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「ええ。許しています。いえ・・・許している・・・よりももう上ですね」
そう言ってクスリと笑った店主のその笑いと言葉の意味が俺にはわからなかった。
許しているよりも・・・上?
『・・・まさか・・・』
狼鷲は慌てたような声を上げると椅子から飛び降り、じりじりと青年に詰め寄った。
『・・・蒼月のヤツ・・・コイツに血を・・・力を与えたのかっ!?』
唸り吠えるように狼鷲はそう言ってそれを聞いた店主は面白そうに笑んでいた。
「本当に奇怪で怪異なこともあるものです。長生きはしてみるものですね?」
店主のその言葉に俺は『そうですね』と答え、20代後半から30代前半ほどのその店主を見つめていた。
この店主は不老だ。
それは俺や狼鷲も同じだし、大体の物の怪は不老だ。
だが・・・この店主はただ、不老なだけではない・・・。
恐らく・・・この店主は・・・。
『蒼月は・・・狼王の座をコイツに譲ったのか? あんなに人を忌んでいたのに?』
狼鷲のその言葉に俺の思考は遮られた。
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