おまけ

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おまけ

「私、ずっとビー太郎が好きだったの」 初恋の女性であり、ずっと焦がれていた結城から突然の告白に俺は驚いた。 「え、そ、そうだったの?」 「うん。気持ち悪い?」 「全然!ってか、むしろ俺もずっと好きだったし…」 首の後ろに手をやりながら嬉しそうにはにかむ結城を見る。すると結城は嬉しそうに目をパーッと輝かせると、俺に抱きついてきた。 「本当?!嬉しい!!私たち両想いね!!」 腕の中から見上げた結城の頬が紅潮する。その朱に染まる表情を見下ろしながら、未だ置き場所なく彷徨っていた腕をそろりと彼女の背中に回した。  「…両想い、いいひびき」    ふふふふ、と一人にやけているとけたたましい音が脳裏に響く。  驚いて飛び跳ねれば、辺りは暗くていつもの自分の部屋でベッドの上だった。  (両想い、じゃねえじゃん)  彼女には彼氏がいるし、俺はB級のB太郎で。    (あーーーーーーっ)    くしゃくしゃと髪をかき回して頭を抱える。  もうずっと前に諦めたはずなのに、今もなお燻る想いに呆れるしかなかった。  この想いが届くのはまだ数年先。それでもこの時の俺は結城をこの手で抱きしめることなど夢のまた夢だと思っていたんだ。   363f999c-8575-4798-a2f4-cfd83d2f945a
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