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新年のご挨拶と新たな恋敵
ジリリー、ジリリー、
手を伸ばし、目覚ましを止める。
今日から新しい年の始まり
(うーん、眠い、朝方まで、スカイハイも出演してた歌番組観てたから。)
ふぁぁーっと大きなあくびをしながらカーテンを開け、背中を伸ばす。
携帯に目を向ける、夜予想通り、圭介君から、あけおめLINEが来たから、私も今年も宜しくねっとLINEを返した。
「美穂、起きたなら、下に降りて来なさい。」っと下からお母さんの声が。
「はーい。」っと言って着替えて、下に降りる。
「お母さん、お父さん、おはよう。」
母、父「おはよう、美穂。」
ダイインニングテーブルには、おせちなどお正月料理が並ぶ。
顔を洗い、ダイインニングテーブルの椅子に座り、改めて。
「明けましておめでとう。」っと家族で挨拶をしてから。
「頂きます。」っとお雑煮を食べる。
「美穂、今年は、久しぶりに元旦休みね、これから、里穂ちゃん家行くの?」
「うん。」ちなみに里穂は、大晦日から実家に帰ってるので。
「そう。じゃあ、おじさん、おばさんに宜しく言っておいてね。」っとお母さんが。
「うん。わかったよ。」
「美穂、戸葉君は、いつ来るんだ?」っとお父さんが。
「3が日過ぎた、最初の週末だよ、私もその日休み取ったから。」
「そうか。」何だかんだ言って、戸葉君と飲むのを楽しみにしてる、お父さんであった。
「戸葉君、お正月、実家に帰るのかしら?」
「確か。お正月仕事終わった後、帰るみたいだよ。」
「そう。お料理何作ろうかな?戸葉君に何か食べたい物あるか聞いておいてね。」
「うん。」お正月料理を美味しく食べ終え。
「ごちそうさま。」っと片付けをする。
「美穂、流しに置いていいよ。」
「うん。じゃあ、私着替えて、出掛けるね。」っと2階へ上がり、携帯を取り、里穂に今から行くねっとLINEをする。
「じゃあ、行ってきます。」
「美穂、夕食には帰るんでしょう?」
「うん。」
「じゃあ、気をつけて行ってらっしゃい。」
里穂家は、徒歩で数分の所にあるので、歩いて行くと、前から、里穂が。
「美穂、あけおめ。」っと歩いて来た。
「あれ?里穂どうしたの。あけおめ。」
「なんか、近所の神社並んでるみたいだから、先に行こうと思って。」
「そうなんだ。じゃあ行こう。」っと里穂と並びながら歩き、近所の神社に着くと。
「本当に並んでるね、里穂。」小さな神社ながら毎年正月には、初詣では並んで、いつもとは違う姿を見せる。
「でも、今年は、そんなに寒くないから良かったよね。美穂。」
「そうだね。」しばらく並び、参拝をする。
「美穂、今年は、戸葉君の事お参りしたんでしょう?」
「それは、そうでしょうって里穂は、今年こそ彼氏出来ますようにでしょう?」
「当然です。おみくじを引こうよ。」
「うん。いいよ。」おみくじを引くと、私は、中吉、里穂は、吉でした。
「吉か、まあまあか。」っと神社の御神木近くにおみくじを結ぶ。
「私も中吉だったから、まあまあだね。」っと里穂の近くに結ぶ。
それから、歩いて、里穂の家に向かう。
「ただいま。」
「お邪魔します。」っとスリッパを履き、居間に向かう。
「おじさん、おばさん、明けましておめでとうございます。」っと挨拶をする。
「あら、美穂ちゃん明けましておめでとう。今年も宜しくね」っと揃ってご挨拶をする。
「こちらこそ、宜しくお願いします。」っとおじさん、おばさんに挨拶してると、ドタドタと音がして、
「美穂姉あけおめ」っと声が
「純平君、一平君居たの?」
純平君と一平君は、里穂の2つ下の双子の弟君です。
「居たよ、今日は、久しぶりに美穂姉元旦休みだから、一平と待ってたんだよ。なぁ。」っと純平が一平君の方を見る。
「うん。最近、俺達も社会人になって美穂姉に会う機会少なくなったし。」
「2人ともありがとう。なんか、見ないうちに背伸びた?特に純平君。」
「そうか、まだまだ俺成長期だからな。」フッと笑いながら純平が言う。
「なに、カッコつけてるのよ。」
「ちょっと、美穂部屋来てよ。」っと2階で里穂が呼んでる。
「おじさん、おばさん、お邪魔しますね。」
「後で飲み物持って行くから、ゆっくりして行ってね」っとおばさんが。
私は、純平君と一平君と一緒に2階に上がる。
「あっ、そういえば姉ちゃんから聞いたんだけど、美穂姉彼氏出来たって、本当?」っと一平が聞く。
「あっ、俺もそれ聞きたかったんだ。」
って里穂の部屋に向かいながら純平と並んで話す。
「うん。って里穂に相手の話しは聞いて無いの?」
「うん。凄くイケメンの男としか。」っと純平が
里穂の部屋に到着。
「里穂、来たよ。」っと部屋のドアをノックする。
「どうぞ。」っと里穂が言う。
「お邪魔します。」っと何故か、純平君、一平君も一緒に入る。
「ねぇ、里穂、純平君、一平君に私の彼氏の話しはして無かったの?」っと里穂の近くに座る。
「だって、一平はともかく純平がベラベラとお父さんやお母さんに話しして、うっかり近所に知れたら大変だしね。」
「俺、そんなにお喋りじゃないから。」っと純平が
「なに、そんなに有名人なの?美穂姉の彼氏って。」っと一平が私の方を見て言う。
「それは、もうね。」って里穂も私の方を見る。
「有名人って事は芸能人って事?美穂姉どうやってそんな人と知り合ったのよ。」っと純平が聞く。
「話せば長くなるから、簡単に言えば、去年の春「どうぶつ学園」の生放送の観覧チケット当たったのは、聞いてる?」
「うん。確か姉ちゃん、腹痛くて行けなかったんだよね。」っと純平。
「そうよ。最悪だったわ。」っと里穂が悔しそうに言う。
「そこで、河村じゅんさんに会いに行った時に河村さんの勧めで友達付き合いから始まったのが今の彼氏なの?」
「へぇ、美穂姉、河村じゅんさんに会いに行ったんだ、美穂姉のじいじファンだったもんな。」っと羨ましそうに一平が言う。
「うん。だからどうしても会いたくてね。」
「ここまで言えば、なんとなく分かるでしょ。「どうぶつ学園」と河村じゅんさんと仲の良い人と言えば。」っと里穂が2人に聞く。
「全然。」っと同時に純平と一平が首を横に振る。
「うちの弟君は、本当に鈍いな。じゃあ、大ヒントを与えよう。」っと言うのを遮り
「ちょっと待って、里穂。本当に純平君、一平君に私の彼氏の事言って大丈夫かな?もちろん信用してるけど。」っと純平君、一平君の方を見て言う。
「美穂姉、心外だな。俺達が美穂姉を困らせる事はしないよ。そんな事したら、まず姉ちゃんに何されるか怖い。」っとさすが双子、純平と一平が口を揃えて言う。
「うん。信用してるからね。」
「信用して大丈夫だよ。それで姉ちゃん大ヒント教えてよ。」っとワクワクしながら純平と一平が里穂に聞く。
「では、あなた達もカラオケでも歌う事あるんじゃない?特に一平は、彼女にリクエストされたりするんじゃないかな。」っと一平の方を見て里穂が聞く。
「アーティストの方なの?」
「もう、大大ヒント、アイドルグループ。」っと里穂が言うと、純平がぶつぶつ言いながら考え事してる。
「おっ、純平は気がついたか。」
「姉ちゃん、まさかとは、思うけど、今のヒントで当てはまるのが居た気がした。」っと言った純平に一平も何か気づいたようで、
「2人、揃ってどうぞ。」っとまるでクイズ番組の司会者の様に里穂が言う。
「アイドルグループ「スカイハイ」の戸葉圭介さん?」っとまだ半信半疑の口調で純平と一平が言う。
「ピンポーン、ピンポーン大正解。」っと嬉しそうに里穂が言う。
「里穂、クイズ番組じゃないんだから止めてよ」っと私が言うと
「えー、嘘だろう?」っと大声で純平と一平が言う。
「美穂姉、嘘だろう。だって美穂姉アイドルに全然興味無かったんだろう。」っと私に向かって純平が言う。
「まあ、そうなんだけどね。」
「純平、これは、いよいよもって、美穂姉を諦める時が来た。戸葉圭介さんじゃ、勝ち目無いよ。」っと一平が純平の肩を叩く。
「嘘だろう、美穂姉、騙されてるんだよね」っと泣きそうな顔で純平が言う。
「諦め悪いな、純平は、美穂、今日あれしてるよね?」っと私の方を見て里穂が言う。
「プライベートでは、いつもしてるけど。」っと腕をまくり、圭介君とお揃いのブレスレットを見せる。
「はい。これがお付き合いの証拠。戸葉君がいつも一緒に居られないからって、プレゼントしたもの。意に反して、純平が思うより、戸葉君は、美穂にぞっこんだからね。」っと私の手首を里穂が純平君に見せるっと、純平君はガックリと肩を下ろし落ちこんだ。
「革のブレスレットって素敵だね、美穂姉。ちゃんとKのイニシャルがついてるって事は、戸葉さんのブレスレットには、美穂姉のMのイニシャルがついてるだね。」っと一平が私のブレスレットを見て言う。
「うん。圭介君センス良いから気にいってるよ。」っと嬉しそうに言うと。
「素敵な人と出逢えて良かったね、美穂姉が幸せそうで嬉しいよ。あっ、俺もそろそろ彼女とデートだから行くね。」っと立ち上がる、一平君に、
「一平君、申し訳ないけど、彼女さんにも私の彼氏の話しは控えて欲しいんだけど。」
「俺の彼女は、美穂姉と性格似てるから、他人を困らせるような事は、しないと思うけど、まっ、美穂姉が言うなら黙っておくよ。」っと一平は、私の頭を軽く叩いて言う。
「うん。ありがとう。一平君。いてらっしゃい。」っと言うと、
「いってきます。純平宜しくな。」っと一平が言って里穂の部屋を出て行くっとすれ違いに、おばさんが、
「里穂、美穂ちゃん飲み物持って来たわよっとあれ?純平も居たのって、どうしたの?なんか純平の頭の上に雨雲が居るようだけど。」
「あはは、お母さん気にしないで、美穂に彼氏が出来て落ち込んでるだけだから。」
「あら、美穂ちゃん彼氏出来たの?どうりで、さっきお父さんが美穂ちゃんなんか綺麗になったなって言ってたのよ。」
「ありがとう。おばさん。」
「それに引き換え、うちの純平は、一平、見習って彼女位作りなさいよ。」っと言って、里穂の部屋を出る。っとさっきから純平君は、顔を下に向けたまま、何も喋らないでいる。
「純平君?」っと心配になって声をかける。
「ほっときな、美穂、いじけてるだけだから。」っと飲み物を口に運ぶ。
「頂きます」っと言って飲み物を口を運ぶ。
「ちょっと、純平、いじけるなら、自分の部屋にしてよ、せっかくの正月なんだから、暗い気分にさせないでよ。」っと里穂が言うと、立ち上がり、私の方を見て、
「美穂姉、俺の部屋でゲームやろう」っと純平が私の腕を掴んで、引っ張って行く。
「ちょっと、純平君、何を急に。」っと
「俺諦めないから」っと純平君が呟くように言う。
「ちょっと、純平、勝手に美穂を連れて行くな。」っと慌てて、里穂が純平の部屋に行く。その時、携帯がピコーンと鳴った気がした。
「よし、美穂姉久しぶりに対戦だぞ。」っと純平がやる気満々でゲームをやろうとする。
「ちょっと、待って、今携帯にLINE入った気が。」っと言うと
「そんなの後々、よし初めるよ。」っと言ったので、
(一回対戦した後で良いか)っと思い、純平君とゲームを始めた。
しばらくして、
「あー、又負けた。純平君強すぎ、里穂交代して。」っと里穂にバトンタッチして、携帯を見ると、圭介君からLINEが。
「美穂、あけおめ。久しぶりの元旦休み
、里穂ちゃんと過ごしてるのかな?俺は、さっき実家に、帰った所だよ、夜に仕事があるから、一旦仕事行ってから今日は、実家に泊まる予定だよ。」っと入っていたので、
「圭介君、あけおめ。久しぶりの元旦休みは、里穂の実家に居て、里穂の双子の弟の一平君と純平君とも挨拶して、今、一平君は、出掛けたけど、純平君と里穂でゲームしてる所だよ。」っと返すと。
「美穂姉、次、美穂姉の番だよ。」っと純平君が。
「ちょっと、純平、今美穂、彼氏とLINE中なんだから、気利かせないさいよ。」っと後ろで話していたけど、すぐにピコーンっと鳴ったので、
「ちょっと待ってて」っと言いLINEを見る。
「美穂、里穂ちゃんって弟居たんだね、あっ、分かってると思うけど、部屋で2人きりにならないでね、一応、男なんだし。」っと返って来たので、
「大丈夫だよ。里穂も一緒だから、圭介君久しぶりの実家ゆっくりしてね。夜は、スカイハイの番組観るからね。」っと返す。
「うん。美穂も楽しい正月過ごしてね。夜又LINEするから。」っと返信が。
そんなやり取りを見てた、純平君が。
「ねぇ、美穂姉、今、戸葉さんからLINE来たの?」
「そうだけど、圭介君忙しいのに、朝か晩必ずLINE来るんだよ。」
「ねっ、言ったでしょ、戸葉君は、美穂にぞっこんだって。」っと里穂が。
「ふーん。」っと面白く無さそうに呟く。
それから、結局、夕方位までは、純平君の部屋で色々なゲームをして遊び、久しぶりに童心に返り楽しい正月を過ごした。
3が日が過ぎた最初の週末
朝ごはんを食べ、部屋の掃除をする。
下でも、掃除機の音がしてる。
(今日は、久しぶりに家に圭介君来るから、お母さんも念入りに掃除してるんだろうな)っと思ってると、ピコーンっとLINEが
圭介君から来た。
「美穂、おはよう。今日14時頃着く電車に乗るから、駅で待っててね。」
「圭介君、おはよう。着く時間了解しました。その時間に駅で待ってるね。」っと返信。
お昼になり、軽く昼食を食べ、圭介君にプレゼントされた服に着替える。
(けっこう、丈短い、タイツ履かないと恥ずかしいかも)っと鏡を見ながら思い。
支度をして下に降りる、キッチンで料理してたお母さんに
「どう?圭介君がプレゼントしてくれたスカート」っと聞くと。
「あら、良いんじゃない。うん、たまにはこうゆうスカートも似合うわよ」っとお母さんは言ったが
「美穂、ちょっと丈短すぎる。年頃の娘がそんなに露出するなんて。」っと何故かキッチンに居たお父さん。
「あら、良いと思うわよ、美穂小柄だから似合うし、この位しないと、戸葉君のファンに負けちゃうでしょ。」っとお母さんが言ったが、まだ納得して無い顔のお父さん。
「お父さんの事は、気にしなくて良いから、そろそろ戸葉君迎えに行く時間じゃない?」っとお母さん。
「うん。圭介君と神社で参拝してから家に戻るから。」
「ゆっくりデートしてらっしゃい。くれぐれも運転気を付けてね。」
「うん。行って来ます。」っと玄関を出て、車に乗る。
(久しぶりに圭介君に逢うの楽しみだな)っとウキウキしながら駅に向かうが、まさか、あいつが居るとは。
駅に着き、いつものパーキングに車を停め、駅の待合室へと歩いてると、見に覚えの声が。
「美穂姉」っと駐輪場の方から声が
「純平君なんでここに居るのよ。」っと驚いた。
「なんでって、美穂姉の彼氏を見に待ってたんだよ。」っと普通に答えた。
(そういえば、正月の時、ゲーム後、里穂の部屋で戸葉君にいつ会うのって聞かれたから、最初の週末って答えたけど)
「純平君、里穂との会話、盗み聞きしてたの?」
「失礼だな。たまたま聞こえただけだよ。それより美穂姉、今日、けばく無い?」
「ちょっと、そんなに化粧濃くないわよ。失礼だな。」
「美穂姉は、化粧しなくても綺麗だよ」っと真顔で見つめて言うから、ちょっとドキッとしたが、
「それは、ありがとう。だけど、さすがに彼氏に逢うのに、スッピンはあり得ないでしょって言うか、もう、圭介君来る時間だから、もう帰りなさい。」っと時計を見て待合室の方に歩く。
「美穂姉冷たいな。」っと後ろで言ってるのを無視して、待合室に座り、圭介君の乗った電車を待つ。
しばらくすると、時間通りに電車が入って来た。ドキドキしながら、改札口の方を見る。
人混みの中から背の高い、帽子とマスクをした男性が見えたから、すぐに圭介君と分かった。
(今日は、ブラウスとパンツ姿に上からダウンジャケットを羽織ってる。帽子とマスクしてても格好いいからすぐ分かる)っと彼氏バカな事を思い、
「圭介君」っと小さな声で手を振ると、気がついたのか、私を見つけ、
「美穂」っと改札口を通り、
「逢いたかった」っとお決まりのハグ。
「圭介君ったら、私も逢いたかったたよ」っと言うと、
「うん、やっと、美穂の笑顔に逢えた。俺嬉しい。」っと抱きしめたまま言う。
さすがに周りはジロジロ見てるが圭介君は気にする様子無し。
やっと離れて、私の姿を見て、
「美穂、可愛いい。ミニスカートやっぱり似合うよ。」っと言い。
「ありがとう。圭介君。ファーも暖かいよ。」っとファーを持って言う。
「うん。良かったよ。ってあの、美穂さっきから後ろで俺の事ガチ見してる男性って美穂の知り合い?」っと私の後ろを見て言うから、振り返ると、
「純平君、まだ居たの?」っと帰らずに居た純平君に言う。
「だって、美穂姉、俺、生で芸能人見るの初めてだから、この手を逃したくないし。」って悪びれる様子も無く言う。
「美穂、純平君って里穂ちゃんの双子の弟の?って何で、美穂姉なの?」っと圭介君が純平君の方を見て言う。
「里穂と区別つける為に、私は、小さい頃から美穂姉と呼ばれてるの。」っと圭介君の方を見て言う。
「あっ、なるほどね」っと納得した圭介君と一緒に純平君の方へ歩く。
「初めまして、戸葉さん。田村純平って言います。よろしく。」っと純平君は、圭介君に右手を出して、握手を求めた。
圭介君は、周りを気にしながら、マスクを取り、
「初めまして、美穂の彼氏の戸葉圭介です。」と言い、笑顔で握手に応じたが、
「痛っ。」俺は、ビックリして、純平君の方を見た、純平君は、ニヤッと笑ってた。
(俺、何かしたか?)隣の美穂は、気がつかず不思議そうに俺を見てた。
「なぁ、美穂姉、戸葉さんってテレビで見るよりかっこ良いなぁ、美穂姉には、もったいないよ」っと純平が私の方を見て言う。
「ちょっと、純平君それって。」っと私が反論するのを遮り、
「戸葉さん。美穂姉の彼氏なんだから、俺にとって、お兄さんだよな。圭介兄ちゃんって呼んで良い?」って今度は、圭介君の方を見て言う。
戸葉「えっ。」っと驚く圭介君に対し私は、
「純平君、姉弟揃って、初対面から圭介君に失礼過ぎるよ。」っと強い口調で言うと、隣の圭介君が、急に私の手を握り、大丈夫だよって顔で私を見た。
「良いよ。俺、弟って居ないから、お兄ちゃんと呼ばれるの憧れてたから。」っと嬉しそうに言う。
「さすが、美穂姉の彼氏だな。優しいな。」っと調子良く言う。
「純平君、調子に乗り過ぎだぞ。」
「そういえば、美穂、純平君って双子だよね?一平君だっけ。今日は?」っといつの間にかマスクしてた圭介君が私に聞く。
(さすが、記憶力の良い圭介君。名前覚えてたか。)
「今日、週末だから、一平君、デートだよね?」っと純平君の方を見て言う。
「ああ、一平なら今日朝からウキウキしながら、デート行ったよ。」っと面白く無さそうに答える。
「私達もこれからデートなんだけど、なんでここで道草食わなくちゃいけないのかな?」っと純平君に嫌み混じりに言うと、
「それは、美穂姉が、俺の初恋の相手なんだから、その彼氏がどんな奴か気になるだろう?」っと言うから、私はかなり慌てた。
(圭介君の前で言う事じゃないでしょう)っと圭介君を見る。
(あー、どうりで、あの態度の意味が分かったよ。そうゆう事か。)っと隣で慌ててる美穂を見て、俺は納得した。
「純平君。お兄さんから一言、言っていいかな?」純平君は、?マークをしながら頷いた。
「初恋って、ほとんど、実らないものだから、美穂の事は、諦めてね。美穂、そろそろ行こうか。じゃあ、またね。純平君。」っと言うと、私の手を掴み、駐車場へと歩き出す。
私は、呆然と立ち尽くす純平君に
「純平君、自転車なんだから、気を付けて帰りなさいよ。」っと叫んだ。
その声に我に返った、純平君。
「戸葉圭介って、意外と闘争心あるんだな。まっ、そうこなくっちゃ、面白く無いよな、圭介兄ちゃん。」っと1人事の様に呟いた。
一方、圭介君は、私の手を掴み、ズンズンと駐車場に歩いて行く。
「ちょっと、圭介君どうしたの?」圭介君に声をかけるが、無言で歩く。
私の車の前に来て、開けてっと仕草をするから、開けると、助手席に乗り、私も慌てて、運転席に乗る。
「ねぇ、圭介君どうしたの?なんか怒ってる?」っと聞くと、マスクを外し、
「別に、久しぶりに逢う彼氏にまさか美穂に好意持ってる男を紹介されたからって怒ってないけど。」っと言い、ぷいっと窓の方を見る。
「ごめん。圭介君。純平君、正月に里穂の部屋で圭介君に逢う話しを聞いてたみたいで、私も今日駅に来てびっくりして、圭介君に会わせるつもりなんて全然無かったんだよ。」っと申し訳無さそうに言う。
(そうだろうな。美穂がそうゆう事するわけないけど、んっ?純平君こっち見てる?諦め悪いな。)俺は、サイドミラーを見ながら、
「美穂、俺に機嫌直して欲しい?」っと聞く。
「それは、もちろんだよ。」っと言うと、俺は、美穂の方を見て、
「じゃあ、美穂から、俺にキスして。」っと意地悪口調で言う。
「えっ。」(私、自慢じゃないけど、自分から男の人にキスした事無いんだけど、でも。圭介君になら。)っと戸惑いながら、
「分かったよ。」っと圭介君に顔を近づけてキスをする。
(あっ、久しぶりの圭介君とのキスやっぱり気持ち良い)っと思い、顔から離れると、いきなり、私の腕を引き寄せ、半ば強引にキスをした。
(圭介君どうしたんだろ、急に。)っと思いながら、長いキスをした。
顔から離れると、私の車のルームミラーを見て、
「やっと、純平君行ったか。」っと一言。
「えっ、純平君ずっとこっち見てたの?」
「そう。だから、わざと見せつけてやった。」っと勝ち誇った様子で、
