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「最後の〇〇」分析結果
本日は2023年5月17日に結果発表になりました妄想コンテスト、「最後の〇〇」について統計を示します。
今回は意匠を凝らしたお題、〇〇シリーズでしたが、すべての物事には始まりと終わりがあるでしょうから、どんなストーリーであっても対応できそうな、つまり応募総数の多くなりそうな回だと思いました。
そういえば以前に「はじめての〇〇」というお題がありましたので、時々見られる過去のお題の対となるお題だったと思います。
ちなみに個人的には「最後の〇〇」を「〇〇の最後」だと思って物語を書き始めてしまいました。その時点でラスボスを倒し、最終回になってしまいそうでした。
では、さっそく本題に入りたいと思います。
それではまず、注目の作者様は――。
蒼生光希さんの「これが最後のブランコ」が入賞!(昨年彗星のように現れた作者様ですが、どれも心にしみる物語です。今年も間違いなくご活躍ですね!)
潜水艦7号さんの「最後のもう一度を、あなたに」が佳作!(しいたけを摘み取りに海中深くから浮上してきましたね。そろそろ本気モードでしょうか!?)
ゆづさんの「椎名くんは譲らない」が佳作!(ゆづさんのコメディおそるべし! っていうか椎名くんのボケと藤川さんの突っ込みがすごい! そして佐藤さんもお楽しみ♪)
そして優秀作品が――。
新城 珠姫さんの「最後の選択」
たやすもとひささんの「最後の天使」
仁科佐和子さんの「天国の門」
にゃんたさんの「パスワードが分かりませんっ!」
和葉さんの「私はお姉ちゃん」
味志ユウジロウさんの「IMMORTAL KARMA」
と、やっぱり多くの作者様が選出されておりました。
涙を飲むことになった作者様は、執筆を嫌いにならずに、桜が咲くことを願いながら、次回の「桜を嫌いな理由」の発表を心待ちにしましょう。
そして今回、エブリスタのコメントとしましては――。
「状況や関係、物事の“最後”そのものを切り取るのか、あるいはひとつの区切りとしてその先を描くのかで、読み口が大きく変わるテーマでした。」
まあ、そうですよね。個人的に読ませていただいた作品の中では、物語が進みにつれ、終わりの匂いが色濃くなっていく作品が多かったように思いました。
「受賞作には、押し付けられた“最後”の不条理さや理不尽さを描き、読者を巻き込むような勢いのある作品が目立ったように思います。」
これって、受賞作品を選んだ人とコメント書いている人は別、ってことですよね。ちなみにこの選評を書いているのは全作品読んで最初の審査をしている選考委員で、受賞作品を選んでいるのはまた別の人(上の人)と思われます。
それでは分析の結果に移りたいと思います。
【分析対象:193回「最後の〇〇」】
【作品数 800作品】
今回は○○シリーズにしては応募総数が多く、新型コロナ自粛期間で応募総数が一番高かった年の平均ぐらいの作品が応募されてきたようです。
内容のかぶりが少ない回だと思いますので、選考委員はお題に対する創作のバリエーションを楽しめたのではないでしょうか。
そして受賞作は、賞金枠3作品、佳作5作品、超短編1作品、続きが読みたい賞ナシ、それにトンデモ賞1作品、優秀作品が23作品ということでした。「最後の〇〇」だけに、続きを読みたくなるような物語はあまりなかったのでしょうか。
では分析結果発表に移ります。
じゃじゃん!
【全体の受賞比率 4.1%】
今回は24作品あたり1作の選出でした。なかなか厳しいですね。
※ここでいう「受賞」とは、大賞・準大賞・入賞・佳作・超短編賞・続きが読みたい賞・トンデモ賞および優秀作品を指し、ピックアップルーキー賞は除いています。
では最初に全応募作品のジャンル別の割合を示します。横軸がジャンルで縦軸が割合(パーセント)になります。
今回のジャンル予想ですが――。
「最後の〇〇」ということですので、ヒューマンドラマにホラーが多かったのではないかと予想しました。ほかはもしかすると、恋愛でのお別れストーリーがそこそこあったかもしれません。
さて、実際のところはどうでしょうか。
では、赤が昨年(2022年)の平均、青が今回のコンテストのジャンル分布になります。
じゃじゃん!
