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「言いましたよ? 『普通の人間なら出来ないでしょう』と・・・」
『普通の人間なら』・・・。
店主のその言葉にハッとさせられた俺は店主に視線を向け直し、その向け直された視線に気づいた店主は涼風のようにふと笑んでいた。
なるほど・・・。
俺は確かな確信を店主のその笑みから得た。
「海神を・・・龍鴻を創ったのは普通の人ではない・・・と?」
「なんの力もない人が一人で海神を創れるとお思いですか?」
店主の言葉に俺は息を吐き出した。
なんの力もない人が一人で海神を創るなんてことは無理だ。
じゃあ・・・海神を・・・龍鴻を創った人は・・・一体・・・。
「幸も不幸も呼ぶ者です」
「『招き』・・・ですか?」
俺の言葉に店主は『ご名答』と言って笑んだ。
『招き』なら確かにと思うが俺も『招き』に詳しいわけではないし、実際に会ったことはない。
それくらい『招き』は稀な存在だ。
「十時 桜をご存知ですか?」
「此の岸で逃がし屋をしている方・・・ですよね? あと雨月と繋がりがあると言うこと以外は・・・」
俺は知っていることを口にし、それだけのことしか知らない相手を思ってみた。
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