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初恋は実らない
彼は学年の女子の2/3が好きになる、という男の子だった。いつも友人に囲まれて爽やかな笑顔を見せている。
ぱっちりとした目が印象的で女子だと言われても納得してしまいそうなほど中性的な顔立ちだ。彼はそんな自分の顔立ちにコンプレックスを持っているみたいだけど、それはただの贅沢である。女子より女子っぽい。とても羨ましい。
「今日も王子様カッコいいね」
「ねぇ〜」
「2年生なのに、スタメン選ばれたんだって!」
「えぇ!!応援に行かなきゃ!」
王子様=木下雅。
小学生の頃からその噂は知っていた。とてもカッコよくてサッカーの上手い男の子が隣の小学校にいる、と。
中学校でいくつかの小学校が寄せ集めになってその時初めて出逢った、綺麗な男の子。
いつも人気者の彼は、わたしから見て遠い世界の人だと思っていた。
中学入学時の彼はまだ小柄で、身長も155cmほどしかなかったのに卒業の時にはもう、170cmを超えていた。入学時には知らない人だったけど、卒業時には何かとよく連むようになっていた。
「お。結城がチビになった」
「ちがうわよ!ビー太郎がでかくなったんでしょ!」
こうやって気軽に話ができるのは、わたしが1/3の女子だから。ビー太郎が色んな女の子から声をかけられているのも、告白されているのも知っている。
声変わりだって、背がめきめき伸びてきた時だって1番近くにいた女子はわたしだ。
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