妄想コンテスト統計学総論・其の二

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妄想コンテスト統計学総論・其の二

こちらの内容につきましては★エブリスタの秘密★の107から108ページの内容をまとめ、かつ加筆したものになります。 まずは妄想コンテスト分析の結論をお伝えします。 ① 大賞から佳作の作品は、優秀作品と比べて統計学的に有意に文字数が多い。 ② コンテストの審査するチームによって、少ない文字数でも受賞できる場合とそうでない場合がある。 ③ チームは四チームがローテーションを組んでいる。(あくまで推定) ④ 妄想コンテストにおける一つのチームの審査人数は2人か多くても3人。(あくまで推測) ⑤ ダメ元でも最低1000字は書こう! 検証の対象としたのは、「取り合い」、「花言葉」、「お金がない」、「それからの日々」そして「負けられない戦い」になります。 ただし、超短編賞とピックアップルーキー賞については、検証から除外しています。 賞金枠は三作品、佳作が五作品、続きが読みたい賞が一作品、トンデモ賞が一作品、そして優秀作品が22作品となっています。が、「負けられない戦い」だけは優秀作品の数が19となっています。(理由は不明ですが) 統計的な手法はマンホイットニーのU検定です。 「① 大賞から佳作の作品は優秀作品と比べて、統計学的に有意に文字数が多い。」という結論の理由ですが。 まず、賞金枠、それ以外の受賞作、それから優秀作品の三群において文字数に差がないかどうかを検証してみました。 なぜなら以前に申し上げましたように、賞金枠の受賞作については文字数が比較的多いものが揃っている印象を受けたからです。 そのさいには「続きが読みたい賞」と「トンデモ賞」については、選考の視点が異なるのかもしれないので、比較対象からは外させていただいています。 結果としましては、ジャジャン。 賞金枠の作品は平均文字数は6484文字 佳作の平均文字数は5997文字 優秀作品の平均文字数は4942文字 となっていました。 これらを統計処理してみますと、 賞金枠の受賞作品と佳作の間には文字数には有意な違いは見られません。(サンプル数が少ないのが原因かもしれませんが) 一方、佳作以上の受賞作と優秀作品の間の文字数の違いは99%以上、違いがあるという結果でした。 選出されている作品は応募作品の中でも比較的文字数が多いものが高い確率で受賞しているようですが、佳作以上と優秀作品の間にも、その違いは見られるようです。 これらの結論は結局のところ、「上位に行きたければしっかり文字数を揃えてきましょう」ということだと思います。 短編とはいえ、高い完成度が要求されるということですね。 次に「② コンテストの審査するチームによって、少ない文字数でも受賞できる場合とそうでない場合がある。」ですが。 実は妄想コンテスト「取り合い」の結果発表があった時に気付いたのですが、この回は、割と字数が少ない作品が多く上位に来ていたように思ったのです。 そこで、本当にその印象があっているかどうか、統計学的な手法を用いて今回の受賞作品の字数について検証を試みることにしました。 ここで申し上げておきたいのですが、応募作品全体においての文字数の多い少ないについては検証されていないこと、それから、以前のコンテストで受賞した作品の文字数がその後変わっている可能性については否定できないことがバイアスとして挙げられます。 まずはこれらの作品の文字数を取ってみますと、平均値は順番に4052、6210、6602、5627、4390となっております。平均の文字数、かなり違いますよね。 さらに、「③ チームは四チームがローテーションを組んでいる。」についてですが。 上記について、「取り合い」の受賞作品文字数と、それ以前3回分の文字数には、統計的に99.9パーセント以上の確率で有意に異なるという結果が得られました。 ところが重要なことに、今回の文字数は4回前の「負けられない戦い」の文字数とは明らかな差を認めませんでした。 そこでふと思ったのですが、今回の4回前が文字数が少ないとすると、それ以前はどうなのかと。 ここについては細かい検証はしていないのですが、ぱっと見た限り8回前の「目が覚めたら白」については文字数の少ない作品もかなり上位に来ています。そして、明らかに全体の平均の文字数も少ないようです。一方、それ以外は文字数が8000字ギリギリが多いように思いました。 「取り合い」では 、花本かなみさんの「取り合いなんていたしません」が、「目が覚めたら白」では、黒猫さんの「真理の部屋」が少ない文字数でも佳作を受賞しています。 そのように、受賞平均文字数が少ない回では、文字数が少なくても佳作以上に選出される可能性があると言ってよいでしょう。 もしこの検証が真実だとすれば、エブリスタで審査のローテーションチームは四つあることになり、そのうちの一つは、少ない字数を好んでいるチームということが言えるのではないかと思います。 妄想コンテストの開催のペースは2週間ごと、そして審査期間が6週強であることを考えますと、四チームというのは納得がいくローテーションパターンだと思われます。 また、「④ 妄想コンテストにおける一つのチームの審査人数は2人か多くても3人。」ですが。 10周年記念イベントの際に、妄想コンテストの審査人数の質問がありました。 「複数で審査をしている」と「コンテストによって人数は異なる」というのがその答えでした。 しかし、質問を読み上げてから答えるまでのそのほんのわずかの間に、どう答えようかという迷いのような瞬間がありました。 だいