プロローグ-それぞれの年末-

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プロローグ-それぞれの年末-

 「うーん、どうしようかな?どっちの色が良いかな。」  11月も後半の自分の部屋で、少し肌寒くなってきて、羽織る物が欲しいなっと思い、昨日の会社帰りDVDを返した後、隣の本屋さんに寄ったら、滅多に通らない女性ファッション誌コーナーで、女性モデルさんが羽織っていたストールが素敵で、女性ファッション誌の通販カタログを買ったんだけど、  (まさか、色が2種類あるとは、グレーとブラウンどっちが良いか迷うな)っと、カタログを見ながら悩んでいた。  そんな格闘の中、ピコーンっとLINEが入った。見ると圭介君だった。  圭介君とは、人気急上昇中のアイドル「スカイハイ」のグループの1人、戸葉圭介君の事。今月の最初の週末に私の両親にご挨拶をして、交際を認めてもらい、晴れて恋人同士になったが、まだ私の彼氏と言う実感が無くて。 作(恋人同士になった経緯は、最初の物語を読んで下さい。) 「美穂、こんばんは。今日は休みだったんだよね、何してたのかな?俺、今お仕事終わって家に帰って来たよ。」  ただいまのスタンプと一緒に送られてきたメッセージを読む。  ちなみに私は、本編の主人公の1人、佐川美穂、茨城に住むごく普通の会社員です。 (まさか私が人気アイドルの1人とお付き合いをするとは、思いもしなかったが、今は、圭介君と出逢えて良かったと思ってる) ふと、時計を見ると夜7時近くなってる。  (今日は、早く終わったんだね、あっ、圭介君にストールの色の事相談しようかな、圭介君ファッションセンス良いし) 「圭介君、お仕事お疲れ様。今日の休みは、買い物に行ったり、部屋の掃除したりして過ごしてたよ。それと圭介君に相談したい事あるんだけど良いかな?」  私も、おかえりのスタンプを添えて送ると すぐにピコーンと返信が帰って来る。  (相変わらず返信早いな。) 「相談って何?美穂の事なら何でも聞くよ。」  (もう、圭介君ったら。) 少しにやけながら、私は、カタログの表紙とストールが載ってる所をカメラで写す。  「実は、そろそろ肌寒くなって来たから羽織る物欲しいなって思って探してたら、偶然本屋さんで、この通販カタログ見つけてストール素敵だなって思って買ったんだど、色が2種類あって、グレーとブラウンどっちが良いか迷ってて、圭介君ファッションセンス良いから意見聞きたいと思って。」っとさっき写した写真と共に送ると。  プルル、プルルっとLINEの無料通話がかかって来た。  「はい、もしもし、圭介君?」  「美穂、こんばんは。」  「いきなり、電話になったからびっくりしたよ。」  「だって、こうゆう時は電話の時が良いからね、それで、このストールってプライベートと仕事用とどっちなの?」  「どっちでも羽織れる方が良いかな。」  「じゃあ、グレーが良いんじゃないかな?どんな服にも合わせやすいし。」  「そうだよね。うん、ありがとう圭介君。」  「どういたしまして、これ美穂が買うの?」  「うん、来月、賞与出るし、自分のご褒美として、本当は、ファーも良いかなっと思ったけど、幅広く使えるストールにしようと思って。」  「あー、そういえば、もう来月は12月だからボーナス出る時期だよね、美穂良いな。俺もボーナス欲しいよ。」  「そうだよね、来月は、スカイハイとしても仕事も忙しくなるし、ほとんど休みなしで働いてるから、皆勤賞位欲しいよね。」  「そう、それだよ、本当に出ないかな。ねぇ、美穂、そのカタログって他にどんな物載ってるの?」  「えっと、ワンピースやトップスやチュニックとか色々あるよ。」  