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『僕たち神は君たち人によって創られる。君たち人の思いが僕たち神を創るんだ』
龍鴻様のその言葉にドクンと心臓が高鳴った。
それは岩肌に強く打ち付けられた波濤のように・・・。
そして、その波濤の高鳴りに俺の胸の内は痛み、熱くなった。
「人の・・・思い? そんなモノで本当に神様ができるんですか?」
俺は前のめりになりながら訊ねた。
『蒼真・・・思いを軽んじちゃいけないよ? 思いは『そんなモノ』なんかじゃない・・・。思いと言うのは強く、重いんだ。そして、言葉も・・・』
そう龍鴻様に諭された俺は口を『ん・・・』と一文字に結んだ。
そうだ・・・。
そうだった・・・。
知っているじゃないか・・・。
わかっているじゃないか・・・。
俺は視えて聴こえているんだから・・・。
それらがどれほど強く、重たいモノなのか・・・。
『蒼真、言葉は魂を持つ。だから無下に使っちゃいけない。特に・・・君のような難儀な子は・・・』
そう言って龍鴻様に頭を撫でられた俺は嬉しいような切ないような懐かしいような感覚に揺れていた。
俺は・・・この人を・・・この海の神様を知っているのかも知れない・・・。
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