廃村とロケット

2/11
前へ
/11ページ
次へ
 目をギラっとさせエミルめがけて突っ込んだ。 ーードタッ!  逃げようとするも椅子ごと倒され 「()って……何やってんだお前。や、やめろばかっははは!」  またくすぐり地獄が始まろうとしていた。その時、ガチャリと扉が開く音。  現れたのは(じん)ショウタ。低身長を気にする小ぢんまりしたリーダーだ。  はしゃいでいる二人に呆れ顔で 「この暑い中何やってんのさ、元気だなぁ」  隙を見てアリスを向こうに突き放すと服をパタパタさせ 「こいつがくすぐってきたんだよ。ったく汗かいてきた」  アリスは、のそりと起き上がり 「おぉっカミ降臨だ! なら仕方ない、今日のとこは勘弁してあげるけど覚えてなさい」  それはこっちのセリフだと一蹴するエミル。 「カミって呼ぶな、ジンだ。小学校の頃からどれだけ馬鹿にされてきたことか……。  それはそうと、もうみんないるのか?」  ハルキがキーボードを打つ手を止め 「いえ、スズさんがまだですね」 「まぁ始めるか。たぶんいつものだろうし、そのうち来るだろ」  というのはファンクラブ対応である。ミスキャンパスのためファンクラブがあるのだ。  するとアリスはエミルの胸をじっと見つめ 「スズちゃん人気だもんねぇ……おっぱいでかいし」  エミルはムスッとして 「こっち見んなっ、お前も似たようなもんだろ!」  すると何故かショウタはため息を漏らして 「小さい……。そうだよな、身長高いもんな。スズより低い俺……世の中理不尽だ」  エミルはフォローしてやらねばと慌てて 「い、いやまぁ大事なのってサイズじゃないだろ。中身だよ中身!」 「そうだな……さて、早速始めるか」  こうして定期ミーティングが始まった。  ここでは各メンバーが超常現象の類の話を持ち寄り、合議して調査対象を決めることになっている。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加