カタログを見ながら答える。  「美穂、それ見て欲しい物あった?」  「そうだね、良いなっと思ったものは、いくつかあったけど。」  「じゃあ、俺クリスマスプレゼントに買ってあげるよ。」  「えっ、本当に嬉しいけど、出来たら圭介君にも選んで欲しいかな?私よりも圭介君の方がファッションセンス良いし。」  「いいよ。そのカタログ本屋さんに売ってるんだよね?俺見て美穂に合いそうなの選んで見るよ。それにしても美穂、そんなにファッションセンス悪いようには見えないけど。」  「そうかな?デートの服とか服の色とか柄悩んだ時は、いつも里穂に聞いてたからじゃなないかな。」  里穂とは、私の小中高一緒のお馴染みの田村里穂の事です。  「そうなの?あっ、そういえば里穂ちゃんと仲直りした?俺の事で喧嘩したっぽいから心配してたんだよね。」  そう、里穂とは、今月の始めに圭介君を紹介しに、家に連れて来た時、意地悪して色々聞いたから、少し怒っちゃたんだよね。  「大丈夫だよ、私達には、いつもの事だから、圭介君を送って家に帰って来た時に、LINEで謝ってのろけ話しいっぱい話したから。」  「そうなんだ。良かった。本当に美穂は里穂ちゃんと仲良しなんだね。」  「ただのくされ縁だよ。」  「でも、どんな事でも謝ってすぐに笑い合えるのは、仲の良い証拠だよ。」  「そうだね。」  「じゃあ、今日はここまで。本当は、美穂の声もっと聞きたいけど、明日朝早いから、もう休まないと、美穂又電話して良い?」  「うん、もちろんだよ。圭介君ゆっくり休んでね。」  「美穂も明日は仕事だからゆっくり休んでね。また明日。」  「うん。おやすみ圭介君。」  「おやすみ、美穂。」  圭介君との電話が切れた後  「美穂、お風呂空いたわよ。」っと下からお母さんの声が。  「はーい。今入るよ。」  お風呂の準備をして、下に降りるとキッチンにお母さんが居た。  「美穂、今夜も戸葉君とお話してたの?本当にマメね、お父さんに言った通りに、毎日連絡入れてるでしょう?」  「うん。圭介君忙しいと思うのに、朝か晩どちらかは、必ずLINE入ってるから、本当に圭介君は良い人だよ。」  「美穂ったら、のろけちゃって、ごちそうさま。おやすみ。」  「もう、お母さんが聞いたんでしょう。おやすみ、お母さん。」  お母さんが寝室へ向かうのを見て、お風呂場へと行った。        歌番組収録「スカイハイ」控え室 麻宮「圭ちゃん、何見てるの?あれ?女性ファッション誌のカタログ?」  麻宮君は、俺の隣に来て、覗きこみながら聞く。 戸葉「うん。」 沢本「なに、なに、戸葉君、いよいよ、そっち系の仕事でもするのかな?」 戸葉「違うよ。これは、俺の彼女のクリスマスプレゼント用に見てたの。俺、ファッション系の仕事には、興味無いよ。」 高井「そうだよね、戸葉君って確か、この仕事してなければ、獣医さんになりたかっただもんね。」 沢本「えっ、戸葉君、獣医師さんになりたかったの?戸葉君優しすぎるから、動物達に馬鹿にされたりして。」 戸葉「姉ちゃんと同じ事言うなよ、沢本君。」 沢本「あっ、戸葉君の場合、馬鹿にされる前にメス動物同士の取り合いが始まったりして、私が戸葉先生に先に見て貰うだからなんて言って乱闘が始まったりして。」  ニヤニヤしながら沢本君は言う。 戸葉「さーわーもーと君、俺の古傷に塩を塗るな。」っと少し強めに言う。 麻宮「まあ、まあ、圭ちゃん、熱くならないで、篤君も、最近彼女に会えなくて、イライラしてるからってラブラブな圭ちゃんに八つ当たりしないでよ。」  麻宮君が間に入ってなだめるように言う。 沢本「別に、イライラなんてしてねーし。」  面白くなさそうに言う。 戸葉「何?沢本君彼女と会って無いの?