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「一生言われるのよ。恥ずかしすぎる」
「いいじゃん。夫婦なんだし、誰も何も思わないよ」
ビー太郎はずっとニコニコ。
くそう。腹黒王子め。わたしで遊んで楽しんでるのだ。
「……本当、どこを好きになったのかしら」
披露宴でも、もう一度同じ質問をもらった。
でもね、何度考えてもやっぱり良い答えは出てこなかったの。
「気負わずにいられるところ、じゃないの?」
ビー太郎が訊ねながらわたしの服を脱がしにかかる。今夜は初夜だ(ウキウキ)、とか言ってたけど、考えてみれば初夜も前夜も無いに等しいのよね。婚姻届は三ヶ月も前に出したし、この年で初々しさなんてものもないし。
「そうだけど」
「俺も綾乃の前だと気負わずにいられるから楽だよ」
「……あと、あれよ。雅は色々ぶっちゃけすぎ」
「いーじゃん。本当のことだし」
ビー太郎は優しくわたしを押し倒すといつものように組み敷いて顔を傾けた。広げた脚の間に身体を滑り込ませて枕と肩の隙間に腕を差し込む。
その時、ふと、披露宴で訊ねられた質問のひとつを思い出した。シンクロするように、その答えをビー太郎が口にする。
「………初恋で、ずっと気になって仕方なかった。たとえ他に男がいても、どんな立ち位置でもいい。綾乃の傍にいたかった」
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