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花壇の男
「なあ、あれ見ろよ。」
放課後、帰宅しようと階段を下りると踊り場
の窓に男子生徒三人が屯していた。絶対生活指導の教師に目を付けられているであろう短髪の金髪の男を中心に赤茶髪でピアスを小鼻に付けてる奴と黒髪パーマの男が左右に並んでいる。
こういった明らかな不良の前を横切るのはどうも抵抗がある。亨自身は教師と交際という禁句を犯しているが不良でもなんでもない。かといって真面目と言われたらそうでもない。
兎に角、一目置かれてるやつにすれ違いもしたくないのは当然だ。
階段の途中で足を止め、三人の様子を窺った。
「美化委員の大藪じゃん」
「あいつ、あんま教室こねーよな。花見てニヤニヤしてるよ。キショ」
「ちょっとさ、あいつからかってみね?なんか面白そうじゃん」
赤茶髪と金髪の奴らがゲラゲラと下品に笑っては明るい方がそう提案する。
黒髪はただその2人のやり取りを気怠げに眺めているだけだった。
赤茶の方が「賛成」と言うとその場を去って行った。
男達が去った後、窓の方へ近づき外を覗き込むとグラウンドが見え、校舎の真下の花壇に人がいた。
男達が言っていたように花壇にいる男は嬉しそうな顔をして花を眺めていた。
ふと、昼休みに保健室前ですれ違った男だということに気づく。
遊び心のない髪に地味な眼鏡。
間違いなかった。
ひょろひょろとモヤシみたいに華奢で頼りなさそう。
自分の第一印象通り内気なタイプなんだと不良の男達の反応から良く分かった。
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