同じ芸能人なんだから会いたい時に会えるんじゃないの?」不思議そうに聞くと、 沢本「そんなに簡単に会えないだよ、最近彼女忙しいみたいで、LINEなんて、たまに既読スルーされるし。」っと不満そうに答える 高井「そうだよね、最近、沢本君の彼女、ドラマに、クイズ番組に、あっ、この間バラエティー番組にも出てたからな。」 沢本「そうなんだ、同じ仕事してても忙しくなれば、なかなか会えないんだよ、むしろ一般人の方が休み合わせたりして、会いやすいのかもな。」 戸葉「ふーん、そんなものなのかな?んっ?リーダーは何読んでるの?」俺は、リーダーの方を見ると、何か読んでいたから声を掛けた。 川野「あっ、これ、釣りの本だよ、12月の初めに今年最後の休み取れたら、釣り行こうと思って、沢本君も一緒に行かない?気分転換にさぁ。」 沢本「俺さ、釣りって嫌いじゃないけど、釣れるまでの待ってる時間が苦手で。」 川野「じゃあ、船に乗って、釣れるスポットに行けば、すぐ釣れるよ。」 沢本「船か、俺酔わないかな?」 川野「大丈夫だよ、沢本君、酔わないように、俺、魚の話ししててあげるから。」 沢本「いや、それ、余計に酔いそうだから。」 麻宮「俺も、悟君と久しぶりに釣り行きたいな。」 川野「おっ、じゃあ、3人で釣り行きますか。」 沢本「いや、俺まだ行くって言ってないから。」  そんなリーダーの楽しそうな様子を見てた、高井君と戸葉君。 戸葉「ねぇ、秀ちゃん、リーダーって何で趣味の釣りの話してる時って積極的何だろうね。もう少し、スカイハイでも、その位積極的に発言してくれればいいんだけど。」 高井「そうだね、それは、仕事と趣味を分けてるからって解釈した方いいのかな?」 戸葉「うーん?話しは変わるけど、秀ちゃんは、年内に彼女さんと会えるの?」 高井「俺たぶん忙しいし、彼女も年末忙いと思うから、年明けだろうな。戸葉君もだろう?」 戸葉「うん。俺も年明け正月過ぎてからかな?なんかお互い彼女居るのに年末最大のビックイベントに会えないのは、切ないよな。」 高井「まっ、俺達は、毎年の事だから、彼女も期待してないけど、でも、やっぱり切ないよな。」 戸葉「うん。」っとしんみりと彼女話しをしてると、スタッフが来て。 スタッフ「スカイハイの皆さん、準備お願いします。」 全員「はーい。」 戸葉(あっ、仕事終わったら麻宮君にサイン貰わないと、美穂の親友の里穂ちゃんと約束したから)そんな事を思い、俺は、メンバーとスタジオに向かった。  12月初めの週末、親友の里穂と買い物   「美穂、悪いね、私の買い物付き合わせちゃって。」申し訳なそうに言う。  「ううん。私も買い物あったし。」  買い物袋を持ち、街を歩くと、周りは、クリスマス一色に飾りつけされていた。  「もう、クリスマスの時期だね、なんか毎年独り身には、辛い季節だよ。今年は美穂は良いね、彼氏居るから。」っと少し嫌み混じりに言う。  「うん。でも、この時期は、圭介君忙しいから逢えないけどね。」っと残念そうに言う。  「それは、仕方ないよね、トップアイドルの1人と付き合ってるんだから、あっ、美穂喉渇いた、この荷物、車に置いて何処かでお茶しない?」   「うん。私も喉渇いた。」  私達は車に荷物を置き、近くのカフェに入る。 店員「いらっしゃいませ。空いてる席どうぞ。」  私達は、空いてた窓側の席へと座る。  「なんか、買い物して歩いてたら、小腹空いたから何か食べようかな。里穂はどうする?」  「私も小腹空いたから何か食べる。」  メニューを見ながら、店員さんを呼び注文をする。  「それで、美穂、年末はどうするの?戸葉君忙しいから年内には逢えないと思うけど、クリスマスプレゼント何か貰うの?」  「うん。年末は私も圭介君と一緒で仕事だよ。