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「えっと・・・それは~・・・字ではないね?」
俺はやんわりとそう言って返ってきた『はい』と言う返事に『なんだ?』となっていた。
名にはいくつか種類がある。
今の人の世にはもうそんなにこだわった使い分けはされていないけれど、こちら側・・・魑魅魍魎の住まう世にはまだそれらの使い分けがあるし、その使い分けがなくなることはないだろう。
だってそれは・・・名は魂と同じだから・・・。
「俺は・・・この名しか持っていないので・・・」
チリリと何かが焦げた。
それはまだ小さな焦げ付きだった。
だけれど、やがては大火となるであろう焦げ付きだった。
その大火は人を焼き、生き物を焼き、家を焼き、木々を焼き、山を焼き、空を焼いて空を赤く染め上げるほどの・・・。
それどころか我々さえも焼いてしまうほどの・・・。
「キミは・・・見た目よりもずっと強情なようだ」
俺はそう言って根暗で意志のなさそうなその青年 原田 大志に改めた視線を向け、彼を取り巻く黒いモノに目を細めていた。
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