海の神様と山の神様。

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『あ・・・う・・・ご、ごめんなさい・・・。わたし・・・』 そう言って柔らかそうな頬を熟れたリンゴのように赤く染めたその子に俺は『大丈夫』と返し、その子がなんなのかを考えた。 「キミは・・・座敷童子?」 ふと開いた知識の引き出し・・・。 そこから出てきたその言葉を俺は口にした。 俺が持っている知識の中でその子が当てはまるとしたらその(もの)()だった。 『はい・・・。珍しい・・・ですか?』 そう言って小首を傾げたその子の動きに合わせて艶黒の髪はその子の細い肩の上でさらりと揺れた。 それは夜の帳がそっと下りたように・・・。 「うん。今の時代には珍しい・・・かな? 本当に久しぶりに会ったよ」 俺はそう答えて前会った座敷童子は今はどうしているのだろうかと考えた。 今もあの古い家に居て時折家人を驚かせて笑い、幸を運んでいるのだろうか? それとも・・・もう・・・。 『小袖(こそで)以外にも・・・居るんだ』 そう言ってその子はふわりと笑んだ。 そして、その笑みと共に花も俺の荒んだ心も綻んだ気がした。
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