「そんな。大人げない事を。」っと言うと、
「どっちがだよ、最初握手した時、俺の手思いっきり握ったんだよ。いや、痛かった。」っと右手を振って言う。
「あっ、ごめん、純平君って握力超強いんだよね。」っと謝ると、
「最初、俺何かしたか、気になってたが、純平君の最後の言葉を聞いて分かったよ。」
「本当に、圭介君に嫌な思いさせて、ごめん。前に彼氏と別れた時、純平君に告白されたけど、ちゃんと、弟としか見られないっと断ったんだけど、全然諦めて無くて、一平君は、ちゃんと諦めて、彼女作ったのに。」っと言うと、
「ん?一平君も美穂が初恋の相手?」っと聞くから。
「双子だから、好きな物は一緒なのよ、まさか初恋の相手まで一緒とは、思わなかったけど。」っと言い、圭介君の方を見て、
「でも、純平君、悪い子じゃないのよ、少々性格に悪い所もあるけど、私が精神疾患を患い、カウンセリングに通ってた頃も、里穂だけじゃなく、純平君も一平君も、おじさん、おばさんが嫌がるのを無視して、変わらずに接してくれた、大切な存在なの。だから、圭介君の気持ちも分かるけど、純平君の事嫌いにならないで欲しいの。」っと必死に言うと、圭介君は、私を抱きしめ、
「分かってるよ。俺の事を話したって事は、純平君も一平君も信用できる人だって事だろう。そんな人に悪い人は、居ないよ。だけど、純平君の性格はちょっと、問題があるけど、俺、どんなに純平君が美穂の事好きでも譲る気は、無いから。」っと私の目を見て真剣に言うと、
「うん。」っと頷いた。
「じゃあ、そろそろ行こうか。遅い初詣。美穂に、これ以上悪い虫がつかないようにお参りしておかないとな。」っと言うと
「なに、それ。私が好きなのは、圭介君だけだよ。」っと笑顔で返し、エンジンをかけると、
「分かってるよ、美穂、手を出して」っと言ったので、手を出すと100円玉が、
「クスッ、駐車場代ありがとう。」
「どういたしまして。」
参拝する神社に向けて走り出した車の中。
「そういえば、気になってたんだけど、後ろの席に置いた大きな荷物って何?圭介君。」
「ああ、これ、実家に帰った時、俺の親父が毎年会社で仕事納めにお神酒の日本酒貰うんだけど、俺の家、日本酒、俺以外誰も飲まなくて、料理酒に使っても毎年余るから、彼女の家に、日本酒飲むなら持っていけって、美穂所、お父さん飲むよね?」
「うん。お父さんは、じいじと同じ位好きで飲むよ。私は、苦手だけど、圭介君って日本酒飲むの?」
「最初は、俺も飲まなかったんだけど、河村さんに勧められて、飲むようになったんだ。」
「へぇ、そうだったんだね」っとお酒話しをしながら、いつの間にか神社に到着。
駐車場に車を停めると、まだ出店が出てたから、いい匂いがした。
「けっこう、大きな神社だね、美穂。」
「そうだね、この辺りでは、一番大きな神社だから、正月も参拝客多いんだよね。」っと圭介君と恋人繋ぎをして歩きながら言う。
「それにしても、良い匂いだな。」っと圭介君が歩きながら言う。
「ここ、3が日過ぎても1週間位は、出店出てるんだよね。」
「そうなんだ。美穂は、出店で何が好き?」
「わたあめかな。良く小さい頃、正月にじいじと参拝に行った時に、神社の出店の食べ物は、縁起が良いんだよって、毎年のように買ってくれた思い出があるの。」
「へぇ、そうなんだ。」っと言い、鳥居をくぐり、手と口をすすぎ、清めて、本殿へと。お賽銭を入れて、圭介君と一緒にお参りをする。
(願う事は、正月の時と同じく圭介君と一緒に居られますように。)っと、お参り後、まだ売っていた、御守りを買うと、圭介君が
「おみくじ引かない?」っと言ってきた。
(私、2回目になるけど、圭介君と引きたいから)
「うん。いいよ。」っと一緒に引く。
おみくじを引くと、まさかの大吉で、
「うそ。」っと小声で呟くと、圭介君が横から覗きこむ。
「美穂、大吉って今年は良い事あるね。」っと私以上に嬉しそうに言う。
「圭介君は?」
「俺、中吉だよ。」
「私、一回目、里穂とお参り行った時、中吉だったんだよね。これは、大吉だし、圭介君と初めて一緒に行った参拝だから、お財布に入れておこう」っと嬉しそうに言う。
「俺は、結んでおこう。美穂が大吉だから、俺もきっと良い事あるよね。」っと背の高い圭介君は、一番上に結びながら言う。
「うん。一緒に良い年にしようね。」っと言い、又鳥居をくぐり、お辞儀をして、駐車場に向かい歩きだすっと、圭介君が出店のわたあめ屋の前で止まる。
「圭介君どうしたの?」っと声をかけると、
「美穂、どれが良い?今年は、俺が買ってあげるよ」っと指を指して聞く。
「えっ、いいの?ありがとう、これが良いな。」っとお気に入りのキャラクターの袋に入ったわたあめを買ってもらった。
「縁起物でしょ、俺も少し貰おう。」
「うん。一緒に食べよう。」っと駐車場に向かい、車に乗り、途中、圭介君を車に残し、スーパーで、お母さんに頼まれた、買い物をして、自宅へと向かった。
自宅に到着した頃には、夕方になっていた。
「ただいま。圭介君来たよ。」っと玄関を開け声をかけると、すぐにお母さんが来て、
「あら、戸葉君いらっしゃい。」
(ん?今日も化粧濃い気がするお母さん。)
「ご無沙汰してます。これ、お茶菓子と、俺の父が、毎年、会社から頂いてるお神酒の日本酒何ですが、宜しかったら、お飲み下さい。」っと圭介君が、お母さんに渡すと、
「あら、いつもありがとう。お神酒なんて縁起の良い物、お父さん喜ぶわ。どうぞ。」っとスリッパを出す。
「お邪魔します。」っとスリッパを履き、
キッチンに向かうとお父さんが居たので、
「おじさん、おばさん、遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いします。」っと頭を下げご挨拶をする圭介君に
「こちらこそ。今年も美穂共々宜しくお願いしますよ。戸葉君。」っとお父さん。
「新年早々、お仕事お疲れ様、今年も宜しくね。戸葉君」っとお母さんが挨拶するのを見て、
「じゃあ、私着替えて来るね。」っと言うと、
「えー、美穂着替えちゃうの?」っと残念そうに言う、圭介君。
「美穂、せっかく似合ってるんだから、そのままの格好で良いんじゃない?お父さんの事は、気にせずに。」っとお母さんが言ったので、お父さんをチラッと見たが何も言わなそうなので、
「そうだね。じゃあ、圭介君、手洗ってこよう。」ってコートを脱いで、圭介君もダウンジャケットをダイイニングテーブルの椅子に掛けて、洗面所へ向かう。
戻って来ると、ダイイニングテーブルには、お母さんの作った、ご馳走が並べてある。
「夕飯には早いけど、食べる?美穂。」っとお母さんが聞く。
「そうだね。お昼軽めだから、食べても良いよ。圭介君は?」っと圭介君の方を見る。
「俺も、さっき神社で屋台の匂い嗅いだら、ますますお腹空いたよ。」っとお腹をさすりながら言う。
「お父さんは、ビールで良いの?」っと隣を見ながら聞くお母さん。
「ああ。戸葉君は、最初ビールで良いのか?」っと前に居た圭介君に聞く、お父さんに。
「はい、大丈夫です。」っとまだ緊張してる圭介君が応える。
「あっ、お父さん、圭介君明日仕事あるんだから、あんまり飲ませないでよ。」っとお父さんに向かって言う。
「分かってる。でも、せっかく戸葉君に縁起の良い、お神酒を頂いたから、一緒に飲みたいが、日本酒は飲めるのか?」っと圭介君に聞くお父さん。
「はい、飲めます。」っと圭介君が
(本当に大丈夫かな?)っと心配をする私。
「美穂、とりあえずお茶で良い?」っとお母さんがお茶を渡す。
「それでは、改めてまして、遅くなったが、明けましておめでとう。乾杯。」っとお父さんが言い、グラスを合わせた。
その後、私とお母さんは、ご飯を食べながら、お父さんと圭介君は、お酒を飲みながら、楽しい夕飯時間を過ごす。
そして、1時間後。
「ちょっと、お父さん大丈夫?」っとお母さんが心配そうに聞く。
「ああ、久しぶりに飲み過ぎた、ちょっと部屋で休む」とフラフラしながら部屋に向かう。
「圭介君、大丈夫?」っと隣でテーブルに顔を下にしてる圭介君に聞いた。
「いや、お父さん、本当にお酒強いな、河村さんと飲んでるみたいだよ。」っと私の方を見て言う。
「美穂、戸葉君、美穂の部屋に連れて行って休ませてあげなさい」っとお母さんが言ったので、
「圭介君、私の部屋行こう。」っと言うと、立ち上がり、
「うん。美穂、俺のジャケットと荷物持って来て。」っと言ったので、圭介君のダウンと荷物と私のコートを持ち2階に上がる。
部屋に入ると、
「美穂、ベットで横になって良い?」っと少し赤い顔の圭介君が言う。
「うん。いいよ。」(あー、あー、心配が的中するとは)っと思いながら、横になる圭介君を見た。
(ヤバい。このベット美穂の匂いがする。このまま、寝ていたい)っと思い、美穂に見えないように、うつ伏せになり、スリスリする。横には、心配そうに見る美穂の姿が。
「美穂、大丈夫だよ。」俺は、横向きになって、声をかける。
「うん。」っと安堵の顔で頷く。
「圭介君、少し休んでからで良いから、これ、受けとって。」っと茶色の紙袋を見せると。
「もしかして、みほちゃん人形作ってくれたの?」っと、がばっと体を起こしたから、
「あっ、だめ急に起きちゃ。」って言ったが遅かったみたいで、目眩がして、又布団に倒れた。
「もう、圭介君ったら起きるならゆっくり起きないと。」って言って、枕を背中にして、体を起こさせた。
「ごめん。だって嬉しくて。」っと言う、圭介君に
「しょうがないな。では、遅くなりましたが、クリスマスと誕生日プレゼントです。」っと紙袋を渡す。
「ありがとう。美穂」っと受けとると、
「おっ、可愛いな。これ、座れるように足曲がるんだね。」っと嬉しそうに言う。
「うん。その方が飾りやすいと思って、目も少し改良しました。」
「うん、うん、大きさ丁度良い、部屋に飾っておけば、いつも一緒だね。ってあれ?もう1個あるね。」っと不思議そうに包み紙を見る。
「うん、さすがに誕生日も一緒なのに、みほちゃん人気だけでは、っと思ってね。」
「美穂、開けて良い?」っと包み紙を持って言う。
「うん。どうぞ。」っと言うと包み紙を丁寧に剥がしていく。
「これ。」っと驚いた様子で見る。
「冷感のスポーツタオル、汗をかいて拭くとひんやりするんだって、ほら、圭介君、ダンスの練習する時に良いかなっと思って、店員さんも、まだ付き合いって間もないカップルには、価格もリーズナブルでお勧めしてくれたんだけど、どうかな?」っと説明してると、圭介君は、タオルを見たまま。
(あれ?気に入らなかったかな?)っと心配そうに
「圭介君?」っと声を掛けると、
「美穂。俺、嬉しい。」っと目をうるうるさせてこっちを見た。
(えっ、もしかして感激して声出なかったの?)