クリスマスプレゼントは、この間私が買ったストールの通販カタログの中から圭介君何着か選んでくれたのをプレゼントしてもらうの。」っと嬉しそうに言う。  「へぇ、そうなんだ。戸葉君ファッションセンス良いから、美穂に合いそうなの色々選んだんじゃない?」  「そうなんだけど、ねぇ、里穂、何で男の人ってミニスカート好きなのかな?その選んでくれたカタログの中のミニスカートに二重丸ついてて、いかにも選んで欲しい感があったんだけど。」   「あはは、戸葉君らしいな。きっと美穂が小柄だから似合うと思ったんじゃない。それで、美穂は、ちゃんと彼氏の要望に応えたのかな?」  「うん。ちょうど膝下のブーツあったし、それと合わせれば良いかな?っと思って。それと膝位の長さのワンピース選んだけど、どちらもナチュラル系で色も私が合いそうな色選んでくれたみたい。」  そんな話しをしてると、注文した料理が来た。  「いただきます。それで、その服、今度のデートに着るんでしょう?」注文した、スパゲッティーを食べながら聞く。  「うん。デートってほどでは無いけど正月3が日が過ぎた頃、私家に来る時、一緒に神社に遅い初詣行くからその時にでも着ようかなって。」注文した、サンドイッチを食べながら答える。  「ふぅーん。今の所は、順調にお付き合い進んでるみたいで安心したよ。」  「うん。里穂は、年末どうするの?お休み旅行とか行くの?」  「今年は、何処も行かない。あっ、クリスマスケーキのバイト頼まれてるから、余ったら、美穂家行くから一緒に食べよう。」  「えー、24日も家でクリパする予定なのに、次の日もケーキ食べたら太っちゃうよ。あっ、25日、クリスマス特番の音楽番組にスカイハイも出演するみたいだから、一緒に観よう。」  「そっか、今年は美穂の部屋にテレビ付けたから、ゆっくり観れるね。年末はスカイハイ番組観放題だね。」  「そうなの。その前に12月の中旬に今年最後の「どうぶつ学園」の生放送あって、例のお客様名指しコーナー、今回は、サクラ無しでやるみたいで、圭介君張り切ってて、これが何も問題無しだったら、来年の新年度から本格的にやるみたいだよ。」  「へぇ、戸葉君頑張ってるんだね。美穂に会って彼自身も変わったんだね。」  「そうなのかな?私もテレビで頑張ってる圭介君楽しみに観てるし、年末逢えなくてもスカイハイが出てる番組は、必ず観るか録画してるから、それだけで仕事頑張れるんだよね。」  「美穂も変わったね、あんなにアイドル興味無しだったのに。」少々呆れた顔で言う。  「そうかな?」不思議そうに言う。  「自覚ないんだね。まっ、親友が幸せそうで良かったよ。私も来年こそは彼氏ゲットしないと。」拳握りながら言う。  「あれ?里穂、狙ってた年下の新人君はどうなったの?」  「あれは諦めた、まだ前付き合ってた彼女引きずってそうだから。」  「そうなんだ。じゃあ、里穂は来年頑張らないとね。」  「うん。あー、美穂の話し聞いたらお腹も心も一杯になったよ。」  「それは、それは、良かったです。」  お互い顔見合せクスックスッと笑い、楽しい休日の午後を過ごした。   「どうぶつ学園」生放送楽屋 戸葉「おはようございます。」 村瀬「おはよう、戸葉君。」 戸葉「あれ?村瀬さん、河村さんはスタジオ?」 村瀬「うん。最終チェックをスタッフとしてるよ、今日は、今年最後の生放送だからね。」  カーテンを閉め着替えを始めながら 戸葉「そうか、今年もあっという間だったな。」っと寂しそうに言う。 村瀬「あら?戸葉君は、充実した1年だったんじゃない?彼女も出来たわけだし。」  着替えを終えカーテンを開け、椅子に座る。 戸葉「そうだね。それもこれも村瀬さんや河村さんのおかげです。」 河村「呼んだか?」