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はじまり。
それは静かな夜更けのことだった。
そして、それはもう何年も・・・何十年も・・・何百年も・・・何千年も昔のこと・・・。
それなのに一向に色褪せないその記憶はどうしてなのか?
それが私の中に残るはじめの記憶だからだろうか?
その記憶のはじまりはバシャン・・・と言う衝撃とドボンッ・・・と言う音からだった。
その衝撃と音で何者かが私の中に落ちてきたことがわかった。
そして、その何者かが私に助けを求めてきた・・・。
私はそっとその者に問うた。
『私は何者か?』
と・・・。
けれど、その者からの返事はなく、その者はいつしか私に助けを求めることもなくなっていた。
私はその者に触れ、首を傾げた。
その者は先程までぼこぼこと息を吐きながら私の中でもがいていた。
なのに今はもうぼこぼこと息を吐くことももがくこともなく私の中でじっとして浮いている・・・。
そして、開かれたままのその目は・・・。
嗚呼・・・そうか・・・。
これが死か・・・。
私はそう思ったのだ。
そして、そう思った私は・・・。
私は・・・。
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