「うん。喜んでくれて良かったよ。前にスカイハイバトルのトークで家でも自主トレするって話ししてたから。」っと言うと
「やっぱり、普段使い出来る物プレゼントされるのが一番嬉しいよ。これから、練習の時に使うね。」っと笑顔で言う。
トントンっとドアをノックする音が
「美穂、戸葉君入って良いかな?」っとお母さんが、
(あれ?この匂いもしかして。)
「はーい。」っと返事する。
「美穂、なんか凄い匂いしない?」っと圭介君が、お母さんが入って来ると、その匂いは強くなった。
「戸葉君、具合大丈夫?」っと戸葉君の方を見てお母さんは言う。
「ええ、何とか大丈夫です。」っと笑顔でお母さんに返す。
「ねぇ、お母さん、この匂いもしかして。」っと怪訝そうに聞く。
「うん。そうよ。佐川家特製の二日酔いに聞く漢方茶よ。」っと普通に言う。
「出た。まさか、それ、圭介君に飲ませるの?」
「そうよ。だって、戸葉君、明日仕事でしょ、お父さんのせいで、二日酔いになったら大変だからね。」
「その、お父さんは大丈夫なの?」心配そうに聞く。
「大丈夫だよ。今からこれ飲ませに行くから、美穂、彼女なんだから、彼氏の体調も管理もしっかりしないとね。ちゃんと戸葉君に飲ませなさいよ。これ。」っと漢方茶を指して言う。
そんなやりとりを聞いていた圭介君、
「美穂、その漢方茶効くの?凄い匂いだね。」っと心配そうに聞く。
「うん。実際私も前に里穂とバイキングに行った時にはめ外し過ぎて、飲み過ぎた時の次の日の朝、これ、飲まされて、午後から体調良くなったから、効果は、実証済みだよ。」って自信満々で言う。
「じゃあ、お父さん所に行くから。」ってお母さんが部屋を出ると、圭介君が私の隣に来て、
「近くに来ると、ますます匂いが凄い。」
って嫌そうにお茶を見る。
「温かいうちの方が飲みやすいと思うけど。」っと私が勧めると、
「それでは、覚悟を決めて頂きます。」っと圭介君がカップを持つと、下から、
「ギャー。」っと悲鳴に近い声が。
「ねぇ、美穂、今の声お父さん?」
「うん。お父さんもこれ苦手なのよね。」
「あのお父さんも苦手なんだね、では、気を取り直して、頂きます。」っとお茶をごくごくと飲み始めた。
(あれ?もしかして圭介君平気そう?)っと心配そうに圭介君を見てると、
「あっ、これ匂いのわりには、大丈夫かも、スカイハイバトルで負けた時、罰ゲームで青汁飲んでるからかな?」っと余裕で飲みながら言う。
「ああ、あれって凄く苦いの?」
「うん。俺じゃんけん弱いから、良く飲まされているから、苦いのは、大丈夫かも。あー、でも、やっぱり苦い。ご馳走さま。」 っと頑張って飲んだ圭介君は、こっちを見て、
「美穂、ご褒美は?」 っと唇をさす。
「仕方ないな。圭介君飲んでくれて、ありがとう。」っとキスをすると、口に何かゴックンっと入った。
「ごほっ、ごほっ、圭介君もしかしてこれ?」圭介君の方を見ると、
「うん。漢方茶美味しかったでしょ。美穂」ニッと笑いながら、
「ひどい、圭介君、私今日はお酒飲んで無いよ。」っと圭介君を叩こうとすると、すぐに手を掴み
「痛み分けだよ、この方が苦味も半分になるでしょ」笑顔で言われる。
(もう、圭介君ったらそんな笑顔で言われたら、怒れないでしょ)とふてくされた顔で圭介君を見ながら思うと、
「怒んないでよ、美穂、ごめんね。」っと頭を撫で撫でしながら言う。
「別に怒ってないけど。」
「そう、なら良かった。美穂、俺の荷物取って」っと圭介君が持って来た、デニムの手提げ袋を取る。
「これ、去年、ダイ君から預かった物」っと袋からボロボロになった、みほちゃん人形を取り出した。
「あら、ダイ君、こんなになるまで、持ってたんだね。」みほちゃん人形を撫でながら言う。
「うん。片時も離さず持ってたみたいだから」
「少し直すのに時間かかるから、私の方から小川さんに連絡してダイ君に渡すね。」
「うん。そうだね。」静かに言う。
「圭介君、気にしてるんでしょ?去年、小川さんに、言われた事。」
「うん。気にして無いって言ったら嘘になるよ。でもなんか聞きづらいし、でも、新年度から、俺、いきもの係のコーナーも始まるし、小川さんの所行く事多いから、本音聞かないと気まずい雰囲気なりそうで。」
「確かに、男同士ってそうゆう所聞きづらいよね、だから私が聞いておくよ、私と圭介君の交際反対してるのかどうか。」
「うん。ありがとう。美穂。俺もし反対しても、ちゃんと努力して認めてもらうから、小川さんと一緒に仕事したいし。」っとやっと明るい声で言った。
「うん。じゃあ、みほちゃん人形お預かりして、後で小川さんに新年の挨拶と一緒に連絡しておくね。」圭介君に言うと、
「うん。よろしく美穂。」っとゴロンっと私の膝に頭を置いて、
「少し寝ていい?」っと甘えた声で言う
「どうぞ。」
「うん。頭重くなったら下ろして良いから。」っと目をつぶった。
しばらくして、トントンっとノックが
「美穂、入って良い?」っとお母さんが飲み物を持って来た。
「入って良いけど、静かに、圭介君寝てるから。」っと小声で言うとそっと入って来て、
「あら、戸葉君、美穂の膝枕で気持ち良さそうに寝てるわね、なんか美味しそうな寝顔ね。」っとよだれを拭く仕草をしながら言う。
「ちょっと、お母さん、娘の彼氏に手出さないでよ」小声で怒ると、
「そんな事したら、お父さんに怒られるからしないわよ、それにしても、こうやって見ると、普通の男の人で、とてもアイドルやってるように見え無いわね。」っと優しい目で圭介君を見る。
「どうしたの?急にお母さん。」っと隣に座ったお母さんを見る。
「うん。戸葉君寝てるか言うけど、お父さんまだ、純平君や一平君の事諦めてないみたくて。」
「えっ、まだあの20歳の出来事引きずってるの?2人の成人式に挨拶に来た日、いきなりどっちか私を嫁に貰って欲しいなんて、言われて、私は、ちゃんと断ったのに。」
「本当に、いまさらよね、きっとお父さん寂しいのかも、美穂もいつかは、戸葉君が住む東京に行くんでしょ。」っと美穂を見て言う。
「それは、まだ先の話しだけど、いつかは、圭介君の住む東京に行きたいと思ってるけど、茨城と東京なんて近いんだから、何かあっても直ぐ帰って来れるんだから、心配する事ないでしょ」っと圭介君の頭に手を置いて言う。
「本当に、散々、戸葉君とお酒交わしておいて言うセリフじゃないわよね。いつか、子供は、親の元を離れるのは、当たり前なのにね。」お母さんは、寂しく言う。
「お母さん。」申し訳ない顔で見つめる。
「美穂、お母さんは、これから先周りに何を言われても美穂と戸葉君のの味方だから、だから、美穂も戸葉君の事を信じて、お付き合いしなさい」っと美穂の目を見て言う、
「ありがとう。お母さん。」っとお母さんの手を取って言う。
「うん。じゃあ、お父さんの様子見て来るから、美穂も時間になったら戸葉君起こしなさいよ。」っと立ち上がり、部屋を出た。
私は、机にある写真立て1つを見る。それは、社会人になる前、里穂と純平君と一平君と旅行に行った写真。
(本当に小さい頃から、里穂と同じく一緒に居て、幼なじみ以上の関係なのに、今さら、男として、純平君と付き合うなんて無理な話しだよ)っと改めて思い、はぁ、っとため息をつくと、
「美穂?」っと圭介君が、
「あれ?起こしちゃったかな?もしかして、さっきのお母さんとの会話聞いて無いよね?」っと心配そうに見て聞く。
「うーん?少し聞こえてた。」っと申し訳なさそうに言う。
「そっか、あんまり気にしなくて良いよ、お父さんの事も純平君の事も私が好きなのは、圭介君だけだし。」っと笑顔で言う。
「うん。でも俺ももっとお父さんに認めてもらえるように、仕事も美穂の事も頑張るよ。」っと私の目を見て言う。
「うん。私も今年も頑張る圭介君を見てるからね」っと笑顔で返す。
その後、時間まで、買ってくれた、わたあめを2人で食べたりっと短い2人だけの時間を楽しんだ。
帰る時間になり、2人揃って下に降りると居間にお父さんが起きて、お茶を飲んで居た。
「お父さん、もう起きて大丈夫なの?」っと心配そうに声をかける。
「ああ、大丈夫だ。戸葉君もう帰るのか?体調は大丈夫なのか。」っと圭介君の方を見て聞く。
「はい。あの漢方茶のおかげで、明日、二日酔いには、ならなそうです。」っとお父さんに返す。
「そうか、それなら良かった。では。」お父さんは、立ち上がり、玄関へと。
「おじさん、おばさん、今日は、ご馳走様でした。おばさんの料理美味しかったです。」っとお母さんとお父さんに
「あら、嬉しいわね。戸葉君ありがとう。又いつでもご飯食べに来てね。」ハイテンションのお母さんが言うと、少しムッとした様子のお父さんが
「戸葉君、忙しいと思うが、又時間ある時でも晩酌しに来なさい。」っと言ったので
「飲まさせ過ぎには、注意してよ、お父さん」って間に入って言う。
「ありがとうございます。おじさん、おばさん。又お邪魔させて頂きます。」っとお辞儀をして、玄関を出て。
「では、お休みなさい。」っと又軽くお辞儀をする。
「お休み、戸葉君、又テレビで戸葉君の活躍美穂と見るからね、気をつけて帰ってね。」っと嬉しそうに言うお母さんに。
「ありがとうございます」っと笑顔で返す。
(あー、お母さん、今夜は、嬉し過ぎて寝れないだろうな)っと思い、車の鍵を開けると、
「美穂、ちゃんと安全運転で戸葉君送りなさいよ」っとお母さんが
「はい、はい、分かってますよ、じゃあ、圭介君行こう。」っと、圭介君が助手席に乗り、車は、駅へと走り出した。
駅に到着して、夜なので、車ほとんど無いので、駅前に車を停める。
「電車、もうそろそろかな?」っと駅の方を見て言う
「うん。美穂、今日は、ありがとう。プレゼントとみほちゃん人形飾っておくよ。」
「こちらこそ、本当に麻宮君にサイン貰ってくれるなんて、里穂喜ぶよ。」
「うん。里穂ちゃんによろしくね。じゃあ、そろそろっとその前に。」っと私の方を見て、長いキスをした。
「これで、当分は、仕事頑張れそうだよ。」っと私の顔を見て言う。
「うん。私も頑張るよ。またね、圭介君。」っと笑顔で返した。
「ああ、またな、美穂」っと車を出て、駅の改札口へと歩き出す、圭介君を運転席から見送る私に、振り返り、手を振る。改札口を通り、ホームへと行くのを見て、車を走らせた。
(あっという間の時間だったな。今度は、いつ、逢えるのかな?帰ったら、小川さんにメールしないと。)っと少し寂しい気持ちのまま、家へと向かった。
2月中旬の休みの日
朝食を食べ、台所でガタガタと、お菓子作りの準備を始めた。
今日は、午後から、小川トレーナーの所に行くので、前に約束したお菓子を作る事に。
(久しぶりのお菓子作り、上手に作れるかな?)不安に思いながら、チョコクッキーとプレーンクッキーの2種類作る事に。
「美穂、何かお手伝いする?」っとお母さんが声を掛ける。
「大丈夫だよ。あっ、先にオーブンのスイッチだけ入れてくれる?」っとお母さんにオーブンを温めてもらい、お菓子作りに四苦八苦しながら、何とか、お昼前には完成した。
「よし。出来た。」っと言うと、
「良い匂いね、美穂、味見して良い?」っとお母さんが、
「良いけど、まだ出来ただから熱いかも?」っと言う前に、
「頂きます」っと食べ初めてた。
「熱い、あっ、でも美味しいわね、美穂甘さ控えめにしたのね。」っとモグモグしながら言う。
「うん。いっぱい作ったから、お父さんにもあげて。」っとお皿に乗ったクッキーを見て言う。
「あら、お父さん喜ぶわよ、久しぶりの美穂のお菓子。感激して食べれ無かったりして。」
「そんな、大袈裟な。さて、そろそろ支度しないと。」っとクッキーを袋に詰めて言う。
支度をして、下に降りると
「美穂、今日は、銚子まで行くから遅くなるよね?夕食どうする?」っと台所で私の作ったクッキーを食べながら聞く。
「一応、用意して、今回は、用事済ませたら、すぐ帰るし。」っと玄関で言う。
