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「運命のふたり」分析結果
本日は2023年10月25日に結果発表になりました妄想コンテスト、「運命のふたり」についての統計を示します。
今回はお題からしてドラマチックな物語に溢れていそうな回となりましたね。
ちなみに今回は三宅香帆さんコラボということで、大賞と並びで三宅香帆賞まで設けられた、プチ特別回となったようです。
そのためか発表は当初の予定通り、普段の妄想コンテストの3週間遅れとなりました。でもたまにはこんなコラボイベントがあっても楽しいですね。
それにしても、運命のふたりって食指がそそられるお題ではあるものの、物語を自分で考えるとなったら大変なことに感じます。
だけど、そんな運命を感じさせるふたりを描ききれた時の達成感といったら何にも代え難いものでしょう。
では、さっそく本題に入りたいと思います。
それではまず、注目の作者様は――。
今野 綾さんの「ナルガ・ミナガ」準大賞!( 読ませていただいた時、この作品の幻想的な雰囲気にさっそくのまれました。そして胸が苦しくなるラスト。選出されるだろうと思っていた、納得の一作です!)
そして優秀作品が――。
池田春哉さんの「アメリカまで降りない」
花木 葵音さんの「今こうしてる」
砂たこさんの「運勢のふたり」←連続選出!
と、今回はフォロワーの作者様の選出は控えめの回となりました。
一方で今回のコンテストに運命を感じることのできなかった作者様は、「そうだ、次の結果発表へ行こう!」と開き直って2週間後を楽しみにしていただけたらと思います。
そして今回、三宅香帆さんの熱いコメントがありました。ちょっと勉強になる内容ですね。
一方でエブリスタのコメントとしましては――。
「人と人との関係性にフォーカスしたお題だけに、特に感情表現やエモさにおいてクオリティの高い作品が多く集まりました。」
と、お題の狙い通りに感動的な物語が多かったのではないかと思いました。また、
「“運命の赤い糸”をテーマにした作品は予想通り多数ありましたが、それだけに設定や展開を工夫していないストレートな作品は印象に残りにくかったです。」
とコメントされてしまいました。
じつは発表前に「読ませていただいた中では、とにかく『赤い糸』を用いた作品が多く目立ちました。真っ先に閃くネタでもあり、めっちゃ被るギミックでもありましたね」と原稿を書いていたのですが、エブリスタに先に言われてしまいました。
最近は多くの作者様の作品を読ませていただいているせいか、エブのコメントに納得することが多いだけでなく、原稿が被りがちになっています。
それでは分析の結果に移りたいと思います。
【分析対象:202回「運命のふたり」】
【作品数 689作品】
今回は恋愛にコミットしそうなお題だったので、かなりな応募数になるかと思ったのですが、蓋を開けてみると平均的な数値に収まったようです。たぶんお題の難しさが影響していたのではないかと思います。
そして受賞作は、三宅香帆賞1作があり、あとは賞金枠3作品、佳作5作品、超短編賞1作品、続きが読みたい賞1作品、トンデモ賞なし、優秀作品が22作品で、意地でも合計33作品に収めたみたいです。
では分析結果発表に移ります。
じゃじゃん!
【全体の受賞比率 4.8%】
今回は21作品あたり1作の選出でした。
※ここでいう「受賞」とは、大賞・準大賞・入賞・佳作・超短編賞・続きが読みたい賞・トンデモ賞および優秀作品を指し、ピックアップルーキー賞は除いています。
では最初に全応募作品のジャンル別の割合を示します。横軸がジャンルで縦軸が割合(パーセント)になります。
今回のジャンル予想ですが――。
さすがに今回は「恋愛」、「青春」、そして「BL」と予想したいと思います。
では、赤が昨年(2022年)の平均、青が今回のコンテストのジャンル分布になります。
じゃじゃん!
