拗らせ恋の紡ぎ方

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「職場も家も一緒ですがどうやって分けますか?」 「寝室は一緒ですか?」 「彼女の手料理で何が好きですか?」 もうテッパンの質問事項がズラーと並ぶわけよ。でもビー太郎はひとつずつ、真摯に答えるの。 全然ふざけないのよ。答えが真面目よ。 ただね。 「手料理?んー、鍋かな」 それはどうかと思うわ。 思わず睨みそうになったじゃない。 ギリギリで止めたけど絶対変な顔をしているはずよ。 「では、綾乃さん。木下さんに、これはやめてほしい!っていうことはありますか?」 うーん。そうね。 色々とあるけど、それほど本気じゃないのよね。 ただ、強いていうなら。 「二度寝に巻き込まないでほしいわね」 休日に朝起きて、洗濯したり掃除したりしたいのよ。でも、ビー太郎が「いいじゃん。あとでしよう。俺も手伝うし」っていつも離してくれないの。 「木下さん、二度寝に巻き込まないでほしい、と奥様からお願いがありましたが」 「無理だよね〜」 ビー太郎、笑って却下よ。 女子はキャッキャ言ってるし、九条くんは何故か全力で頷いているわ。 「では、木下さん。そんな綾乃さんに一言お願いします」 「んー。いつまでもちょっと変で可愛い綾乃でいてください」 もうね。 笑っていいのか、怒っていいのかわからないわよ。半分呆れてるわ。 「大好きなんですね」 「そりゃもう。二度寝に巻き込みたくなるほど好きですよ」 ビー太郎の「すごく大好き」口撃により、道連れ作戦は失敗。 ひとり恥死状態だった。
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