「分かったわ。くれぐれも気をつけて行ってね、それと小川さんとダイ君に宜しくね。」っと玄関に来て言う。
「うん。分かったよ。じゃあ、行って来ます」っと言い、車に乗り、千葉の銚子までドライブ感覚で行く事に。
車の中では、スカイハイの曲が流れ、気持ち良く運転をする。
(銚子駅近くになったら、小川さんにメールしないと、さすがに1回しか行って無いから、方向音痴の私には、迷わないで行く自信が無いので)っと思い、千葉に入り、近くのコンビニに入り休憩と遅い昼食を食べ、メールを入れた。
しばらく走ると、海が見えて来た、銚子駅へと向かう。
銚子駅に着き、車を停車させ、辺りを見回すと見覚えのある車が、車を降り、近づく、
「小川さん」っと車の運転席に声を掛ける。
「美穂さん、お久し振りです。」っと車を降り、笑顔で挨拶をする。
「お久し振りです。遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」っと丁寧に頭を下げご挨拶をします。
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。美穂さん。それでは、私の車の後に着いて来て下さい。」っと車に乗る。
「はい。」っと私も車に乗り、小川さんの車を失わないように、しっかりと前のめりで運転する。
(帰り迷わない為にもしっかり覚えておかないと)っと思い、真剣に周りも見ながら運転をする。けっこう建物が多い道路を通ったおかげで、前より着くのが遅かったが、何とか道は覚えた。
(小川さん、覚えやすいように気を使ってくれたのかな?)っと思ってると、事務所の前で停め、
「美穂さん、車、奥に停めて下さい。」っと指示された場所に停め、降りると、事務所の近くに、飼育員の松河さんとダイ君が見えた。
「お久し振りです。松河さん、ダイ君。」っと近寄り挨拶をする。
「お久し振りですね、佐川さん、明けましておめでとう。今年もダイ君共々よろしくね。」っと変わらない笑顔で挨拶する横で、ダイ君が、
「ウッキー、ウッキー、」っと嬉しそうに私の側に来て、抱っこしての仕草をする。
「ダイ君ったら、早速なの?松河さん、ダイ君今年もよろしくお願いします。」ってダイ君を抱っこして言う。
「もう、ダイ君ったら相変わらず佐川さんの事が好きなのね、このご機嫌の顔。」っと松河さんがダイ君の顔を触りながら言う。
「今日も朝からそわそわしてましたからね。ダイ君」っと事務所から戻って小川さんが言う。
「じゃあ、私は他の動物の所に行くわね、本当忙しくて、又後でね。佐川さん。」っと歩き出そうとする、松河さんに、
「今日、私クッキーを焼いて来たので、食堂に置いておきますので、休憩に食べて下さい。」っと声を掛ける。
「嬉しいわ、佐川さん。いつもありがとう。」っと手を上げて、飼育室へと向かう。
「今日は、美穂さんが手作りしてくれたんですね、さっきから良い匂いしてたんで気になってたんですよね、ねっ、ダイ君」っとダイ君を見ながら言うと
「ウッキ、ウッキ」っと嬉しそうに頷く。
「前に来た時に、約束しましたからね。そういえば、小川さん、来た時から気になってたんですが、動物増えてません?」周りからは動物の声がいつも以上に響いてる。
「そうなんですよ、美穂さん。戸葉君から聞いてると思いますが、新年度から「どうぶつ学園」も新企画も始まるから、動物の数が多くなってしまって、一応、4月から新しい飼育員も来るんですが。」っと困った様子で話す。
「大変ですね、元々飼育員の人数が少ない上に動物が増えてしまうのは。」っと言うと、
「本当です。それで今日、美穂さんに見せたい動物が居るんですが、一緒に来てもらえますか?」っと言うので、
「はい。良いですよっとダイ君下りてくれる?代わりに手繋ごう。」っと言うと、少し嫌な顔をしたが、しぶしぶ下りて、手を繋ぎ、小川さんと飼育室と歩いた。
そこは、まだ真新しい飼育室で、そこには、子供のお猿さんが
「ウッキー、ウッキー、」っと元気に動き回っていた。
「わぁ、子供のお猿さん可愛いですね。」っと小川さんの顔を見て言う。
「ええ、実はダイ君の代わりに今年から育て始めまして。」
「えっ、ダイ君引退するの?」
「はい。ダイ君もお年ですが、これからは、世代交代して、老後はのんびり過ごしてもらおうかと思いまして。」
「そうなんですか、ダイ君テレビで観られなくなっちゃうの寂しいな。」っとダイ君の方を見て言う。
「ウッキ?」っと不思議そうな顔で私を見るダイ君。
「まだ先の話しですよ、美穂さん。色々教育もしないといけないし、今回、その教育と飼育を番組で担当するのが戸葉君なんですけど、聞いてましたか?」
「いえ、いきもの係をやるのは、聞いてましたが、まさか、ダイ君の代わりのお猿さんとは。」っと驚いた感じで言う。
「戸葉君は、美穂さんがダイ君が引退するって言ったら悲しむと思ったのかもしれませんね。」ってお猿さんの方を見て言うと、いきなり、お猿さんがこっちに来て、
「ウッキー、ウッキー、」っとガラスを叩く。
「うわぁ、元気いっぱいですね。」っとガラス越しにお猿さんの手を触る。
「まだ、子供ですからね、本当は、中に入れて、触れ合わせたいんですが、野生の猿の為、何を持ってるか分からない為、ワクチンを打った人しか入れないんですよ。」っと申し訳なさそうに言う。
「そうなんですね。」っとお猿さんの方を見ると何故かじっーとこっちを見てる。
「おや?美穂さん、気にいられちゃいましたかね。丁度、おやつの時間ですから、あげてみますか?」
(ダイ君といい、私って猿に気にいられる顔なのかな?)っと複数な心境でいると、
「どうぞ。」っとゴム手袋とバナナを渡されたので、手袋して、小窓からバナナを差し出すと、
「ウッキー、」っとテンション高く叫び、バナナを食べ始めた。
「可愛い、バナナの食べてる仕草」っと嬉しそうに言うと、隣のダイ君が
「ウッキ、ウッキ」っと叫び出し、ガラス越しにドンドンっと叩き始めた。
「ダイ君、ダメよ、お猿さんびっくりしちゃうでしょ。」っとダイ君を止めた。
「ダイ君、たぶん、そのバナナが欲しいんでしょうね、僕達もおやつの時間にしましょうか、美穂さん。」っと私を見て言う。
「そうですね、じゃあ、ダイ君は、バナナじゃなく、私が作ったクッキー食べようか、ちゃんとダイ君の分もあるからね」っと言うと、
「ウッキー、ウッキー、」っと嬉しそうに私の手を引っ張る。
「そんなに引っ張らないでよ、ダイ君。」っと言い、小川さんと一緒に食堂に向かう。
食堂にて。
「美穂さん、美味しいコーヒー入れますから、少し待ってて下さいね。」っとキッチンへ向かう。その間、ダイ君に新しく直した、みほちゃん人形を出す。
「はい。ダイ君、みほちゃん人形綺麗になったよ」っと見せると、
「ウッキー、ウッキー、」っと凄く喜んで、みほちゃん人形をギュッと抱きしめた。
「ダイ君、そんなに強く抱きしめたら、みほちゃん苦しくなっちゃうよ」っと言うと、
「ウッキ、ウッキ」っと言って首を振った。
「おや、ダイ君、みほちゃん人形戻ってきたんですね、綺麗になって良かったですね。」っとコーヒーを私の前に置き、
「美穂さん、ダイ君の為にお手数をおかけしましたね。」っと笑顔で言う。
「いえ、みほちゃん人形喜んでくれて嬉しいですから、では、頂きます。」っとコーヒーを口に運ぶ。
「うん。やっぱり小川さんのコーヒー美味しいです。」っと笑顔で言うと、
「ありがとうございます。今日、美穂さんの為に美味しいコーヒー豆を仕入れましたから、では、クッキー頂きますね。」っとクッキーを口に運ぶ。
「どうですか?お味の方は、久しぶりに作ったので。」っと不安そうに小川さんを見ると、ニコッと笑い、
「とっても、美味しいです。ダイ君も嬉しそうに食べてますよ。」っとダイ君の方を見ると、ボロボロこぼしながら、美味しそうに食べるダイ君を見て、一安心して、小川さんの方を見て、
「あの、小川さんに謝らなきゃって思ってたんですけど。」っと勇気を出して言うと
「何をですか?」っと不思議そうに私の方を見る。
「いえ、あの、小川さんの求婚を断っておきながら、け、戸葉君とお付き合いしてしまって、本当にすみません。」っと頭を下げる
(さすがにダイ君居るから名前呼びは避けないと)っと思ってると、
「クスッ、美穂さんは、本当に優しいんですね、むしろ、謝るのは、僕の方なのに。」っと
「えっ、」顔を上げて、小川さんを見る。
「あの時、たまたま、聞こえていた、美穂さんと戸葉君の会話を聞き、美穂さんの前向きな言葉に感動してしまい、お皿を落としてしまい、大事な場面で、戸葉君の言葉を遮ってしまい、結果、美穂さんに辛い思いさせてしまいました。あの時、戸葉君が自分の気持ちを伝えていればと思うと。(あの時、携帯が急に鳴ったのも原因だが。)」っと申し訳なさそうに私を見る。
「そんな事気にしないで下さい。(だって私あの時点では、圭介君の事友達以上には思って無かったし)」っと強く、小川さんに言い、
「じゃあ、小川さんは、私と戸葉君がお付き合いするのは、反対じゃないんですか?」っと言うと、
「誰がそんな事を、僕は、美穂さんと戸葉君の交際に反対って言葉使ってませんが。」って普通に言う。
「だって、圭介君が。」っといけないっと口を押さえて、ダイ君を見るが無反応だったので、ホッとした。その様子を見た小川さんが、
「もしかして、戸葉君、去年の年末に言った事気にしてたんですか?確かに少々きつく言いましたが。僕は、反対したつもりは無いんですが。」
「そうだったんですか、ダイ君が焼きもち妬いて機嫌悪くなった理由は、分かります、お猿さんは、感情に敏感って聞いてましたから。ただ、小川さんの気持ちはどういう気持ちか分からなくて。」っと言うと、
「僕もダイ君と同じですよ、だって、求婚した女性が他の男に横からさらわれたんですよ。普通、嫉妬もしますよ、だから、つい、強く戸葉君には、言ってしまったんですよ。」
「すみません。小川さん。」
「謝らないで下さい。美穂さん。僕は、初めて、戸葉君が美穂さんと楽しく話してる所を見て、美穂さんが誰と一緒に居る時が幸せなのか、直ぐに分かりましたが、僕も美穂さんを初めて見た時から好きになってしまって、つい、あんな事を言って、困らせてしまって、本当に反省してます。」っと優しい笑顔で私を見つめて言う。
「小川さん。」ストレートな感情をぶつけられ、言葉に詰まる。
「だから、美穂さん、僕に気にせず、戸葉君とお付き合いして下さい。今度、戸葉君に会ったら、きちんと言っておきますから。ただ、交際を知っている、僕と河村さんと村瀬以外の前での名前呼びは避けた方が良いでしょうね。美穂さんも、きちんと覚悟を持ってお付き合いしてると思いますが、戸葉君は、人気アイドルグループの1人ですからね。」
っと言われ、
「そうですね、後ダイ君の前でもですよね?」っとダイ君を見るが、満足そうな顔で手を舐めていた。
「ああ、ダイ君は、大丈夫だと思いますよ、さっきも、美穂さんが戸葉君を名前呼びした時無反応でしたし。」っとダイ君を見る。
「ごめんなさい。つい興奮して、いつもの癖で。」っと言うと、
「良いですよ、美穂さん、その方がむしろ僕も慣れるし、諦めもつきますから、ただ、戸葉君が美穂さんを呼びつけする事には、慣れるまで時間かかりますが。」っと言われ、
「ありがとう。小川さん。」っと笑顔で返しながら、さっき小川さんの言葉に、現実を突き付けられた。(そう、私がどんなに圭介君を好きでも、普通のカップルみたいに公には出来ない。それでも私は。)
「美穂さん、どうしました?」っといきなり下を向いて考え込んだ私を心配そうに声を掛ける。
「いえ、何でも無いです。」
(バカだな、私そんな事分かってたはずなのに)っと思いコーヒーを口に運ぶ。
「美穂さん、コーヒーぬるくなってません?入れ直しましょうか?」
