13318人が本棚に入れています
本棚に追加
というわけで玲ちゃんから聞いたことを実践してみた。初めはうまくいったわ。というか、ほぼ半分寝ていたから目を閉じたら寝てしまったのよね。いつもなら頑張って目を開けようとするんだけど、力尽きた、みたいな感じになった。
ビー太郎にも朝謝れば「大丈夫」って許してもらえたわ。でも、あまり使うと効力がなくなるからね。ちゃんと使うところを考えて使うわよ。
「綾乃。起きてるでしょ。バレてるから」
はて。いったいどういうことかしら。
まだ二回目よ。そんなにすぐバレちゃう?
「狸寝入り、バレてるって。口と鼻塞ぐよ」
ビー太郎は言ってすぐに鼻と口を塞いだ。口はキスだけど、鼻は手だ。もちろん苦しくて目を開けた。
「ひどい!」
「酷いのはどっちだよ」
ビー太郎、お怒りモード。裸で怒るってちょっとシュールだけど、ここは潔く謝るべきね。
「ごめんなさい。でも、もう疲れたの」
わたしだけが悪いんじゃないわ。
一度に三回はだめ!歳を考えてほしい!!
「せめて二回。それ以上はもう無理」
「……わかった」
ビー太郎が渋々了承してくれた。ホッとしたら「じゃあ、今日は終わり?」とそれでも諦めずおねだりしてくる。
……う、その顔、反則よ。
「ぎゅうってしたげるから許して」
ちょっと玲ちゃんパワーを頂くわ。
ビー太郎は一瞬目を丸くしたものの、素直にわたしに抱きついてきた。仕方ない、と言ってるらしい。
「そんな小賢しいことしなくていいから。ちゃんと言って」
下から見上げてきた彼は少し不服そうだ。俯けば待っていたように唇が触れる。
「……言っても聞かなかったじゃない」
「……綾乃もなんだかんだ言って楽しんでるのかと思ったんだよ」
リアルに通じてなかったのね。
「……楽しいけど、無理よ。限度があるのよ」
「それを超えたとき」
「超える必要ないわ」
そんなよく分からない挑戦なんて要らないわよ。いったい何を目指してるのよ、本当。
最初のコメントを投稿しよう!