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「桜を嫌いな理由」分析結果
本日は2023年5月31日に結果発表になりました妄想コンテスト、「桜を嫌いな理由」について統計を示します。
今回は作品の応募時期に合わせたシーズンもののネタでしたが、さすがに「桜」だけでは応募総数が爆上がりしてしまうと予想したのでしょうか、かなり条件を絞った難題を提示してきましたね。
このように絞られれば絞られるほど、その使い方の工夫が問われる回になったのではないかと思います。
さまざまな作者様の作品を読ませていただきましたが、皆様、この理由付けには結構苦労されているなぁという印象を受けました。そこは選考委員側の思惑通りだったのかもしれないですが、逆に応募総数については絞ったお題だというのに相当な数があり、その点は目論見が外れたのではないかと思います。
予想外の審査の苦しみに、「桜」ネタが大嫌いになった選考委員達なのではないかと思いました。
ちなみに登場人物の名前は、「さくら(漢字記載を含む)」がダントツ1位で、2位が「吉野」、3位が「染井」、4位が「梅(子)」だった気がします。ほか、「でんぶ」もいくつかございました。
では、さっそく本題に入りたいと思います。
それではまず、注目の作者様は――。
木下すなすさんの「佳乃先輩は今日も咲かない。」が入賞!(お久しぶりと思いきや賞金枠。妄コン参加しないともったいないっす!)
ななせハチミツさんの「わたくしの下の屍体」が佳作!(この語り手が誰なのか……それに最後まで転がされる感覚がたまりませんでした!)
池田春哉さんの「君に真摯に億目惚れ」が佳作!(さすが春に強し、ですね! でももしかしたら常春の2023年になるかも!?)
潜水艦7号さんの「桜の木は嫌いだが」が超短編賞!(連続しいたけおめでとうございます! 食べきれない際には干し椎茸にしてください!)
そして優秀作品が――。
夜空の散歩者さんの「忍び寄る魔女」←ことしご活躍!
アズマさんの「桜色のキャンバス」
蒼生光希さんの「桜嫌いの姫」←連続選出!
東 里胡さんの「桜風花」
秋月 一成の「桜と僕と咲良さん」←ここにおったわ(笑)
和葉さんの「桜吹雪にまみれる」←連続選出!
味志ユウジロウさんの「千年桜~Destiny's Bloom~」←連続選出!
NEURAL OVERLAPさんの「乱れ桜の散火が疼く」
と、やっぱり多くの作者様が選出されておりました。
そして皆様、たくさんのご祝辞コメント、どうもありがとうございました!
この場をお借りして厚く、熱く、暑く御礼申し上げます!
涙を飲むことになった作者様は、作家のたまごとしての矜持を持ちつつ、次回の「たまご」でひと皮むけることを期待しつつ発表を心待ちにしましょう。
そして今回、エブリスタのコメントとしましては――。
「結末に関わらずどこか陰のある作品が大半だったのは、咲き誇る美しさよりも散り際の儚さが愛されがちな桜という花ならではかもしれません。」
「テーマに捻りがあるゆえか、いつも以上に掴みやオチに捻りを利かせた、構成力のある作品が寄せられました。」
ということで、 同じ題材であっても光のあて方を変えると参加してくる作品の作風が変わるんだ! ひと捻りを入れたからムーンサルトが新月面宙返りになったんだ! という運営側のどや顔が目に浮かびます。(意味不明)
とにかく難しいお題を捻りだしたぶん、作者側がより頑張ったという感触があったのではないでしょうか。
そして受賞作は、賞金枠3作品、佳作5作品、超短編1作品、続きが読みたい賞1作品、それにトンデモ賞ナシ、優秀作品が23作品ということで、花びらが飛んでても、トンデモは出ませんでした。
それでは分析の結果に移りたいと思います。
【分析対象:194回「桜を嫌いな理由」】
【作品数 888作品】←なんか縁起がいい!
応募総数は結構多い印象だったのですが、実際に数えてみるとこんなにあったようですね。限定的なお題を出され、むしろ燃え上がってしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
けれど選考委員は何百回も「桜が嫌い……桜大嫌い……サグラダ・ファミリアは2026年完成予定……」と読まされて病んでしまいそうだったのではないでしょうか。(ー部誤記あり)
おそらく幾度となく桜の季節に別れを経験したり振られたりし、屍体が掘り返され、毛虫が降ってきて刺されたことでしょう。
一方で桜にまつわるうんちくには相当詳しくなったと思います。ソメイヨシノはクローンだという豆知識は結構使われていたようですね。
では分析結果発表に移ります。
じゃじゃん!