「いえ、私、猫舌なので、丁度良いです。」
「そうですか、話しは変わりますが、美穂さんは、ホームセンター勤務でしたよね?」
「はい。ジョイフル本田那珂湊店に務めてますが、それが何か?」っと不思議そうに小川さんを見る。
「いえ、(ん?ジョイフル本田って何処かで聞いたような?)美穂さんの会社は副業は、禁止ですか?」
「はい。会社に内緒でやってる人も居ますが、何故ですか?」
「もし、美穂さんが副業出来たら、こちらでアルバイトをしてもらいたいと思いまして、前にお手伝いして貰った時に、テキパキと要領よくこなしていたので、手伝って頂けたら、助かると思いまして。」
「嬉しいです。私実は飼育員さんになるのが夢だったんです。前に私と圭介君の話しを聞いてたなら、知ってると思いますが、カウンセリングに通ってた頃、そこの先生が人見知りを治そうと無理やり色々な所に連れて行かれて、その場所に動物のお世話をする場所に連れて行かれて、最初は、臭いし汚いし嫌だったんですが、何時間か一緒にお世話の体験をしてて、飼育員さんがやりがいを持ってお仕事する姿に感動して、私もこんな仕事してみたいと思って。」っと目をキラキラさせながら、言うと、
「そんな事があったんですか。」
「はい。本当は高校卒業したら、飼育員の養成学校に入りたかったんですが、茨城には無くて、東京では、親元離れるのは、精神疾患が治ったばかりでは、何があるか分からないっと言われ、親に反対され諦めたんです。だから前来た時、小川さんのお手伝い出来て楽しかったんです。でも、今の会社は、社員なので、規律守らないといけませんからね。」っと残念そうに言うと、
「そうですか、それだけやる気があるのに一緒にお仕事出来ないのは、残念ですね、それにここでアルバイトすれば、戸葉君にも会えるかもしれないのにね。」っと私の顔を見て言う。
「えっ、だめですよ。公私混同は出来ませんよ。」っと驚いた口調で言う。
「ええ、もちろん公私混同は、させませんよ。ただ、戸葉君を少し早い時間に来させれば、お話位は、出来ますし。戸葉君の仕事上制限が多いお付き合いですから、交際を知ってる僕で良かったら、協力は出来ますよ、戸葉君も美穂さんもお互いにとって大切な存在なのは、近くに居て感じてますから、もちろんお仕事は、しっかりやってもらいますよ。」っと優しい笑顔で言う小川さんに
「ありがとう。小川さん。私、もし会社が副業が出来るようになったら、ここでアルバイトさせてもらいますね。」っと笑顔で返すと、ガラッとドアを開けて、
「なに。佐川さん、ここでアルバイトしてくれるの?」っと大きな声で入って来たのは、松河さんだった。
「仮の話しですよ、松河さん、休憩ですか?田所さんも一緒ですね、コーヒー入れますよ。」っとキッチンに向かう小川さん。
「えっ、なんだ仮なの?佐川さん、前に来て、手伝ってくれた時、要領良くて助かったって小川さん言ってたから、働きに来てくれたら助かるのに」っと松河さんが残念そうに言う。
「佐川さんってもしかして、前回私が休んだ時、お手伝いしてくれた、奇跡の女性?」っと松河さんより少し年上の女性が聞く。
「そうよ。田所さんは初対面だったわね」っと松河さんが返す。
「うん。初めまして、私、田所君枝って言います。前回来た時は、子供の風邪がうつったみたいで、お休みして、お手伝いありがとう。後カップケーキもご馳走様。」っと優しい笑顔で挨拶する。
「初めまして、佐川美穂です。カップケーキ母が作った物ですが、お口に合って良かったです。」っと笑顔で返した。
「それにしても、ダイ君の周り凄い食べカスね、せっかく新しくなった、みほちゃん人形又汚れちゃうよ。」っと松河さんがみほちゃん人形を持って、ダイ君の周りを片付けようとすると、
「ウッキー」っとみほちゃん人形をバッと取り返した。
「ちょっと、ダイ君別に取ったりしないよ。本当にこの人形好きなんだから。」っと諦め声で言う松河さんに、
「松河さん、休憩なので、休んでて下さい。私やりますから。」っとダイ君のそばに。
「悪いわね。佐川さん」っと申し訳なさそうに松河さんが言う。
「じゃあ、ダイ君、椅子から降りて。」っとダイ君を下ろし、テーブルと椅子の食べカスを下に落として、
「そこの、ほうきとちり取り借りますね。」っとほうきとちり取りを持って来て、
「ダイ君、ちり取り持ってくれるかな。」
っとダイ君に頼むと
「ウッキ。」っとちり取りを持つ。
「良い子ね、ダイ君そのまま、自分で食べて汚したら、ちゃんと自分で掃除するんだからね。」っとちり取りに食べカスを入れる。
その様子を見てた、田所さんが、
「さすが、奇跡の女性だわ、ダイ君の扱い上手ね。」っと言い。
「ねぇ、小川さん、佐川さんに、ちび猿の教育させたら、戸葉君や小川さんより厳しくしつけてくれそうだから、賢いお猿さんになるかもよ。」っとコーヒーを持って来た小川さんに松河さんが言う。
「それも良い案ですね、美穂さんは、しつけ良く育ってますからね。」っと私の方を見て言う。
「ダイ君がお利口なだけですよ。ねっ、ダイ君」っと、ごみ箱にちり取りのカスを入れるダイ君に言う。
「ウッキ、ウッキ」っと頷く。
「はい。ダイ君良く出来ました。」っと頭を撫でると、
「ウッキー」っと嬉しそうにジャンプした。
「そうかな?それでは、佐川さん頂きます。」っと松河さんが言う。
「あら、甘さ控えめで美味しいわね、何個もいけそう。」っと田所さん。
「うん。コーヒーに合う。やっぱり甘い物は疲れに効くわ」っと松河さん。
2人は満足そうにお菓子を食べ、午後の仕事へと。
そして、夕方
「今日は、お忙しい所お邪魔しました。」っと車の前で、小川さんにご挨拶。
「いえ、こちらこそ、わざわざダイ君の為にありがとう、美穂さん。」優しい笑顔で返す。
「ウッキ、ウッキ」っと名残惜しそうにダイ君が。
「ダイ君、又来るから大丈夫だよ。」っとダイ君の手を握って言う。
「本当に帰り道大丈夫ですか?」っと心配そうに言う。
「はい。小川さんが、分かりやすい道通ってくれたので、大丈夫です。」自信満々に言う。
「そうですか、それでは、これ、お土産です。」っと袋に入ったコーヒー豆を渡す。
「わぁ、小川さん、ありがとう。嬉しいです。」っと笑顔で受けとる。
「クッキーのお礼です。運転気をつけて帰って下さいね。」
「はい。じゃあ、またね。ダイ君。」っとダイ君に手を振り、小川さんにお辞儀をして、車に乗り、小川動物トレーナーを後にした。
夜7時過ぎには、自宅到着。
「ただいま。」
「おかえり、美穂、ご飯用意するわね。」
「うん。お願い。」っと2階に上がり、着替え、先に圭介君にLINEをした。
夕飯を食べ終え、2階の部屋に戻り携帯を見たが、まだ仕事が終わって無いのか、返信が無いので、しばらくのんびり過ごしてると、LINEのメロディーが流れる。
(珍しい、LINE入れる前に電話って、小川さんとの事が気になってたのかな?)っと思い、通話の画面を押す。
「もし、もし、圭介君。お仕事お疲れ様。」
「美穂、ごめんな、急に電話して、大丈夫だったかな?」
「うん。大丈夫だよ。」
「良かった。さっそくだけど、小川さんの事聞かせてくれる?」
(やっぱり気になってたのね)そう思い、今日、小川さんと話した出来事を話すと、
「はぁ?なにそれ、嫉妬心から、俺にあんな強い口調で言ったの?」
「そうみたいね、まあ、冷静に考えれば分かるよね、例えば、圭介君が好きになった娘に求婚断られたのに、一番身近な存在に横から奪われたらっと思うと、やっぱり嫉妬するよね?」
「確かに、そうかもな。」っと納得した様子で頷く。
「それに、小川さん、私達の事反対するどころか、もし、今の会社が副業出来るなら、アルバイトしてくれれば、戸葉君との事、協力しますよっとまで言ってくれたんだから。」
「小川さん、そんな事まで言ってくれたんだ。でも、美穂の会社の副業駄目だよね?」
「そうなのよね、私、圭介君に言ったかな?私、飼育員さんになるのが夢だから、手伝いたいんだけどね、今忙しいみたいだし。あっ、それと、圭介君、子猿のお世話するんだって。」
「確か、美穂に前聞いたな、俺と同じ動物関係の仕事が夢だったよな。あれ?俺、美穂に言って無かった?ダイ君の後任のお猿さんの世話って。」
「聞いて無かったから、びっくりした。ダイ君引退するなんて。それにしても、子猿は、元気いっぱいで可愛いかったけど。」
「俺、まだこれからなんだよ。子猿に会うの、小川さんの本音も聞けたし、これから何も気にする事無く、一緒に仕事出来そうだよ。今日は、ありがとう。美穂。」
「うん。私も小川さんとお話し出来て良かったよ。アルバイト出来たら良いな。」
「そうだな。美穂がアルバイトしてたら、俺、もっと頑張れそうだし。そういえば、3月の休み出るのって下旬だよな?」
「うん。そうだけど、あっ、私下旬に会社の歓送会あるんだよね。」
「えっ、歓送会早く無い?普通、3月か4月じゃない?」
「私の会社、新年度3月だからね。今年は、久しぶりに女性の新入社員入るから。どんな娘なのか、楽しみなんだ。」
「そうなんだね。あっ、美穂の会社ってホームセンターだよね、男性社員多いよね?」
「いや、半分半分だよ。でも独身率は、男性社員が多いかも。」
「やっぱりそうだよな。」
「圭介君心配しなくても、大丈夫だよ。歓送会は、仕事の一貫として、私は行くから、お酒は飲まないし。ほとんど上司のお酌の為に行くから、本当は行きたくないんだけど、社員は、全員出席だから。仕方なくなんだよね。」
「うん。分かってるけど、でも一応、俺のあげたブレスレットして行って、彼氏居るアピールしておいてね。」
「クスッ、圭介君、私そんなにモテないよ。(前に益田君には、壁ドン告白されたけど、言わなくて良いよね?圭介君と付き合う前だし、益田君異動になるし)」
「うん。念の為だよ。(美穂って意外とそうゆう事に関しては、鈍感だから、本当は、好意持って居る人いるかもしれないし。)」
「分かったよ、圭介君。3月の休み分かったら、教えるから。」
「うん。3月は、俺も美穂も大事な月だから、宜しくね。」
(圭介ったら、大袈裟だな。私の誕生日だからって、でも覚えてくれてるから嬉しい)
「うん。じゃあ、今日は、車で銚子まで行って疲れたから、もう休むね。圭介君もお仕事お疲れ様。」
「ああ、美穂も今日は、ご苦労様。ゆっくり休んでね。」
「うん。お休みなさい。圭介君。」
「お休み、美穂。」
2月下旬歓送会夕方
「じゃあ、お母さん行って来ます。」
「行ってらっしゃい。気をつけてね。」
車に乗り、自宅から1時間位の海岸沿いの海鮮居酒屋に到着。
「いらっしゃいませ。」
(えっと、2階の宴会席だよね)っと階段を登り、宴会場へ
「佐川さん、こっちよ。」チーフマネージャーが声を掛ける。
「マネージャーお疲れ様です。」っとマネージャーの準備を手伝ってると、店長の笑い声がしたので、見ると若い女性と楽しげに会話をしていた。
「マネージャー、あの方が新入社員の方?」っと聞くと、
「そうよ。円山香織さん。やっとレジの新入社員入ったから楽しみだわ、佐川さんも先輩なんだから、気を引き締めて仕事しなさいよ。」っと言われ、
「はい。頑張ります。」っと返す。
準備が完了し、全員が揃った所で店長が、
「じゃあ、今から、新入社員の歓迎会並びに、益田君の送迎会を初める。」っと言い、
新入社員の円山さんの自己紹介が始まり、宴会へと入った。
「おーい。佐川さん、こっち、お酒頼む。」っと店長。
(あー、やっぱりお酌するようなんだよね。)
っとしぶしぶ、店長の方へ行き、お酒をコップに注ぐ。
「どうぞ。」
「ありがとう。佐川さん。」っと店長にお酒を注い出ると、
「あれ?佐川先輩。素敵なブレスレットしてますね、もしかして彼氏さんからのプレゼントですか?」っと円山さんが、
「ええ、彼氏とお揃いのブレスレットなんですよ。」っと言うと、何故か、周りの男性社員がざわつき始めた?
