廃村とロケット

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 その動画とは舞台セットのような廃村が映り、撮影者が散策するように歩いていく。しかし1分程で悲鳴が入って終わるという奇妙なもの。  その奇妙さとリアリティゆえ廃村を探し当てようとする者が続出した。しかし誰も探し当てることができず、やがて拡散され過ぎた情報は尾ひれが付き出所も分からない状況に。挙句、次々と動画が削除されてしまったのだ。次第に諦めムードとなり(ほとぼ)りは冷めた。  なんとこの動画撮影者がそのアイドルらしいのだ。  ハルキは冷静な面持ちで 「なるほどですね。つまり例の怪動画の真相を解明でき、ロケ地も分かる一石二鳥の案件……」  ショウタは慌てて 「ちょっと待って、本当に本人なの?」 「間違いないわ、元動画の日付は間違いなく2年以上前のものだったから」 「まじか……でもなんでそんなことをスズに?」 「それが少し複雑な話で、詳しい話を本人から聞いてほしいのよ。みんなこの後の予定は?」  ということで一同はカラオケボックスへ場所を変えることに。  部屋に入るとアリスは真っ先にエアコンの温度をマックスまで下げ、嬉しそうにソファに転げると 「天国だぁっ! アリスはオレンジジュースね」  エミルはカバンをポンっと椅子に投げて 「こんな下げんなよ、もう冷えてるだろ。ってかドリンクバー行く気全くないのなお前」 「だってエミル優しい子だもん、だからアリスのもお願いっ」 「はぁぁ、わあったよ。ハルキは?」 「僕は水で」 「水かよ……ショウタは何がいいの?」 「俺も行くよ、スズは電話で呼んでくれてるし、来る人のも用意しなきゃだろ」 ☆  その後、部屋で皆が涼んでいると例のアイドルが現れた。清純そうな見た目。  スズはその娘を座らせ紹介する。メンバーもそれぞれ紹介を終えると 「ミチル、悪いけどもう一度話してくれるかしら?」  ミチルは手をもじもじさせて頷くと
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