廃村とロケット

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 そして今日ミチルを見つけ、落とし主だと気づいた娘はロケットを渡すために取りに帰り、父親はそれを受けて土砂崩れ時に助けることができなかった謝罪をしに来たというわけであるーー  一同が愕然とその話に聞き入る中、父親は申し訳なさそうに 「ーー引き返すよう言っていれば、あんなことにならなかったのに。申し訳ない……」  そして娘は恥ずかしそうにロケットをミチルに差し出した。ミチルは腰を落とし 「ありがとう、大事なものを守っててくれて」  娘の頭に手を置いた。そして徐に立ち上がり 「そんな事情がありながら助けて頂いてありがとうございました。謝る必要はないと思います。だから悔いずに過ごしてください」  そう言って涙を浮かべ微笑んだーー ☆  その後地元へ戻ると皆一様に感慨深い表情で、廃村での出来事は伏せて別の話題を記事にすることを決めた。  翌日、早速新たな調査のために部屋で集まる。  スズは大きく伸びをして 「なんかびっくりだったわね、本当に超常現象体験したかと思ったわよ。でも良かった、良い話で幕が下りて」  ショウタはスマホでニュース記事を見つつ 「そうだな、まさかあんなオチになるとは」  エミルは失笑して 「あん時のアリスの顔っ、ぷふっ」  それにムスッとしながら 「エミルだって泣いてたもんっ!」  そして、ショウタの目にある記事が留まる。 『2年前の長崎土砂災害事故、遺族団が西州テレビに勝訴』  その記事を読み進めると遺族代表の林松アカネという人のコメントが。 『昨日の夕、娘のミチルが旅立ちました。でも生きているうちに報告できたので、きっと報われたと思います』 「え……これ、一体どういうことだーー」
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