【全体の受賞比率 3.7%】
今回は27作品あたり1作の選出でした。なかなか厳しいですね。
※ここでいう「受賞」とは、大賞・準大賞・入賞・佳作・超短編賞・続きが読みたい賞・トンデモ賞および優秀作品を指し、ピックアップルーキー賞は除いています。
では最初に全応募作品のジャンル別の割合を示します。横軸がジャンルで縦軸が割合(パーセント)になります。
今回のジャンル予想ですが――。
「桜を嫌いな理由」ということですので、悲恋の恋愛系、死体が埋められるホラー系、それに毛虫が落ちてくるコメディ系が多かったのかもしれません。(ほぼ偏見)
さて、実際のところはどうでしょうか。
では、赤が昨年(2022年)の平均、青が今回のコンテストのジャンル分布になります。
じゃじゃん!
なんと今回はヒューマンドラマ・恋愛・青春といった妄想コンテスト王道ジャンルがさらに伸びており、この三ジャンルだけで6割近い割合となっておりました。その他のジャンルは軒並み減少しておりました。ホラーとコメディは減っておりますので、死体ネタ、毛虫ネタは避けた方が意外と多かったのではないでしょうか。
また、今回はジャンル未設定の作品が比較的多く見受けられました。「桜」という春の匂いのするお題に誘われて、初めて参加した方も多かったのではないかと思いました。
ちなみに恋愛ファンタジーの作品は「0」でした! 新ジャンルは妄コン組にはきわめて受け入れられていない、もしくは認知されていないジャンルのようです。
そういえば最近ホラー作品の応募が少ないなぁという気がしたのですが、今年に入ってからホラーの応募作品の割合が昨年より多かったのは一度だけで、他六回は昨年を割り込んでいました。もしかすると狙い目のジャンルになっているのかもしれません。
では次にジャンル別の受賞割合を示します。
じゃじゃん!
今回は割合でいえば、ミステリーと歴史・時代が際立っている回になりました。応募総数が多かったためか、それ以外のジャンルからの選出率はかなり低くなっておりました。(ただし歴史・時代は10作品のうち2作品の選出)
実数とすれば、青春が7作品、恋愛が6作品、ヒューマンドラマとミステリーが5作品ずつでした。ということで、最近のヒューマンドラマの厳しさを物語る回となりました。ヒューマンドラマは応募総数が多いため、似た内容の物語が集中しやすいのではないかと思います。
★
では、次に紹介させていただくのが、「文字数ごとに分けた場合の、応募作品の割合」になります。
こちらも昨年のコンテストの平均文字数と比較して示します。赤が昨年の平均、青が今回のコンテストの分布になります。
じゃじゃん!
ここでX軸の1から14までの数値は、読書時間、つまり文章の長さを示しています。1分あたり600文字です。
ただし、「読書時間1分」は「100から600文字」、「読書時間14分」は「7801から8000文字」と範囲が狭くなっています。
今回は応募作品が多かったせいか、あるいは新規参加の方が多かったのか、全体的に文字数は少なめの傾向となっていました。14分作品はやはり今回も少なめで推移しているようです。
では、今度はそれぞれの文字数(読書時間)ごとで受賞率がどう違うのかを示します。
じゃじゃん!
選出の比率でいきますとこんな感じでした。文字数の少ない作品(1~2分)は280作品、全体の3割以上を占めていましたが、ことごとく弾かれるという不遇な扱いを受けたようです。
今回、連載中は【48作品】、過激表現の応募作品は【23作品】、規定外は【4作品】ありました。
過激表現から1作品の選出がありました。
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【超・優秀作品】
さて、今回の超・優秀作品のご紹介です。
☆彡蒼生光希さんの「桜嫌いの姫」
『牢屋で囚人として捉えられている若君と再会した姫。時代に呑み込まれたふたりの運命をとても切なく感じます。けれど最後には――。初めて書いた時代ものということですが、そう思わせないほどの素晴らしい筆力でした。個人的にすごく琴線に触れた物語で、もしも優秀作品だったら絶対に紹介させていただきたいと思っていました!』
☆彡NEURAL OVERLAPさんの「乱れ桜の散火が疼く」
『寺院の境内での何気ない会話から、一気に物語の世界に引き込まれます。歴史ものかと思いきや、ファンタジーのいろんな要素が散りばめられていて、ワクワクしながら読ませていただきました。しかも「完」の後にも――。物語の世界が物語だけでは終わらない匂わせ方に、続きがないかなーなんて期待させられてしまいます』
今回はなんとなく歴史カラーの強い2作になりましたが、いずれも雰囲気が感じられ、作者様の筆力が感じられる良作だと思いました。
なんか、妄想コンテスト選出予想をしていた時には外していたのに、やらなくなった途端に選出予想が当たるんですけど……。
本日は以上になります。
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