スタジオから楽屋に戻って来て返事をする。 戸葉「河村さん、おはようございます。」 河村「おっ、戸葉ちゃん、おはよう。もう観覧者入って来てるけど、心の準備は出来てる?」 戸葉「大丈夫ですよ。河村さん。」っと自信満々に言う。 河村「なんか、急に頼もしくなったな、戸葉ちゃん、美穂ちゃん効果かな?」っとニヤニヤしながら言う。 戸葉「そうゆう言い方止めて下さいよ。恥ずかしいですから。」っと照れながら言う。 村瀬「今月は、忙しいから美穂ちゃんに会って無いんでしょう?せっかく初めての誕生日とクリスマスがあるのにね。」 戸葉「それは、美穂も年末は忙しいからお互いさまですよ。その代わり毎日LINEか電話はしてますから。」 村瀬「そうなんだ。そんな寂しい戸葉君から私と河村さんから早い誕生日プレゼントだよ。」っとプレゼントの包みの箱を渡された。 戸葉「ありがとうございます。村瀬さん、河村さん。」嬉しそうに受けとる。 河村「戸葉ちゃん、この間、目覚まし時計壊れたって言うから、長持ちしそうな良い物選んだから、使ってよ。」 戸葉「はい。大事に使いますね。」 村瀬「それで、戸葉君は美穂ちゃんにクリスマスプレゼントは買ったのかな?」 戸葉「うん。美穂が見てた女性ファッション誌の通販カタログから洋服を何着かプレゼントに選んだんで。」 村瀬「戸葉君、これ知ってる?」っとスマホの画面を見せた。 戸葉「プレゼント代行サービス?」 村瀬「そう、なかなか会えないカップルや遠距離恋愛してる方にぴったりのサービスで今人気でね、会えない彼氏、彼女に代わって、伝えたい事を伝えて、プレゼント渡してくれるんだって。」 戸葉「へぇ、こんなサービスあるんだ知らなかったよ。でもこれって、格好いい男の人とか渡しに行くのかな?ちょっと心配だな。美穂もイケメンとか好きそうだし。」そんな俺の言葉に、村瀬さんは、目を丸くして、 村瀬「ねぇ、戸葉君って自分の顔鏡で見た事ある?」っと呆れて聞く。 戸葉「はぁ?毎日見てますよ、俺コンタクトだし。」そんなやり取りを見てた河村さんが 河村「あはは、戸葉ちゃんらしいな。俺そうゆうところ好きだな。」 村瀬「笑い事じゃないって、戸葉君だって格好いいと思うのに、自覚無すぎだよ。」 河村「ナルシストより良いんじゃない、ゆみちゃん。」 村瀬「確かに、そうだけど、とにかく、これ使うなら早めに予約した方が良いよ。」っと俺は、村瀬さんのスマホの画面を見ながら、検索して、サイトを開いた。  「ウッキー、ウッキー。」  「おはようございます、皆さん相変わらず賑やかですね。」 戸葉、村瀬「おはようございます、小川トレーナーとダイ君。」 河村「おはよう、トレーナー、ダイ君って元気なく無いか、大丈夫か?今日生放送だけど。」心配そうにダイ君を見て言う。 トレーナー「ええ、ダイ君は大丈夫ですよ、元気が無い理由はこれですよ。」っとダイ君のポケットに入ってた、みほちゃん人形を出す。 村瀬「あらら、みほちゃん人形随分ぼろぼろになって、汚れてるね。」っと悲しそうに言う。  「ウッキー、ウッキー。」っと今にも泣きそうな声で答える。 トレーナー「そうなんですよ、ダイ君ったら四六時中、肌身離さず持ってたら、こんな状態になってしまって、綿も出て来たんで、少し直したんですが。やっぱり、美穂さんに綺麗に直してもらった方が良いと思って。」っと言って、俺の方を見て。 トレーナー「という事で彼氏の戸葉君、美穂さんに直して貰うように渡して頂けますか?」っと少々面白くなさそうに言う。 戸葉「ああ、良いよ、今度逢った時、美穂に頼んでみるよ」っとみほちゃん人形を受けとろうと手を伸ばそうとしたら、いきなりダイ君が、バッと奪って、  「ウキー、ウキー、」っと唸り声に似た声を出す。 戸葉「どうしたの?