「おい、まじか、佐川さん彼氏居たのかよ。」
「おーい。誰か酒持って来い。」
(ん?何?どうしたんだろう?)そんな事も気にせず、円山さんが、
「お揃いのブレスレットなんて素敵ですね。」っとテンション高く言う。
そこへ、仕事終わりの本多さんが、
「あー、やっぱり、あれ佐川さんだったんだね、1月の最初の週末だったかな?那珂湊近くの神社の近く車で通ったら、佐川さんの車があって、ふと見たら、長身の帽子とマスクした男性と手繋いで楽しそうに歩いてたから。まさか彼氏とは。」
(ヤバイ見られてたんだ。よりによって本多さんに目撃されるとは)っと少々焦る。
「あら、佐川さん彼氏居たんだね。地元の人なの?」っとマネージャーが話しに入って来た。
「はい。去年付き合い始めたばかりで東京の人なんです。」
「あら、じゃあ、遠距離恋愛なのね」っとマネージャーが言うと、又男性社員が、
「ああ、東京ならすぐ別れるかもな。」
「少し、安心したな。」っとざわつき始めてた。
「あの、マネージャーなんか、今日の男性社員変じゃないですか?」っと聞く。
「気にしなくて良いんじゃない。本当に佐川さんって鈍感なのね。」っと呆れた口調で言う。
私は?マークをしてると、円山さんが、本多さんに、
「本多先輩、佐川先輩の彼氏ってどんな感じでしたか?」っとまさかの突っ込みをかけてきた。
「残念ながら、顔見れなかったけど、雰囲気でイケメンな感じだったような。」
(良かった、顔見られなくて)っと安堵した。
「佐川先輩の彼氏って職業何してるんですか?」っとまたまた突っ込んで聞いてくる円山さん。
「えっと、芸能関係の仕事を。(さすがにアイドルっとは言えないから)」っと誤魔化して言う。
「ふーん。そのブレスレット見せて下さい。」っと今度は、腕を見る。
「革のブレスレットって素敵ですね、彼氏さんイニシャルがKなんですね。」っとまじまじ見る円山さん。
(これ以上、本多さんの前で突っ込まれるのは、まずい、話題変えないと)
「円山さんは、彼氏いないんですか?」っと聞く。
「えー、私居ませんよ、募集中です。私も佐川先輩みたいに、長身で格好いい彼氏欲しいです」っと言うと、男性社員が、 「おー。」っと騒いだ。
(なんか、今日の男性社員、喜怒哀楽激しいな。)っと思ってると、お酒を飲み初めていた、本多さんが、
「佐川さんの彼氏がどんなに格好良くても、スカイハイの戸葉君には、敵わないよね。」っと言い出した。
(あー、私その戸葉君と付き合ってるんだけど)っと申し訳なそうに思う。
「えー、本多先輩ってスカイハイのファンなんですか?戸葉君も良いけど、私、沢篤君が好きですよ、佐川先輩は?」っと私に振って来たから、
「私は、秀ちゃんだよ。」っと返すと、
「秀ちゃんも格好良いよねっとチーフマネージャーは?」っと今度は、マネージャーに聞く。
「私、アイドル興味無いから」っとバッサリ返す。
「そうなんですか?」っと残念そうに言う。
私の彼氏話しからスカイハイの話しに盛り上がってると、いきなり益田君が、
「佐川さん。お疲れ様。」っと声をかけてきた。
「益田君、お疲れ様です。来月から、東北へ新店異動頑張って下さい。」っと社交辞令の様に言ったのに、
「佐川さんと一緒に仕事が出来なくて寂しいが、まさか彼氏が居たとは、どうりで俺の告白を断るはずだよな。まっ、東京だから、長続きするか、分からないが、何かあったらいつでも俺に会いに来て良いから。」っと自信満々に言う。
(相変わらずだな、益田君は、あの告白を断ってから、少しは変わったと思ったんだけど)
「ありがとう。益田君。でも、もう会う事は無いと思うから、東北で良い人見つけて下さいね」っと笑顔で返すと。
えっ、って言う顔で固まってた。
(俺、また振られた。)
そんなやり取りを見てた、円山さんが、
「佐川先輩って意外とはっきり言うですね。お仕事の時は、お手柔らかにお願いしますね。」っと笑顔で言われた。
「大丈夫ですよ。私よりチーフマネージャーのが手厳しいので。」っとマネージャー方を見て言う。
「そうなんですか?佐川先輩フォローお願いしますね。」私の方を見て円山さんが言うのを見て、
(やっぱり、後輩が出来るのは、良いな、年も近いし。今日の歓迎会いつもより楽しいかも)っと思い、ウーロン茶を飲みながら、海鮮料理を食べ始めた。
気がつくと、あれから1時間半経ち、店長が
「盛り上がってる所悪いが、益田君に最後の挨拶をしてもらおうと思う」っと言うと、全員が店長の方を見て、益田君の挨拶が始まり、売り場の女性社員が花束を渡して、全員で拍手をした。
「お疲れ様。益田君」っと店長が声を掛けると、少し涙目の益田君が
「一年間ありがとうございました。」っと店長に頭下げる。
そして、店長の一本締めで、歓送会は無事に終わった。
「佐川先輩、お疲れ様です。2次会は行かないんですか?」っと円山さんが声を掛けて来た。
「うん。明日も仕事だし、また職場でお会いしましょう。円山さんお疲れ様。」っと言い、私は、家の近くの女性社員の方と一緒に車に乗り、家近くで下ろして、自宅に着いたのが、夜9時近くだった。
(まだ、圭介君起きてるよね?歓送会終わったらLINEしてて言ってたし。)そんな事を思いながら家に入る。
「ただいま。」
「おかえり、美穂お疲れ様。お風呂沸かし直す?」っとお母さんが玄関に来て聞く。
「圭介君にLINEしなくちゃ、いけないから、自分で沸かし直すよ。」っと言うと、
「そう、じゃあ、後は、宜しくね。お先にお休み。」っと部屋へと歩いて行った。
「お休みなさい。お母さん。」っと言いながら2階の部屋へと向かった。
部屋に入り、圭介君に今帰ったよのLINEをして、着替えをしてると、さっそく返信。
「美穂、お疲れ様。俺も今仕事終わった所だよ。電話大丈夫かな?」っと圭介君から。
「圭介君、お仕事お疲れ様。電話大丈夫だよ」っと返信すると、
すぐにLINEの電話のメロディーが流れる。
「もしもし、圭介君。お仕事お疲れ様。」
「美穂も、歓送会お疲れ様。どうだった?」
「久しぶりに女性の新入社員が入って来てお話し出来て、いつもより歓送会楽しかったよ。やっぱり後輩が出来るって良いよね。」
「うん。分かるよ。その気持ち、なんか大人になった気分になって、ちゃんとしないといけないなって思って、身が引き締まる思いになるんだよな。」
「うん。でも大変な事もあったのよ、私の会社に圭介君の大ファンが居て、この間の神社デート見られてたみたいで、幸い、車の中からだったから、顔は見られて無いけど、色々新入社員の娘にも、突っ込まれて、誤魔化すのが大変だったよ。」
「それは、それは、ご苦労様だったね。美穂。そっか、美穂の会社に俺のファンが居たんだね。サイン渡そうか?」
「もう、そういう冗談止めてよ。絶対入手経路突っ込まれるから。」
「あはは。そうだよね。それで、美穂は、スカイハイの誰ファンなの?(俺じゃないのは、分かるけど)ずっと聞きたかったんだけど。」
「えっ、それ聞くの?」
「うん。聞きたい。彼氏として、いやスカイハイのメンバーとしてかな?」
「私は、秀ちゃん。高井君のファンなの。」
「えっ、まじ?秀ちゃんなの?それって、いつから?スカイハイのファンになってから?」
「うん。圭介君にスカイハイのCDをプレゼントされて、ファンになってからだよ。だって、秀ちゃんって有名大学卒業してるから、知識豊富で報道番組の司会やニュースキャスターでしょ、その上に演技も上手でどんな役もこなせて、それに幼い頃から習い事を色々やってるから、ピアノまで弾けるんだよ。完璧過ぎて、いつの間にかファンになっちゃって」っと夢中で話してたら、携帯の中がシーンとしてるのに気付いた。
(いけない、私ったら、彼氏の前で他の男の人褒め過ぎた)っと思い、慌てて、
「もしもし、圭介君?」
(やばい、もしかして、呆れて電話切っちゃたかな?)っと思ってると、しばらくの沈黙の後。
「美穂、俺の親友、ベタ褒めしてくれてありがとうね。俺、嬉しくて声が出なかったよ。」っとかなり暗い声で言う。
「いや、あのね。圭介君、圭介君には、秀ちゃんには無い良い所いっぱいあるし。」っと慌てて、フォローするが。
「俺、なんか急に疲れが出たみたい、もう休むね、美穂も歓送会で疲れただろうから、ゆっくり休んでね、お休み。」
「うん。圭介君もゆっくり休んでね。お休み。」っと電話が切れた。
(あー、どうしよう。あの声は、かなり落ち込んでるよ。)電話を切った後、かなり自己嫌悪に落ちた。
(はぁ、考えても仕方ない、お風呂入ってリセットしてこよう)っとお風呂の支度をして、下に降りた。
2日後スカイハイMVの撮影現場
監督「はい。Okです。休憩後は戸葉君のソロの撮影から入りますね。」
「はい。宜しくお願いします。」っと俺は、返事をしたが、まだ気分が落ち込んでる感じが抜けない。っとそれを見たリーダーが、
「戸葉君、どうした?なんか最近元気無くない?」っと心配そうに声を掛ける。
「あっ、俺分かった。とうとう彼女と喧嘩したんだろう?」っと明るい声で言うのは、沢本君。
「なんで、そんな嬉しそうに言うの。沢本君、確かに彼女の事だけど。」っと沢本君の方を見て言う。
「何?なんかあったの?女性の事なら俺に相談しなよ。力になるよ。」っと秀ちゃんが俺に言う。
「うん。2日前、彼女の会社で歓送会あったんだけど、終わった後、俺と電話して、彼女の会社に俺の大ファンが居る話しになって、その流れで、彼女にスカイハイの誰のファンか聞いたんだ。そしたら、秀ちゃんって答えて。」って秀ちゃんの方を見て言う。
「えっ、俺なんだ。」って少しびっくりした顔で俺を見て、「それで?」って話しの続きを聞く。
「うん。そしたら、彼女、秀ちゃんの事、褒めまくって、知識が豊富だ、演技が上手だ。ピアノまで弾けて凄いだの。俺が聞いてるのを忘れて、夢中で秀ちゃんの良い事言うのを聞いて、俺だんだん落ち込んできちゃって。」っとそこまで話しをすると
川野「戸葉君。」
沢本「そんな事で。」
麻宮「元気無かったの?」っと3人が呆れ顔で俺を見る。
「そんな事って言うなよ、沢本君。」俺が言うと、隣に居た秀ちゃんが
「ぷっ、わはは、わはは。」っと大笑いした。
「ちょっと、秀ちゃん笑い過ぎだよ。」
「わりぃー、わりぃー、だって今日の戸葉君、撮影中、俺の方チラッ、チラッ見てて、さっきのソロ撮影なんて、俺の方をガチで見てたから、どうしたんだろう?っと思ってたんだけど、そうか、戸葉君の彼女って俺のファンだったんだね。」っと笑いながら、秀ちゃんが俺に言う。
「秀ちゃん、俺の彼女に手出すなよ。」っと秀ちゃんの方を見て言う。
「大丈夫だよ。親友の彼女に手出したりしないって、俺、彼女一筋なんだから」っと秀ちゃんが言うと、その隣に居た、沢本君が
「へぇ、そうなんだ。」っとぼそっと1人事のように言う。
「でも、それって、彼女さんは、圭ちゃんを圭ちゃんとして見てるって事だから、良い事じゃないの?」っと麻宮君が俺に言う。
「そうなんだけど、なんか気になっちゃってね。」っと言うと、沢本君が
「彼女バカも、ここまで来ると呆れて何も言えないよ。」っと俺に言う。
「良いんじゃないの、沢本君、だって、戸葉君今まで、どんな女性の方と付き合っても、俺らが何聞いても、関心が薄い返事しか聞けなかったけど、今の彼女さんに対して、喜怒哀楽がちゃんあるんだから、俺は、そんな戸葉君見られて、俺嬉しいよ。」っと言う秀ちゃんに
「秀ちゃん。」っと俺は、なんか言葉が詰まった。
「でも、人って不思議な物で、自分や身近な人に無い物に惹かれるみたいで、きっと彼女さんは、戸葉君の良さに惹かれて好きになったんだし、秀ちゃんは、ファンなんだから、そんなに気にする事も無いんじゃない」
っとリーダーが俺に言うのを見て、
「リーダー、ありがとう。」っと返すと
「リーダーが珍しく、真面目な事を言っている。」っと沢本君と麻宮君が口を揃えて言う。
「何だよ。俺だって、スカイハイのリーダーとして、ちゃんと言う時は、ちゃんと言うよ。」っとリーダーが反論すると、秀ちゃんが、
「おっ、やっとリーダーとしての自覚が出て来て俺嬉しいよ。」っと嬉しそうに言うと、
「いや、俺としては、秀ちゃんのサブリーダーと交換して欲しいよ」っとリーダーが秀ちゃんを見て言う。
「それは、無理」っとはっきり断る秀ちゃん。
スタッフ「そろそろ、休憩終わって大丈夫ですか?」っとスタッフが声を掛ける。
全員「はーい。」
監督「じゃあ、戸葉君、準備お願いしますね。」っと監督の言葉に、
「はい。」っと俺は、返事をした。
「戸葉君のおかげで大笑いしたから、後半も頑張りますか。」っと俺を見て言う秀ちゃんに。
「何それ。」っと俺は不満気に言うと
「彼女さんが俺のサイン欲しいと言ったら、いつでも言ってね。」っと二ッと笑いながら、言う。
「たぶん、言わないと思うけど。」っとぼそっと1人事の様に俺は言った。
Are you ready?
完璧なんてない sweet sweet
最大級のsoul do it! do it!
単純なくらい はじけろMoving now! Moving now!
