拗らせ恋の紡ぎ方

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八月はなんといっても、ビー太郎の誕生日よ! すっごく気合を入れてお祝いをした。 食事は外食ではなくて、ビー太郎のリクエストに応えて作ったわ。 プレゼントはビー太郎に似合いそうなシャツを二枚買ったの。凄く喜んでくれて、わたし的には大成功よ。 だけどね。 ビー太郎には不満だったらしいの。 「一応、プロポーズには応えてくれたんだけど、まだサインもらってないんだよね」 ざわざわ、と周囲が騒つく中、ビー太郎はちょっと苦笑しながらマイクを持ったまま両手を組んで立っていた。 今日は十年目の四分の一が終わって、成績発表会よ。売上や目標達成率の結果を皆で共有した後、ビー太郎が総括ということで話していたんだけど。 「正月に婚姻届渡したのに、サインはまだ早いって言われて受注できてないんだよな。俺ね、これでもモテるんだよ?でもさ、すっごく弄ばれて焦らされてる」 ドッと笑う連中にどういうことか理解できないわたし。ビー太郎を焦らして弄ぶ女なんかこの世にいるはずないでしょーが!! 「ハハハ、いーじゃん。木下が弄ばれてるって愉快だナ」 「笑い事じゃないんだけど。いったいどうなんてるんだろね。ねえ、結城さん」
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