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「確かにそうすることで大分部のことは救われました。事実、私がこの仕事を始めてから娘への虐待はあからさまに減っていきました」
「但し、その砂田という男は違うのでしょう」
「その男は私の父親と似ていました。――私は4歳の頃から父親に性的DVを受けていました。母も多分、知っていたと思います。本当にどうしようもない両親でした。ただ、父親が死んだ時、ほっとしたのと同じくらい、私には何かが失われたようで、心にぽっかりと穴が空く……そんな感じでした」
「あなたはその穴を埋めるように、それからは不特定多数の人とSEXをしましたね」
「多分、バランスを取っていたのだと思います。砂田も同じように自分の娘にDVをしていたと言います。それが原因で離婚したのだと。ああ、これだ。ついに見つけたと思いました。ようやく砂田という私の安定剤を……フッ馬鹿でしょう。どうしても行かずにはいられないのよ」
「ようは、父親を助けられなかったことを後悔しているのですね?」
「そうではありません。上手く言えませんが、それとは恐らく何かが違っています。――何でしょうか、遺伝的な束縛のようなものから、それを断つみたいな、砂田と会うことで、ああ、これで娘を殴らないで済むって……そう思えたのです」
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