384人が本棚に入れています
本棚に追加
「騙された」分析結果
本日は2023年5月2日に結果発表になりました妄想コンテスト、「騙された!」について統計を示します。
今回は結果発表が祭日にあたるため、ゴールデンウィーク終了後に発表になると思っていらっしゃった方は多いかと思います。
けれど発表は1日前倒しとなり、お題の通り「騙された!」結果発表だったのではないかと思います。
お題からすればミステリー祭りになりそうですが、いったいどのような罠やトリックが仕掛けられていたのでしょうか。
読ませていただいたところ、全体的には詐欺グループに関係する「騙された!」が多かったように思います。
もしかするとルフィ一味(アニメではなくリアル)の印象が創作に影響を与えていたのかもしれないと思いました。
また最近は応募総数は多かったですが、このような何らかの仕掛けが必要になりそうなお題はなかなか難しく、応募総数は少なくなったのではないかと思いました。
では、さっそく本題に入りたいと思います。
それではまず、注目の作者様は――。
ななせハチミツさんの「ケンちゃんとばあちゃん」が大賞!!(今年選ばれていない、っておっしゃっていましたが、今年初の選出が大賞とはお見事です! 叙述トリックが上手な作者様だけに嵌った感がありましたね!)
砂たこさんの「空角人(うつつのと)」が準大賞!!(この作品は圧倒的な世界観と迫りくるぞわぞわ感がたまりませんでした。作者様の筆力真骨頂って感じの作品なので予感がありました!)
コサキサクさんの「テーマパーク詐欺島へようこそ!」がトンデモ賞!!(設定が面白く、展開も楽しめる作品でした。記憶にも記録にも残るってことでおめでとうございまーす!)
そして優秀作品が――。
アズマさんの「サンタさんの正体」
瑠璃 晶さんの「前略、ばあちゃん」
高木アイコさんの「目に見えぬ毒のように」
秋月 一成の「詐病~西成弁護士の事件診療録~」←ここにおったわ!
岩佐岩岩さんの「騙されたお話」
たやすもとひささんの「ブランク・ガン(空砲)」
と、今回もたくさんの作者様が選出されておりました。
涙を飲むことになった作者様は、妄想コンテストのチャレンジを最後にすることなく、次回の「最後の〇〇」の発表を心待ちにしましょう。
そして今回、エブリスタのコメントとしましては――。
「“上手に騙される”読書の快感を存分に味わえる、楽しい選考となりました。」
とのことで、選考側に楽しんでもらえるなんて、なんとも嬉しい創作活動ですね。
「構成や緩急など、物語そのものでしっかり楽しませてくれる作品も多く、非常にハイレベルな回だったように思います。」
考えてみると、物語が読者をだますのか、登場人物がだまし合いをするか、というふたつの方向性があったようですね。
それでは分析の結果に移りたいと思います。
【分析対象:192回「騙された!」】
【作品数 589作品】
うーむ、予想にたがわず応募作品数は激減したようですね。前回の3分の2以下となりました。
選考委員としては予想の斜め上の騙しを期待しつつじっくり読まれたのではないかと思います。ですので余裕が感じられた今回の選評コメントは納得です。
そして受賞作は、賞金枠3作品、佳作5作品、超短編1作品、続きが読みたい賞1作品、それにトンデモ賞1作品、優秀作品が22作品ということでぜんぜん騙され感のない黄金律でした。
では分析結果発表に移ります。
じゃじゃん!
【全体の受賞比率 5.6%】
今回は18作品あたり1作の選出でした。
※ここでいう「受賞」とは、大賞・準大賞・入賞・佳作・超短編賞・続きが読みたい賞・トンデモ賞および優秀作品を指し、ピックアップルーキー賞は除いています。
では最初に全応募作品のジャンル別の割合を示します。横軸がジャンルで縦軸が割合(パーセント)になります。
今回のジャンル予想ですが――。
「騙された!」ということですので、もうこれはミステリー一択! 外したら負け!! と明言したいと思います。ほかはもしかするとコメディが増えたかもしれません。
さて、実際のところはどうでしょうか。
では、赤が昨年(2022年)の平均、青が今回のコンテストのジャンル分布になります。
じゃじゃん!
