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記憶に残るその日は心地のいい、そよ風が吹いていた。
青々と茂る木々の葉を優しく撫でてサワサワと・・・。
その木々を見上げて茂った葉の合間から見た空には真っ白な入道雲が浮かんでいた。
それを見てふと、ソフトクリームを食べたいな・・・またはふわふわのかき氷・・・練乳がたっぷりとかかったいちご味のを食べたいな・・・なんて思ったんだ。
その日、家には俺しか居なかった。
父さんも母さんも朝早くから隣県の病院に入院していたばあちゃんのお迎えに行っていた。
お迎えは退院で・・・じゃなかった。
ばあちゃんはその日の明け方に亡くなった。
死因は老衰だった。
ばあちゃんが死んだのに俺は寂しいとか悲しいとか思えなかった。
きっとそんな俺は親不孝者ならぬ、ばあちゃん不孝者・・・孫不孝者だった。
けれど、寂しく思えなかったのにも悲しく思えなかったのにもちょっとした理由がある。
ばあちゃんから聞いた神様の話だ。
まだ子供だった俺はばあちゃんから聞いたその神様の話を信じていた。
ばあちゃんは神様に選ばれて神様のところに行った。
そう思い、信じていた。
だから俺はばあちゃんが死んだのに寂しいとも悲しいとも思わなかった。
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