おおっ、今回は予想をはるかに上回る恋愛作品の多さとなりました。ですので恋愛の一人勝ちかと思ったのですが、ファンタジーや青春も善戦していたようです。
運命の運命の相手は恋人以外にも、友人であったり、スポーツのライバルであったり、家族であったり、あるいは運命の人が複数いるようなひねりを利かせた作品もありました。
やもすると普遍的な恋愛ストーリーに陥りそうなお題から、どうやって独自性を生み出そうとしていたのか、作者様の苦労が感じられた回でもありました。
ちなみに新ジャンルの恋愛ファンタジーですが、恋愛に応募された199作品のうち59作品が恋愛ファンタジーでした。最近は恋愛ファンタジーも市民権を得てきて、ファンタジーの3割くらいを占めるようになってきているようです。
では次にジャンル別の受賞割合を示します。
じゃじゃん!
今回もさまざまなジャンルからバランスよく選出がありました。割合とすればファンタジーがやや良かったようです。
実数では恋愛が8作品でトップ、それからファンタジーとヒューマンドラマが7作、青春とホラーが4作、あとは0~1作となっていました。
しかも恋愛の受賞作品8作品のうち、3作品は恋愛ファンタジーでしたので、今回はファンタジーの回と言えたのかもしれません。
普遍的な恋愛よりもファンタジーの恋愛の方が独自性がありそう、つまり選出される可能性が高そうって思ってしまいます。
★
では、次に紹介させていただくのが、「文字数ごとに分けた場合の、応募作品の割合」になります。
こちらも昨年のコンテストの平均文字数と比較して示します。赤が昨年の平均、青が今回のコンテストの分布になります。
じゃじゃん!
ここでX軸の1から14までの数値は、読書時間、つまり文章の長さを示しています。1分あたり600文字です。
ただし、「読書時間1分」は「100から600文字」、「読書時間14分」は「7801から8000文字」と範囲が狭くなっています。
今回は文字数は全体的にかなり多く、特に14分作品が恐ろしく多い回となりました。ここまで伸びたのは前代未聞ではないでしょうか。
ドラマチックな運命を描ききるために、ギリギリの文字数まで攻める作者様の情熱をひしひしと感じました。一方で選考委員はかなり胃もたれを起こしていたのではないかと思います。
では、今度はそれぞれの文字数(読書時間)ごとで、受賞率がどう違うのかを示します。
じゃじゃん!
結果発表を見れば一目瞭然かと思うのですが、今回の選出作品は文字数多めに偏っていました。クオリティが高い作品を選出したい三宅香帆さんと、少ない文字数でも一定の割合で選出させたいエブリスタとの微妙な駆け引きがあったのではないかと、勝手に想像してしまいます。
今回、連載中は【49作品】、過激表現の応募作品は【36作品】、規定外は【10作品】ありました。
ちなみにこれらからの選出はありませんでした。
【超・優秀作品】
さて、今回の超優秀作品のご紹介です。
☆彡花木 葵音さんの「今こうしてる」
『主人公は男っぽい女の子だけど、男子に髪型が似合うと言われて女子を意識するようになってしまいます。まだ稚い女子の複雑な感情がありありと描かれていました。男子がふたり登場しますが、運命の相手はどっち? 方言も可愛らしいです!』
☆彡砂たこさんの「運勢のふたり」
『自分に幸運が訪れれば、誰かは不幸に見舞われる。その逆も然り。そんなふうに運勢の天秤に乗せられたふたりがいるらしい。そしてその相手を見つけてしまうのですが――。発想が面白いうえ、物語が進むにつれドロドロとゾワゾワと狂気がフルコースで味わえます。美味しい一作でした!』
いつのまにか今年も残すところあと2ヶ月ちょっととなりました。時の流れって早いですね。
今年の妄想コンテストも、残すところあと5つ。
「月夜の遭遇」「化ける」「犬」「久しぶり」と、あと何か。
それでは2023年、一気に最後まで駆け抜けましょう!
本日は以上です。それでは次回は2週間後に!
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