「戸葉君、もう少し広い心を持つ男になれよ。」っと準備している俺に沢本君が言う。
「はい、はい。努力しますよ」っと呆れ声で俺が返す。
3月3日美穂の誕生日
ピコーンっとLINEの音で目が覚めた。
(圭介君かな?)っと携帯を見ると、
「美穂、お誕生日おめでとう🎉一足先に、私より歳上になっちゃったね。今年は戸葉君と付き合っての初めての誕生日だけど、戸葉君から、おめでとうLINE来たかな?」っと里穂からのLINEだった。
目覚ましを止め、カーテンを開け、背伸びをする。
(もう、誕生日なんだな。最近、圭介君忙しいみたいなのか、朝か夜の挨拶程度のLINEしか来ないけど、まさか、まだ秀ちゃんの事気にしてるのかな?あっ、里穂に返信しないと)
「おはよう、里穂、誕生日メッセージありがとう。まだ、圭介君からは、誕生日おめでとうLINE来て無いよ。数日前に、圭介君にスカイハイのファンの事聞かれて、秀ちゃんの事褒めまくってたら、だいぶ落ち込んでる声だったんだよね?まだ気にしてるのか、最近LINE短いんだよね。」っと返信してると、
「美穂、起きたら下降りてご飯食べなさい。」っとお母さんが。
「はーい。今行く。」っと下に降りると、居間のつけっぱなしのテレビから、秀ちゃんの声がしたから、急いで、テレビを見に
(あっ、秀ちゃんの新しいCMだ。格好良いなっといけない、つい見いってしまった、こんな姿見たら又圭介君落ち込むだろうね。)っと朝から思い、朝食を食べ、2階の自分へと戻ると里穂から返信が
「はぁ?何言ってるの美穂。戸葉君ってそんなに心の狭い人じゃないでしょ。恋愛の好きとファンの好きの違い位分かるでしょ、気にし過ぎだよ。年度末できっと忙しいんだと思うよ。まっ、とにかく戸葉君にどんな誕生日プレゼント貰ったか教えてね。私も週末プレゼント渡しに行くから、良い報告待ってるよ。」っと里穂らしいLINEに少し気持ちも上向きに。
「里穂ありがとう。圭介君に逢ったら報告するね。」っと返信をする。
出勤の時間になり、下へ降りるとお母さんが
「美穂、今日、戸葉君と逢うの?」
「まだLINE来て無いから分からないけど、もし、遅くなるようだったら、メールするよ。」
「そう。今日は美穂の誕生日だから、美穂好きな物作って、好きなチーズケーキ用意しておくね。」
「ありがとう。お母さん。行ってきます。」
「行ってらっしゃい。運転気をつけてね。」
いつもと変わらず、ホームセンターでお仕事。そして、休憩時間に。携帯を見ると、圭介君がLINEが。
「美穂、お誕生日おめでとう。最近忙しくて、なかなかLINE遅くなってごめん。今日は、仕事早めに終わって、美穂の最寄り駅に行くから、美穂も仕事終わったら、駅に来てね。」
(やっぱり忙しかったんだね。私の気にし過ぎだったみたい)
「圭介君、忙しいお仕事ご苦労様。お仕事終わったら、駅に向かうね。」っと返信。
(あれ?もしかして圭介君、車で来るのかな?)っと疑問に思いながらも、お弁当を食べ、お母さんに、遅くなるよのメールをして、午後からの仕事に。
お仕事終了
「佐川さん、今日、円山さんに、最終の閉め教えるから先に帰って良いわよ。」っとマネージャーが、
「はい。では、お先に失礼します。」
(早めに終わって良かった)っと思い、更衣室で着替えと化粧直しをしてると、本多さんが入って来て、
「あれ?佐川さんお疲れ様。」
「お疲れ様です。本多さん。売り場慣れましたか?」今月から、売り場に異動になった本多さんに声を掛ける。
「いや、覚える事たくさんで大変だわって佐川さん、化粧直ししてるけど、今からデートなの?」
「うん。今日私の誕生日なので、彼が逢いに来てくれてるので、今から逢うんです。」っと嬉しそうに言うと、
「へぇ、佐川さん今日誕生日だったんだ。わざわざ彼女の誕生日に逢いに来るとは、優しい彼氏さんね。はい。私から誕生日プレゼント」っとお饅頭を手に置いた。
「ちょっと、本多さん、これ売り場の人のお土産の残りじゃないですか。」
「うん。帰り食べようと思ったんだけど、あげるよ、ほら、彼氏に逢うのにお腹の虫なってたら恥ずかしいでしょうから。食べながら行きなさい。」っと言う本多さんに
「ありがとう。頂きます。」優しい心使いに少し罪悪感を持ちつつ、
「じゃあ、お先に失礼します」っと更衣室を後にしようとすると
「佐川さん、機会があったら、イケメンの彼氏紹介してよ。」っと羨ましそうに言う。
「はい。機会があったら。(絶対に会わすのは無理だろうけど)」内心思いつつ、本多さんに返事をして、タイムカードを押し、
「お疲れ様でした。」っと職場を後にした。
駅に着くと見覚えのある黒い車が停まっていた。
(あっ、やっぱり圭介君車で来たんだね、夜でも目立つな)っと思って、駅のロータリーの駐車スペースに車を停め、圭介君の車に向かい、運転席の窓をコンコンと叩く
「圭介君、お疲れ様」っと声を掛ける。
「美穂もお仕事お疲れ様」っと眼鏡姿の圭介君が窓から声を掛ける。
「あれ?圭介君今日眼鏡って珍しいね。」
「うん。夜運転する時は、たまに、眼鏡にするんだ、美穂、助手席乗って。」っと助手席を叩く。
「うん。お邪魔します。」っと助手席側に回り助手席に座る。
(なんか、久しぶりだな。圭介君の車、相変わらず良い匂いだな)っと思ってると、圭介君が嬉しそうに私を見て居た。
「どうしたの?圭介君。」っと不思議そうに聞く。
「だって、美穂がやっと俺の車の助手席乗ってくれて、嬉しくて、これからは、俺の車の助手席は、美穂専用だからな。」っと本当に嬉しそうに言う。
「うん。」っと笑顔で返す。
(やっぱり、秀ちゃんの事は気にしてないみたい、いつもの圭介君で良かった)っと思ってると、
「ねぇ、美穂、少し美穂乗せて、走りたいから、美穂良く行く、海岸行って良いかな?」っと聞いたので、
「良いよ。道分かる?」っとシートベルトしながら答える。
「うん。大丈夫だよ。ここから、ほぼ真っ直ぐだよね。」っと車を走らせ始めなが聞く。
「うん。そうだよ。そういえば、圭介君の車初めて乗った時も思ったけど、車何か芳香剤置いてる?良い匂いするけど?」っとずっと気になってた事を聞いた。
「いや、俺、芳香剤置いて無いけど、たぶんディーラーが車点検する時、中もクリーニングしてくれるみたいで、その時に芳香スプレーかけてるんじゃない、俺あんまり匂いとか気にしないし。美穂も香水付けて無いよね?」
「うん。私あんまり匂いが強いの苦手で、たまに、柔らかい匂いの香水をする位だけど。圭介君って匂い気にしないんだね。」
「うん。だけど、たまに、女性で化粧の匂いと強い香水の匂いが混ざる、あの香りだけは駄目かも。」
「確かに、同性の私でも近寄りたく無いかも。」っと、そんな話をしてると、海岸に到着。
「あー、あー、もう着いちゃた。もっと美穂とドライブしたいから、今年は、絶対湘南行こうな。」っと私の方を見て言う
(あっ、圭介君の車で行くのか。目立ちそうだな)っと思ってると、
「あれ?美穂、俺とドライブ嫌?俺の車嫌ならレンタカー借りるよ。」っと心配そうに私の顔を見て言う。
「ううん。嫌じゃないよ。圭介君の車でドライブ楽しみにしてるよ。」っと笑顔で返す。
「ありがとう。美穂。じゃあ、本題に入るね。」っとシートベルトを外し、何やらごそごそと始め、
「美穂、お誕生日おめでとう。これ、俺の気持ちだよ」っと満面の笑顔で細長い箱のような物を渡した。
「ありがとう。圭介君。中見て良い?」っと笑顔で返して聞く。
「もちろん、気にいってくれると良いな。」っと嬉しそうに言う。
丁寧に包み紙を剥がし、箱を開けると、シルバーのお花の形をしたネックレスでお花の中には、誕生石のアクアマリンのブルーの石が光っていた。
「綺麗。お花のデザインも可愛い。」っと呟くように言うと、
「美穂、3月生まれで、アクアマリンが誕生石だから、誕生石は御守りになるって聞いたから、身に付けておけるネックレスにしたけど、気にいってくれたかな。」
「うん。ありがとう。圭介君、嬉しい。」っと目を潤わせて言う
「喜んでくれて、良かった。美穂付けてあげるよ。」っとネックレスを私の首に、掛けようとしたので、髪を寄せる。
(なんか、男の人にネックレス付けられるのってドキドキする)っと私。
(やばい、美穂のうなじにドキドキして、手震える)っとお互い違う意味でドキドキしながら
「美穂、着けたよ。どう長さ大丈夫?」っと後ろから圭介君が声を掛ける
「うん。大丈夫だよ。どう圭介君、似合うかな?」っと圭介君に聞くと
「似合うよ。綺麗だよ。美穂」っと照れながら言う。
「美穂、もう1つプレゼントあるんだけど、後部座席に。」っと後ろを見る。 「何?」っと聞くと
「美穂が取りに行って。」っとちょっと不機嫌な声で言ったので、?マークをしながら、後部座席のドアをあけると、ポスターらしき物が丸まってあった
「圭介君、これ?」っと聞く
「うん。それだよ。」っとまだ不機嫌そうな声で返す
(なんだろう)っと思い、ポスターを開くと、秀ちゃんの新CMのポスターにサインがしてあった。
(嘘、秀ちゃんのCMポスター、それもサイン入り嬉しすぎ)っとにやけながら見てると、前から、じっーっと見てる圭介君が
(いけない。いけない圭介君がまた機嫌悪くなる)っと思い真顔に戻り
「これ?どうしたの圭介君?」っと助手席に戻り聞く。
「秀ちゃんが、今日スカイハイの仕事で一緒だったから、俺の彼女に渡してって受け取ったの。」っとまだ不機嫌な声で
「圭介君、秀、高井君に私がファンなのを言ったの?」(さすがに彼氏の前で名前呼びは、駄目だよね)っと思い聞く。
「うん。まあね。」っと面白くなさそうに答える。(言いたく無くても言わざるえない状況だったからな)っと思い、俺は、美穂の方を見ると、丸めたポスターをじっーと見てた。(やっぱり嬉しいんだろうな?)っと又落ち込みそうになった俺に、
「高井君にありがとうって言っておいてね、やっぱり圭介君の親友は、優しいね。」っと真っ直ぐな目で見る美穂。
(俺ってバカだな。美穂は、俺を俺と見てくれる大切な存在なのに、親友にやきもちやくなんて。)っと思い
「ああ。秀ちゃんに言っておくよ。彼女凄く喜んでたって」っと意地悪に言うと、慌てて
「そんなに私が大袈裟に喜んで無いよ。」っと言ったから
「冗談だよ。ありがとう美穂」っと言い、眼鏡を外し、抱きしめたら、
「えっ?ありがとうって言うのは、私だよ。圭介君のネックレスに高井君のサイン入りポスターまで貰ったんだから。」
「そうだな。美穂、秀ちゃんで良いよ。美穂の親友も俺、里穂ちゃんって呼んでるから。」っと言う圭介君に。
「うん。」っと答えた。
「あー、でも俺の目の付く所に、秀ちゃんのポスター貼らないでね、美穂の部屋とかに。」
「はい、はい、分かったよ。押し入れに入れておいて、見たい時に見るよ。」
「うーん?まっ、その程度なら、良いか。」っとちょっとは納得した様子の圭介君が、抱きしめたまま、
「美穂、好きだよ。」
「私も圭介君が好きだよ」っと長いキスをする。
「あー、帰りたくないな。でも明日も仕事だし。美穂もだよね。」
「うん。私の所は、新年度も始まってるから、色々と忙しいんだよね。」
「そうなんだね。あっ、新年度と言えば、来月からスカイハイの新しい冠番組始まるんだ、金曜の夜11時半から12時まで「スカイハイの部屋」って言う番組。」
「そうか、じゃあ、これから、ますます忙しくなるね。」っと寂しそうに言う。
「うん。でも美穂にLINEは入れるから、ちゃんと返してね。」っと笑顔で言う。
「うん。もちろんだよ。」っと笑顔で返す。
「さて、帰りますか。」っと眼鏡を掛けて、しぶしぶエンジンをかけ、駅へと向かった。
駅に到着。
「じゃあ、圭介君、運転スピード出し過ぎないで気をつけて帰ってね。」っと心配そうに言うと、
「大丈夫だよ。ちゃんと安全運転で帰るから、無事に着いたらLINEするから、美穂帰ったら、ごちそう用意してあるんだろう?おばさん料理上手だから。」
「うん。それと、私の好きなチーズケーキ用意してあるみたい。」
「そうか、じゃあ、食べ過ぎには注意しなよ。」
「うん。じゃあ、」っと助手席を降りようとすると、
「忘れもの」っと腕を引き寄せて、キスをした。
「確かに大事な忘れものだったね。」っとクスッと笑った。
「そうだよ、これが無いと俺明日から仕事頑張れ無いよ」
「うん。じゃあね。圭介君。」っと助手席を降り、圭介君の車を見送るのを見て、車に乗り、
(良い誕生日だったな。このネックレス今日は、このまましていよう。それにしてもまさか、秀ちゃんのサイン入りポスターまでっと又にやけてしまう。お腹空いたな。ごちそう楽しみ)っと思いながら、自宅へと帰った。
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