拗らせ恋の紡ぎ方

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ワァーッ!と湧き上がる大歓声と拍手の中、ビー太郎は涼しい顔でわたしの手を取ると歩き出した。 もちろん、元の位置だ。 つまり、皆の前なわけで。 「おめでとうございます!!」 「おめでとう!!」 あちこちから飛んでくる祝福の声に恥ずかしさを隠しながら笑みを浮かべる。きっと変な顔になっているはずだ。笑顔を浮かべたものの、すぐに唇を丸めながら若干俯き加減に歩いた。 「照れてる」 「うるさいわね!」 ビー太郎の手に力が篭る。顔を上げれば温かい目で手を叩く、九条くんと香月くんの姿があった。 「よかったナ〜。やっとだぜ、やっと。ずっと見守ってきたオレからすればすンげー長かった」 「香月は心配しすぎ。二人にはふたりのペースがある」 「ソーダケドサ。皆知ってるだろうけど、この二人、中学生の同級生でサ、その頃からお互い好きだったンだぜ?両片想いっつーの?」 ぎゃああああああ!!! なんてこと言ってくれんのーーーっ!!!! 「香月はただ、両片想いって言葉使いたかっただけだろ。バラされた結城さん、白目剥きそうになってる」 あああああ!! 言わないでーー!!! しかも、九条くんも香月くんもマイク持ってるからよく聞こえるのよ。通るのよ。 やめてくれよ。いじめかよ。 「拗らせすぎダ」 「ま、結果良ければいいだろ。まだ人生の半分はあるんだし」 「もう半分以上一緒にいるようなモンだしナ」
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