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おそらく当時ミチルさんが通った道は土砂崩れの後、既存の道に合流させる形で復旧されたんです。
その証拠に上りの道は途中まで一緒ですが、古い地図は途中から違う方向へ伸びています」
そこでミチルが咄嗟に
「あっ、確かにあの時通った道はもう少し傾斜があった気がします」
「それはおそらく、寺院の裏へ続く3本目の道だったのでしょう。僕たちは気づかずに当時無かった道でひたすら探していたんです。
これじゃ見つかるわけもありません」
これに一同が希望に満ちた表情へ変わる。ショウタは意気込んで
「これで決まったな、明日は寺院から旧道路を捜索するぞ」
☆
ーー迎えた最終日。
住職に聞いたところ裏道となる未舗装裏道があり、古くに作られた近道という。土砂崩れによりかなり被害を受けたらしいが、途中までは下っていけるそうだ。
また裏道周辺一帯は私有地らしく、今の所有者は2代目となり完全放置という。所有主からは立ち入り許可をすぐにもらうことができた。
しかし気になる言葉を所有者が残した。それは赤い印より先は所有者不明で立ちいらない場所だということ。
こうして一行は車1台分ほどの幅員の裏道を徒歩で進むことに。そして休憩を挟みつつ2時間半が経過した時。
「おいっあれ見て……」
とエミルが指さす先には古い小屋が。ハルキが咄嗟にカメラを向けて撮影を始めた。驚く中、ミチルが徐に近づいていく。
「こ……これです。あの景色間違いありません!」
奥に進むほど見えてくる廃村の姿。入る途中には例の赤い印。少し傾いた石碑のような佇まいで先端が赤く塗られている。それを見たエミルは
「どうするよ、行くか?」
アリスは先陣を切り
「行こうよ、だって形見探さないとでしょ」
ショウタは覚悟を決め
「形見を探すのはそこに行かないとできないしな」
ミチルは希望を胸に、ありがとうございますと皆に頭を下げた。
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