ダイ君、渡してくれないと、美穂に渡せないよ。」 トレーナー「ああ、ダイ君たぶん大事なガールフレンドを呼び捨てにされて機嫌が悪いんでしょ。」 戸葉「ええ、何それ、俺一応彼氏なんだけど。」っと言ってもダイ君は、睨んでる。 河村「おーい、戸葉ちゃん、そろそろ本番始まるんだから、ダイ君の機嫌直しておけよ。」 戸葉「はぁ、はい、はい、分かりましたよ、ダイ君、美穂ちゃんに、その人形直して貰うから、貸してくれるかな?」って優しく言って手を伸ばすと、  「ウッキー、ウッキー、ウキキ」っと嬉しそうに渡した。 戸葉「当分、ダイ君の前では、名前呼びつけで呼べそうに無いな。」っとがっかりして言うと トレーナー「そうですね、その方が良いでしょうね、私自身もダイ君同様、戸葉君が美穂さんの事を彼氏面して呼びつけされるのは、不愉快ですから、いいですか、戸葉君、はっきり言いますが、又美穂さんを泣かす真似をしたら私がお嫁に貰いますから、その覚悟でお付き合いして下さい。」 戸葉「はい、はい、分かりましたよ(なんか、美穂のお父さんがもう1人居るみたいだな)」ってテンション下げて言うと、見かねた村瀬さんが 村瀬「美穂ちゃん良い娘だから、戸葉君もライバル多くて大変だろうけど、まっ、又あんな騒動起こさないで真面目に付き合っていればちゃんと認めて貰えるから大丈夫だって」っと村瀬さんが肩を叩いて言う。 戸葉「ありがとう。村瀬さん。意外に優しいんですね。」 村瀬「はあ?何?意外は余計だけど。」 戸葉「すみません、余計でした。」 D「そろそろ、本番始まるぞ。戸葉、準備はいいか?」 戸葉「はい。大丈夫です。」 河村「それでは、今年最後の生放送気合い入れて頑張りましょう。」 全員「はい。」  「ウッキー、ウッキー。」 戸葉(美穂、俺の頑張り見ててくれよ)  目をつむり、そう思いスタジオへと向かう。   12月25日美穂の家  夕食を食べ片付けをキッチンでしてると。  「ピンポーン、ピンポーン。」っとチャイムが鳴る。  「あっ、たぶん、里穂だから、私出るね。」っと玄関に向かう。  「はーい。」ドアを開ける。  「美穂、メリークリスマス。」っとやっぱり里穂だった。  「メリークリスマス、里穂。どうぞ。」っとスリッパを出す。  キッチンに居たお母さんが  「里穂ちゃん、こんばんは。メリークリスマス。」  「おばさん、メリークリスマス。今年もお邪魔しますね。」  「ええ、ゆっくり美穂と過ごしてね。」  「はーい。っとおじさんは?」  「お父さん、居間で晩酌してるんじゃない?」っと言うと、居間に顔を出して、  「おじさん、こんばんは。お邪魔しますね。」  「ああ、里穂ちゃんか、こんばんは。今日はクリスマスだから、うちの美穂とゆっくり過ごしなさい。」っとほろ酔い気味に言う。  「はーい。美穂、先に部屋行ってるね。」っと自分の家のように階段に向かう。  「うん。今コーヒー入れるから、先行ってて。」っと私はキッチンでコーヒーを入れ、 2階の自分の部屋へと  「ちょっと、里穂開けて。」っと里穂にドアを開けてもらい中へ入る。  「里穂、夕飯食べたの?」  「うん。一緒にバイトしてた人達と食べたよ。そういえば、戸葉君からプレゼント届いたの?」  「それが、まだなの。昨日圭介君誕生日だったからお祝いメッセージ送った時に変な事言ってたのよね。」  「変な事?」  「うん。明日は、美穂にサンタさんが来るよって。」っと言うと里穂は変な顔して、  「はぁ?この歳でサンタさんって無くない?戸葉君大丈夫?」  「うん。圭介君は正常だと思うけど。」っと真顔で答える。  すると、又チャイムが  「ピンポーン、ピンポーン。」  「はーい。」っとお母さんが出る。  