廃村とロケット

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「はい、ロケットです。妹のコハルは一緒にアイドルを目指していたんです。でも持病が悪化して夢をあきらめざるを得なくなって……。  その時、お互いの誕生花を押し花にして中に入れたロケットを交換したんです。いつも一緒に頑張ろうって。残念ながら3年前に他界してしまいましたが……。  だから私にとってはとてもとても大切な物なんです……」  ミチルのスマホで動画をチェックしていたハルキは 「あの、聞きたいことが二つほどあるのですが」  ミチルは思いつめた表情のまま 「……なんでしょうか」 「動画の悲鳴はいったい?」 「あれは私の声です。あの時ユリに……あ、えっと一緒にいたアイドルの子なんですけど。彼女に脅かされて声が出たんです。ロケットはたぶんその時に落としたんだと思います」 「なるほど。動画の途中、ここの人影はいったい誰ですか?」 「え……人影、ですか?」  ハルキはミチルに切り出した画像を見せる。そこには微かにだが人影が確認できた。 「そんな……あの時クルーは車の側にいましたし近くには、この直後に後ろから脅かしに来たユリだけしか」  思わず皆も画面を覗き込む。ショウタは目をしかめ 「前見た時気づかなかった……」  アリスは固まりながら 「もしかして幽霊なのかな……」  ハルキはふむとやや俯き 「いずれにせよ調査しないとわかりませんね」  ショウタはメロンソーダを一気に煽り 「そんな大切な物なら探してあげたいよ。それに廃村撮影できれば株も上がるしね。みんないいだろ?」  全会一致で調査することが決定した。 ☆  迎えた調査2日目。ミチルも同行している。  場所は長崎県山岳地域、周辺はかなり人っ気がなく寺院や民家などの家屋はかなり離れて点々としていた。  1日目は周辺へ聞き込み調査を行い下調べと地理確認を行った。
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