【完結】拗らせ恋の紡ぎ方。

35歳になりました。

「どうだった？」

パーティー後、ホテルから出た途端、千佳子から本日の感想を訊ねられた。その目は少し心配そうにしている。

「……悪くなかったかな」

「え？！良い人いたの？！」

千佳子の表情が驚きから徐々に気色ばむ。

まさか本気でそんなことを思っているのだろうか。わたしは眉を潜めて彼女を見返した。

「さすが一流ホテルね。7000円も取るなら当たり前でしょ、これぐらい」

そう。15人×5分で面談して気になった人は後の自由時間でフリートーク。始めこそ少し緊張したし、良い人いないかな、なんて気持ちもあった。でも5人終わった時点でもう帰りたくなった。同じようなやりとりをあと10回もしないといけない。それと、第一声というか表情や視線で生理的に無理な人が続いたせいか、一気にやる気がなくなってしまった。

その結果、7000円も払ったんだから色気より食い気に走るわけ。元は取らなきゃ損した気分になるしね。この性格はきっとどれだけ年収が上がろうが変わらないと思っている。

千佳子はわたしの答えを聞いて「なーんだ」と残念そうに肩を落とした。そんな千佳子はわたしが食い気に走ってる最中、フリートーク中結構色んな人と話していたけど実際どうだったんだろう。