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(早く映画終われ!)
映画が終わるほんの5分ほどの間、一人こぶしを握りしめ、目の前の巨大スクリーンを睨んでいた。
暑い暑い夏休み。アウトドア派の人間は海だ山だお化け屋敷だとはしゃいでいる。そんな俺はインドア派じゃないと言い張るインドア派。外に出るのも悪くはないが、正直、冷房の効いた部屋で昼寝するのが大好きだ。右手にはテレビのリモコン、左手にはコーラか炭酸飲料。最高じゃないか。
…なんだか休日の親父みたいになってしまった。
そう、インドア派じゃないと言い張るインドア派の俺は、友人と二人で映画館に来ている。友人は男だ。お互い似たもの同士で気が合う。男二人で最近話題になっているアニメを観に来た。戦争を題材にしたファンタジーアニメで、日本が海外と戦争をしていた時、突如現れた謎の生命体と相まみえることになった。自国だけでなく世界の危機にまで発展し、戦争なんかしている場合じゃないとリーダーシップをとった某大国と共に、宇宙からの侵略を阻止する史実も何もあったもんじゃない滅茶苦茶なストーリーだった。
最後に日本の大型戦艦が海に沈む。宇宙から侵略しようとした謎の生命体を食い止めるためにボロボロになり、船長と数人の乗組員を乗せて海の底に沈むのだ。バカバカしいと思っていたが、案外、いい話だった。まわりからすすり泣きがもれる中、俺は必死に映画が早く終わることを願っていた。
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