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【1】松田くんと秋葉部長
♤松田くん♤
「どうしてこんなのもできないの!?」
狭いオフィスに秋葉部長の怒鳴り声が響いた。間髪入れずに、僕の書類がくしゃくしゃにされて、ゴミ箱に放り捨てられる。僕はそれをじっと見ていた。
「あのね、松田くん。あなた、ここで働いて3年目でしょ? だったらいい加減、仕事も覚えてもらわないと困るのよ。わかる?」
部長は苛々としながら僕に詰め寄った。僕は心を殺して、ただただ「すみません」と返事した。
「いい? プロ意識を持って仕事をするの。私たちはそれが当たり前なの。手抜きなんてしない。いつも全力で臨むの。あなたもいい加減、覚悟を決めなさい」
──あぁ、どうしていつもこうなるのだろう。
僕は秋葉部長の言葉に耳を貸すことなく、明後日の方向を眺め続けた。
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