「すみません、こちらに佐川美穂さんはいらっしゃいますか?」っと男の人が。  「美穂、お客さんよ。」っとお母さんが呼ぶ。  「はーい。」っと下に降りると、そこには、長身のホスト系のイケメンが。  「佐川美穂さんですか?」っと聞かれ  「はい。(誰?この人?)」っと不思議に思い返事をする。  「戸葉圭介さんから、メッセージとプレゼントをお渡しに来ました。」っと言われ、  「えっ。」驚いた。  「「美穂、メリークリスマス。お付き合いして初めてのクリスマス、一緒に過ごせなくてごめんね。でも俺はいつも美穂の事を思ってるから。いつも俺の頑張りを見てくれてありがとう。照れ臭くてなかなか言えないけど、美穂の事本当に好きだよ。良いクリスマスを過ごしてね。」」っと圭介君のメッセージを読み、私に花束を渡す。   突然の事で何が起きたか分からず、呆然と受けとる。  「それと、こちら戸葉圭介さんからのプレゼントになります。」っとプレゼントを渡す。  「ありがとうございます。」っと言うと男の方は、爽やかに微笑む。  「それでは、楽しいクリスマスをお過ごし下さい。」っと胸に手を当て、お辞儀をして帰って行った。  私は何が起きたか呆然と立って居ると後ろから、  「美穂、本当にサンタさん来たんだね、これって今密かにブームになってる、プレゼント代行サービスだよ。間近で見れるとは、戸葉君良く知ってたね。」っと階段かけ降り、後ろに居た、里穂が言う。  「プレゼント代行サービスって初めて知ったよ、なんか、嬉し過ぎて涙が出そうだった。彼氏にこんな綺麗な花束貰うの初めてだよ。」っとピンクの薔薇をメインにした花束を見ながら言う。  「良かったね。美穂。戸葉君って本当に美穂の事好きなんだね。羨ましいよ」っと階段を上がりながら言う。  「あっ、お花、みずあげして、花瓶に差すから、先に部屋に行ってて。お母さん、花瓶何処にある?」っとキッチンに向かう。  ちなみに、みずあげとは、一旦切り花の先を斜めに切り、バケツなどの水に浸すと、水の吸い上げが良くなり、長持ちする方法です。  「美穂、花瓶これで良いかな?本当に綺麗ね。私もお父さんにお花貰いたい。」  「お母さん、お父さんにお花貰った事無いの?」  「プロポーズの時以来無いかも。」  「じゃあ、来年の結婚記念日には、期待しないとね。」居間に居ると思う、お父さんの方を見て言う。  「じゃあ、しばらくこのままにして、部屋に戻るね。圭介君にLINEしないと。」切り花をバケツに差し、2階の部屋へとプレゼントを持って上がる。  部屋に戻ると里穂が  「携帯、光ってるよ。戸葉君からじゃないの?」  「えっ、本当に。」っと携帯を見ると圭介君からのLINEが入ってた。  「美穂、サンタさん来たかな?」時間を指定していたのか、丁度プレゼントを貰った時間にLINEが入っていた。  「圭介君、サンタさん来たよ。お花とメッセージとプレゼントありがとう。突然知らない男の人来てびっくりしたけど、圭介君のメッセージ聞いて嬉しくて泣きそうになった。本当にありがとう。私も圭介君の事が本当に好きです。」っと少々にやけながらLINEを打って、送ると、隣の里穂が。    「なに、なに、戸葉君、本番前にLINE送って来たの?」っと、気がつくと、もうそろそろ夜7時になる。  「あっ、本当だ。もう歌番組始まる。テレビ付けないと。」っとテレビを付けると、ピコーンっとLINEが。  「美穂が喜んでくれて嬉しい。俺これから歌番組出るからテレビで観ててね。終わったら又LINEします。」っと返って来た。  「うん。これから歌番組、里穂と一緒に観るから、本番頑張ってね。」っと返す。  「始まったよ、歌番組。」っと里穂がテレビを観ながら言う。  「ねぇ、美穂、戸葉君が選んだ洋服見せてよ。」