おおっ! 今回はヒューマンドラマが増えていたのは予想通りだったのですが逆にホラーは減っていましたね。SFが普段の倍近い応募比率となっており、そうなりますとディストピアの世界を描いた物語が多かったのではないかと思います。
普段より明らかに増えたジャンルはこの2つで、ほかは軒並み横ばいから減少といったところでした。
では次にジャンル別の受賞割合を示します。
じゃじゃん!
今回もさまざまなジャンルからバランスよく選出がありました。けれど応募総数の多いヒューマンドラマの選出率はかなり低く、これはなんとなく最近の傾向を反映しているように思いました。
実数とすれば鉄板のヒューマンドラマが6作品で一番なのですが、続くのが現代ファンタジーとコメディで5作品ずつとなりました。恋愛、青春、SF、ホラー、ミステリーが3作品で並んでおりました。コメディ、ミステリー、ファンタジー系の奮闘ぶりがうかがえた回でもありました。それに大賞がコメディという、きわめて珍しい回でしたね。まさかここでの「不遇のコメディ」発言が運営の耳に……!?
個人的にはコメディブームが巻き起こってほしいですが。
★
では、次に紹介させていただくのが、「文字数ごとに分けた場合の、応募作品の割合」になります。
こちらも昨年のコンテストの平均文字数と比較して示します。赤が昨年の平均、青が今回のコンテストの分布になります。
じゃじゃん!
ここでX軸の1から14までの数値は、読書時間、つまり文章の長さを示しています。1分あたり600文字です。
ただし、「読書時間1分」は「100から600文字」、「読書時間14分」は「7801から8000文字」と範囲が狭くなっています。
今回は応募作品が多かったせいか、あるいは一発ネタが多かったのか、とにかく平均の文字数は少なめに傾いていたようです。
最近では14分作品の応募比率があまり多くなく、今年に入ってからのコンテストはすべて14分作品の比率が昨年平均を下回っていました。
ここ数年、世の中の動画コンテンツはどんどん短くなる傾向にありますが、もしかしたら小説の世界もそんな傾向が強まってきているのかもしれませんね。
では、今度はそれぞれの文字数(読書時間)ごとで受賞率がどう違うのかを示します。
じゃじゃん!
選出の比率でいきますとこんな感じでしたが、最近はなんだか10分前後の作品が一番、労力対効果が高い気がしています。
今回、連載中は【26作品】、過激表現の応募作品は【17作品】、規定外は【5作品】ありました。
過激表現から1作品の選出がありました。珍しいですね。
★
【超・優秀作品】
さて、今回の超・優秀作品のご紹介です。
☆彡仁科佐和子さんの「天国の門」
『技術革新のおかげで人々は永遠の命を手に入れた。人生に満足した人間はみずから「天国の門」をくぐり最後の雫となる。けれど死を選ぶことに強い疑問を抱いた主人公が取った選択は――。最後で明らかになる世界設定に、なるほどと納得させられる壮大な一作です!』
☆彡味志ユウジロウさんの「IMMORTAL KARMA」
『不老不死が実現した世界。仮想空間で生活する主人公が恋人に現実で会おうといわれるが、その恋人の正体、能力、そして会うことの目的は――。複雑に絡み合う舞台設定に、臨場感のある駆け引き。不老不死の業とは? メッセージ性が強くて濃厚、とにかく引き込まれる作品でした!』
今回はどちらも壮大なSFで、しかも不老不死という設定なのですが、作者様ごとの作風の違いが楽しめる二作となっております。世の中にもっとSFのコンテストがあればいいのになぁと思わされました。
本日は以上になります。
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