2日目【読書タイム】

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2日目【読書タイム】

柔らかい芝生のある、中央公園に寝そべってする日光浴。それは暖かいお日様が、私と濃厚なキスを交わしているような、ゆったり幸せな時間です。 持ってきた本をバッグから出します。外で行う読書タイムは格別です。 それに、今日持ってきた本は、なんだか本屋さんで大きく取り上げられていたので、雰囲気買いをして買った、スペシャル本。 タイトルは、『異世界で釣りをしていたらヒロインが釣れたんだが俺はそのままリリース』です。 満を辞して刊行された、えびふらい先生の渾身の一作です。これは、異世界転生シリーズに一石を投じることとなった、ヒロイン不在の釣り小説で、主人公はリヴァイアサンやヨルムンガルドなどを釣り上げていくお話です。 タイトルから既に面白いので、とても楽しみにしていました。 さて、早速読書タイム開始です。 えっと、なになに……北海道札幌市で大の釣り好きだったサラリーマンが、サメを釣り上げようとしてそのまま海に落下、と。なるほど、新しい転生の仕方ですね。そこから、異世界の海に転生して、ヒロインの女の子に出会うが、気にせず釣りの旅に。なんとマイペースな主人公でしょう。そして……。 ──むっ、これはっ!? 「な、な、なっ!?」 私は本を叩き捨てました。本に書いてある内容が余りにも酷いので、衝動的になってしまったのです。 「……何が、何が……っ!!」 それが、この一文です。 『人間以外の生き物は、生きてて楽しいのかねぇ。かわいそうに』 「楽しいわーーーーーー!!!!!」 私は右手のプラズマカッターで、その書籍を粉微塵に切り裂いてやりました。そして、左手の中から火炎放射器を取り出し、かけらも残らないくらい燃やし尽くしました。 「人造人間だって! 楽しいわ! なーにが人間じゃないとかわいそうだ! お前がかわいそうだ! この! ばーか! ばーか!!」 消し炭になった書籍を踏みつけ、唾を吐き出してやろうと思いましたが、まだその機能は実装されていないので、妄想の中で楽しむことにしました。 これで、社会に蔓延る有害図書を一つ、葬りされたわけです。正義執行、気持ちがいいです。 「ふっふっふっ、どうだ、人間以外の力、思い知ったかっての……って、あれ、なんか炎止まらない。あ、そっかここ芝生……あっ、あぁっ!? し、しまったぁ!!? だ、誰か消防車!! 消防車呼んでえぇ!!!」 中央公園はその後すぐに鎮火されたものの、芝生は焼け焦げ、そして私は市役所からの通達で、中央公園の出禁と、罰金五十万円を支払うことになりました。
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