拗らせ恋の紡ぎ方

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質疑応答が終わったら、メインイベントが待っていた。なんと、ビー太郎は婚姻届を持ってきていたのだ。それを周囲に一度見せてから、演台に置くと、自分の胸ポケットからボールペンを取り出してわたしに差し出した。 「はい、かいて」 まさか、まさかのここでかよ! 周囲はきゃあきゃあ言ってるし、カメラが手元に寄るし、お祭り騒ぎよ。でも皆の前で言った手前、ここで書かないわけにはいかないし。 「あ、ミスっても大丈夫なように、一応もう二枚あります」 二枚も! 「一枚は九条と香月が証人になってくれました」 緊張しながら、のろのろと記入しているとビー太郎がしれっとマイクで話し始めた。 「綾乃なら一枚ぐらい間違えそうだから余分に書いてもらったって話をしたら、もう一枚必要じゃね?って言われてね。一枚は用意していたけど、まあ何があるか分からないから、急遽もう一枚取りにいって、さっき書いてもらった」 ミスらないわよ!そんなの!! 「ちなみにそれ言った奴誰?」 「香月」 おまえかーーい!! 思わず香月くんを睨んだら大爆笑されたわ。 しかも、そのせいでちょっと間違えたのよ。 なんとか誤魔化したけど、提出書類だし、ちゃんと書きたいよねってことでまた書くことに。 「ホント、結城チャン期待に応えてくれるよナ」 「結城さん昔から空気読むから」 「三枚間違えたらどーすンだ?」 「それ、フラグだからやめよ」 「結城さん、また空気読むから」 それ、話にならないから!!
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