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『祓い給い、浄め給え。神ながら守り給い、幸え給え・・・』
クスリと龍鴻様が笑われて潮の匂いのする優しい風が吹き、また風鈴も鳴いた。
「・・・神様、どうか私から要らない穢れを取り除き、神様のお力でお守りください。そして、私をお導きください・・・」
俺はそう言って龍鴻と一緒にクスクスと笑っていた。
それは旧知の仲のように・・・。
『蒼真が望むならそうしよう。けれど・・・僕は長くここには居られない・・・。曲がりなりにも海の神だから』
龍鴻様のその言葉に俺はなんの疑いもなく納得した。
海の神様なんだから海に居なければいけないのは当たり前のことだろう・・・と。
『・・・短い間だけど・・・よろしくね? 蒼真・・・』
サァー・・・と、海軟風が吹いてきてレースカーテンを靡かせた・・・。
チリリーン・・・と、風鈴が鳴き、俺の唇に何かが当たった・・・。
『・・・さて、まずはご飯を頂こうかな?』
そう言ってニコリと笑んだ海の目はただ、あおかった・・・。
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