悔しい

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食事が終わり、食後のお茶ーーセイロンティーのようなお茶だった。を飲んでいると、「あの〜」と声をかけられる。 「お二人は、どんな関係なんですか?」 甘ったるい声に沙彩が視線を向けると、声をかけてきたのは、先程まで壁際にいた食堂の女性達だった。 「ん〜。そうだね。友人かな?」 マリスが答えると、女性達の目の色が変わったのがわかった。 女性達はマリスを取り囲むと、次々に質問を繰り返したのだった。 「お兄さん、その制服は騎士団の方ですよね? 恋人はいないんですか〜?」 「お兄さんのようなカッコイイ人が、独り身なわけがないですよね〜?」 「恋人はいないよ。今はまだ、ね」 苦笑しているマリスの言葉に、女性達は黄色い悲鳴を上げる。 そんなマリスと女性達を眺めながら、沙彩は食後のお茶を堪能する。 (やっぱり……) 食堂に来た時からそんな気はしていた。やはり、彼女達はマリスを狙っていたのだ。 マリスを自分のものにしようと画策しているのだろう。 (だから、睨まれていたのね) 食堂に来た時から、女性にちょいちょい睨まれていたが、やはりマリスと一緒にいるのが気に入らなかったらしい。 マリスもはっきりと断わればいいものをと、沙彩がウンザリしてため息を吐いた時だった。 それを耳ざとく聞いた女性の一人が、マリスの腕にしがみついた。 「ねぇねぇ。こんな娘よりも、私達と遊びましょうよ」 肩に手をかけてくる女性達に困惑しつつも、マリスは「ごめんね」と女性達の腕を振りほどこうとする。 「俺にはサーヤを守る役目があるからね。君たちの相手は出来ないんだ」 「え〜。そんな〜」 「あの、こむす……あの子がそんなに大切なの?」 女性達に睨まれて、目を逸らしている沙彩に気づいているのかいないのか、マリスは「ああ」と返す。 「俺にとって、サーヤは特別なんだ。かけがえのない大切な存在でね」 向けられたエメラルド色の瞳にドギマギしていると、女性の一人が沙彩に向かってきた。 「貴方、騎士様とどういう関係なの?」 「どういう関係と言われても……」 どう答えたらいいのかと、沙彩がオドオドしていると、その態度が相手の神経を逆なでしたようだった。 「何も言えないの? じゃあ、何ともないのね」 「それは……」 沙彩が言いかけた時だった。沙彩に詰め寄っていた女性の肘が、丁度、沙彩の近くを歩いていた給仕の女性に当たった。 トレーにジョッキのようなコップを持っていた給仕の女性は、バランスを崩して沙彩に向かって飲み物をこぼしたのだった。
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