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「眠ってしまいましたか・・・」
静かに掛けられたその言葉に俺は『ええ』とだけ答えて俺の膝を枕にすやすやと眠っている狼鷲の髪をそっと撫で付けた。
撫で付けた狼鷲の白銀の髪はその見た目よりも固く、しっかりとしていた。
「奥の間に布団を敷きましょう。そこで一晩、休まれるといい」
「え? それは・・・」
微笑んだ店主のその言葉に俺は戸惑った。
それは流石に迷惑だろう・・・と・・・。
「遠慮はいりませんよ。部屋は空いていますし、布団もあります。それに神様に泊まっていただけるなんてそうそうあることではありませんし。それに・・・私に聞きたいこともあるのでしょう? 可愛い番を無理に酔わせてまで・・・」
店主のその言葉に俺は苦く笑み、眠ったままの狼鷲を一瞥し、小さく頷いた。
本当にこの店主には敵わない・・・。
「本当に・・・あなたには隠し事が出来ませんね?」
「おや? 隠してらしたんですか? これは失礼を・・・。騙されていればよかった」
そう言ってくすくすと笑った店主に俺はまた『敵わない』と感じさせられていた。
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