢以外特に厳しくはないが、ザッとみたところ同年代が多そうだった。 「どうぞ、ウェルカムシャンパンです」 入ってすぐ、ウェイターからグラスをもらう。千佳とふたり乾杯をして喉を潤した。 「もっと気合いれてくるのかと思った」 「そう?これが戦闘服よ」 千佳は黒のノースリーブにベージュのタイトスカート、そして7センチのヒールだ。他の女性達はもう少し色取り取りの洋服を着ており、それに比べると地味である。 「そういう綾乃も似たようなものじゃない」 ネイビーの緩シャツにネイビー地の花柄のフレアスカート。今日は食べる予定なのでウエストゴムのものを物色してコレにした。 「まあね?ここだけ着飾ってもね」 「確かに」 まあ、集団面接よ。楽にいきましょう、なんて千佳子笑った。
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