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「・・・狼?」
暗い寝室に入り、そう声を掛けても狼鷲はベッドの上で布団にくるまったままうんもすんも言わずにただ、じっとしていた。
そんな狼鷲に俺は小さな溜め息を吐き出し、部屋の明かりを点け、布団にくるまったままの狼鷲を抱きしめ、どうしたものかと胸の内だけで小首を傾げていた。
俺なんかがどうすることも出来ないことだと知りながら・・・。
そんな俺はひどく間抜けだ。
「・・・ごはん・・・食べに行こうか? 狼もお腹、減ってるでしょ?」
俺は狼鷲をそう誘い、狼鷲が『うん』と応えてくれるのを待っていた。
空腹は辛いものだ。
それは俺も狼鷲も嫌と言うほど知っている・・・。
「・・・どこに食べに行くの?」
ひどい涙声の狼鷲のその問いに俺は『う~ん・・・』と声を漏らした。
それは考えているフリをするために・・・。
もう行こうと思っているところは決まっていると言うのに・・・。
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