拗らせ恋の紡ぎ方

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ねぇ、ちょっと。 個人情報ダダ漏れじゃないの! この会社、Pマーク取得して、ISMS持ってるのに、いち個人のプライベートを漏洩させるって何事よ!ぷんぷんよ!! 「ンじゃあ、始めるか。皆よろしく」 香月くんと九条くんにいーーーっぱい文句言いたかったのに、香月くんの鶴の一声で皆動き出しちゃったのよ。 え?なにこれ。 どういうこと?? 「綾乃」 ぽかん、としているとビー太郎に手を引かれて何故かいつもの部屋に戻る。途中、「何をするの?」と聞いても「お楽しみ」と笑顔で切り捨てられた。ぐぬぬぬ。 「着替えて」 はい? 部屋に入れば、ビー太郎に紙袋を渡され。首を傾げながら仕方なく受け取れば、いつの間に準備をしていたのか、白いワンピースが入っていた。 これを着ろ、というらしい。 ビー太郎が部屋を出て行くのを見送って言われた通り着替えることにする。 ワンピースはとてもシンプルな白いワンピースで、背中にファスナーが付いていた。八割ぐらいあげたところで苦戦していると、江田さんと塩谷さんが現れて手伝ってくれた。 おまけに。 「可愛くしますよー」 「任せてくださいーー」 とか言い出して、ヨレヨレの化粧を直して髪もパパッと編み込んでアップスタイルにしてしまった。彼女達元々美容師なのよね。ただ、美容師業界も非常に厳しいのよ。そんな時に縁があって入ってくれたの。今じゃ凄く戦力よ。 「お待たせしましたー!」 「ありがとう」 「とんでもないです〜」 ふたりは隣の部屋で待っていたビー太郎に声をかけると慌てて出て行く。ビー太郎はビー太郎で二人きりになった途端、プライベートな顔を見せると尻尾をパタパタ振りながら近寄ってきた。 「うん。可愛い」 「……どうも」 「怒ってるの?」 怒ってる?って聞かれれば何に怒ってるのか、って聞かれるわよね。こんなの聞いてない!って言ったら。 「サプライズなのに言うわけないでしょ」 はい、でたー。 そりゃそうだ。 ビー太郎が嬉しそうに腕を差し出すからそのサプライズに乗ってあげることにするわ。これから何があるか、なんてちょっと怖いけど怖くないわ! 恥死する時はビー太郎も道連れよ。 ふふん。
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