おおっ! 今回は珍しく予想通りでした。ミステリーが普段の倍以上の割合となり、またコメディも多かったようです。鉄板のヒューマンドラマはほぼ同等、他は若干減少といった感じでした。
以前にミステリーをテーマとした5分シリーズの刊行がありましたが、もっとミステリーの受け皿が多くなるといいと思いますね。
ただ、ミステリーというのは過去作とネタが丸かぶりになってしまう可能性がありますので、出版の妥当性という点において出版社側はリスクを負う可能性がありますからね。そういう意味で刊行がなかなか難しいジャンルなのかもしれません。
では次にジャンル別の受賞割合を示します。
じゃじゃん!
今回もさまざまなジャンルからバランスよく選出がありました。応募数が増えたコメディは残念ながら選出がありませんでした。一方で不遇のジャンルである恋愛は健闘していたようです。
実数とすれば鉄板のヒューマンドラマが9作品で、続くのがミステリーと恋愛で5作品ずつとなりました。今回はミステリーは選出率も悪くなく、そこそこミステリーの回だと言えたのではないでしょうか。
★
では、次に紹介させていただくのが、「文字数ごとに分けた場合の、応募作品の割合」になります。
こちらも昨年のコンテストの平均文字数と比較して示します。赤が昨年の平均、青が今回のコンテストの分布になります。
じゃじゃん!
ここでX軸の1から14までの数値は、読書時間、つまり文章の長さを示しています。1分あたり600文字です。
ただし、「読書時間1分」は「100から600文字」、「読書時間14分」は「7801から8000文字」と範囲が狭くなっています。
今回は応募作品の文字数は全体的に多めになると思ったのですが、実際のところは1分と14分作品はやや少なめとなりました。ですから全体的に均てん化の傾向がありました。
前回の「告白」で力を使い果たした方も多かったのではないでしょうか。
こういう時はもしかすると文字数多めの作品の選出率が高くなるのかもしれません。
では、今度はそれぞれの文字数(読書時間)ごとで、受賞率がどう違うのかを示します。
じゃじゃん!
今回もバランスよく、おおむね文字数に比例した選出率となっていました。予想はしていましたが、やはり騙すとなればそれ相応に手が込んでいた方が面白みがあったのではないかと思います。
今回、連載中は【29作品】、過激表現の応募作品は【10作品】、規定外は【9作品】ありました。
ちなみに今回は過激表現から2作品の選出がありました。珍しいですね。
★
【超・優秀作品】
さて、今回の超優秀作品のご紹介です。
☆彡瑠璃 晶さんの「前略、ばあちゃん」
『食品業界に就職したと思ったら、実際は……。そしてなぜかロールプレイングゲームの世界に転生!? そこで始めたお仕事は――。なんだかほっこりするショートショート、主人公の幸せを願いたくなりました!』
☆彡高木アイコさんの「目に見えぬ毒のように」
『実の母を殺した青年はボールペンを折られたことが動機だという。けれど取り調べをしていると、青年の独白から歯車のずれが浮き上がり……。全身に毒が回っていくさまにぞわぞわ感が止まらないイヤミスストーリーです!』
……ふふふ、お気づきな方もいらっしゃるのではないかと思いますが、今回の超優秀作品のお二方は、今年のブレイク予想をさせていただいた作者様になります。
しかも前回選出されていなかったおふたりにかぎって、今回ぴたりとはまっていたもようです。もしかしたらこの秋月、創作以外の何かに開眼したかもしれません。
→夜、秋月な、意外な気づきあるよ←
おめでとうざいます、ラピスラズリー・クリスタルさんとハイツリー・ラブガールさん!(←その呼び方そろそろやめよう笑)
★緊急告知★
明日5月3日午後10時、スペースで夜空の散歩者さんとオープン対談をいたします! その後フリートークの飲み会に突入しますので、もしよろしかったらご参加ください!
本日は以上になります。
最初のコメントを投稿しよう!