っとテレビから目を離し言う。  「うん。いいよ。」っと破かないように慎重にプレゼントの包みを剥がす。  箱の中には、一緒に選んだ服と、  「あれ?なんでファーまで入ってるの?」  「えっ、何美穂ファーの事は聞いて無いの?それにしても可愛い、スカートもワンピースも美穂合いそうなデザインと色だね、さすが戸葉君だね。」  「うん。あっ、思い出した。私ストールの色相談した時、ストールとファーどっちが良いか悩んだって。言ったかも。」  「じゃあ、それを覚えてて、一緒にプレゼントしてくれたんだね。」  「うん。圭介君、記憶力良いから。」  そんな話しをしてると、テレビの方から出演アーティストを紹介してる声が。  「それでは、続きまして、本日のとりを務めます。スカイハイの皆さんです。」っと紹介すると、スタジオが一斉に黄色い声に包まれると、里穂まで、  「キャー、麻宮君今日も格好いい。」っと騒ぎ私の方見て、  「ねぇ、今日も格好いいよね、スカイハイのみんな」って何か言いたそうに言うので。  「うん。今日も格好いいよ。秀ちゃん。」っと言うと  「えー、そっち、戸葉君知らないんでしょ?美穂の押しメンが高井君なの。」  「うん。聞かれて無いから、答えて無いよ。」(でも本当は、圭介君が一番格好いいよ)っと思って、テレビの画面を見てると、すぐに察知した、里穂が。  「今、戸葉君の事思ってたでしょ。」っとニヤーっとしながら聞く。  「そんな事思って無いよ。」っと笑いながら否定する。  「もう、美穂は、すぐに顔出るからバレバレだって。ねぇ、ちょっと服試着して見せてよ。」っと洋服の方を見て言う。  「えー、恥ずかしいな。」っと言いながら服を手に取る。  テレビの方からアーティストの歌声が聞こえる中、里穂にプレゼントの服を試着して見せ、楽しそうに笑い合った。  毎年クリスマスかイブは、里穂と一緒に過ごすのが恒例だか、今年はいつもより楽しいのは、きっと、里穂と同じくアイドルが好きになったからかな?っと思いながら、里穂とケーキを食べながら、歌番組を観て楽しいクリスマスの夜は更けて行く。  そして、あっという間に年越しに。  「ただいま。」今年最後のお仕事終え、家へと帰る。  「美穂。おかえり。大晦日までお仕事ご苦労様。」キッチンに居たお母さんが声をかける。  着替えて手を洗い、ダイインニングテーブルの椅子に座り、年越し蕎麦を食べる。片付けをして、居間で家族揃って、毎年恒例のNHKの歌番組を見始めた。  歌番組を観ながらお母さんが、  「スカイハイもこの歌番組で今年も見納めだね。」っと寂しそうに呟く。  「そうだね。でも年明け早々にすぐ歌番組出るけどね。」っと答えると  「美穂は、今年は良い年だったね。素敵な彼氏が出来たし。」っと嬉しそうに話しかける。っと隣のお父さんは、少し面白くない顔をしてた。  「うん。お母さんも良い年になったよね。」っと笑顔で返す。そんな話しをしながら番組を観ていた。  あっという間に番組も終わりに近づき、全員で、蛍の光を合唱する。  「この曲聞くと今年も終わるって感じだね。」っとしみじみ言うと、  ゴーン、ゴーンっと近所から除夜の鐘が鳴る。  「あー、今年も終わるわね。」っとお母さんが呟く。  (本当に今年は、色々あったけど、やっぱり圭介君と出逢えた事が大きな出来事だったよね。まさか彼氏になるなんて思いもしなかったけど、来年も圭介君と一緒に居られると良いなって思う。この除夜の鐘、圭介君も聞こえてるかな。あっ、でも次の現場に移動中だから無理かな。)そんな事を思い、それぞれの年末は過ぎ、そして新しい年へと。
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