保健室と葵

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昨日も感じたけど、やっぱり葵の反応は見ていると面白くて自然と悪戯心が擽られる。 態と頬杖をついて眺めてやると、旋毛が見えるくらい深く俯いていた。 その頭に触れて撫でたらどうなるんだろうかと好奇心で葵の方に手を伸ばしたところで、 デスクの方から咳払いが聞こえてきては、咄嗟に手を引っ込めた。 葵を眺めるのに夢中で忘れていたが、あくまでここは保健室。そして西田もいる。 後ろを振り返ると西田がキツく睨んできたのできていた。別に悪いことをしている訳じゃないのに、今自分がしていた行動に後ろめたさを感じて背筋が凍った。 「あの……。と、亨くんは好きなお花とかありますか……?」 西田と亨の間に流れている張り詰めたものを中和するかのように、途端に葵が顔をあげたかと思えば、好きな花を聞けれてドキリとする。少し期待するような葵の眼差し。 花と言ったらなんだろうか……特にこれと言って興味をそそられるものがないだけに返答に困っていた。 「んーなんだろう。葵は?」 困った時の質問返しに、葵は待ってましたと言うように真っ先に「僕は……シクラメンが好きです」と頬を染めながら話してきた。 「へぇーどんな花なんだろう」 先ほどの人生の終わりかのようや沈んでいた雰囲気と違う。ふわふわとしていて、楽しそうな葵の姿を見ると自然と心が和む。 「綺麗で。あ、写真いま探しますね。」 葵は嬉しそうにスマホを取り出すと写真を探し始めた。亨自身、花自体には興味はなかったが自然と自分も嬉しくなるのが心地いい。 亨は待っている間、自分のスマホを弄りながらペットボトルのお茶のキャップを開けて口をつける。すると、スマホの上部画面にメッセージの通知が届くとその差出人は西田であった。目の前にいる上に画面を弄っているのを見られているので既読して返信を返さざるおえない。 『保健室来て。絶対に逃げたら許さないから』 『わかった』 亨はそう返信を返し、西田の方に目線を移すと一昨日は既読無視をしたし、ここ数日西田の所には顔を出していなかったので、自分のいない家中で好きな人が別の人と盛り上がってたら男だろうと機嫌を損ねるのが西田だった。葵で心が落ち着いたかと思えば西田のご立腹な態度で現実に引き戻される。 それ以来、葵が楽しそうに写真を見せてきたが、西田の視線が気になって葵の話の半分も頭に入ってこなかった。初めて西田の存在が鬱陶しいと思った。
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