海の神様と山の神様。

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「まだ完全には譲っていません」 店主のその返答の言葉に狼鷲(ろうしゅう)はグルルルと不機嫌な唸り声を上げ、無表情なままの青年を睨め付けた。 そんなことをしても無駄なのに・・・。 『あの馬鹿は一体、何を考えてる・・・。狼王(ろうおう)の称を汚す気か。いや、それよりも此方の世界を・・・』 「真なる『禍罪(まがつみ)』は・・・」 狼鷲(ろうしゅう)の言葉を店主は遮った。 それを狼鷲(ろうしゅう)は咎めなかった。 いや、咎めることなど出来ない。 俺も狼鷲(ろうしゅう)も店主より格下だ。 それは俺たち二人を合わせても・・・。 格下な(もの)()は格上の(もの)()に基本、従うしかない。 此方の世界・・・(もの)()の世界は残酷な弱肉強食だ。 「(もの)()よりも(もの)()らしいですよ。全てのモノを喰らう」 全てのモノ・・・。 それは・・・。 「それは・・・神さえも?」 俺の問いに店主はにこりと笑むと品のいい小鉢によそわれたキュウリとタコの酢の物を『どうぞ』と言って差し出した。 それが答えだと言うことは言わずもがな・・・だった。
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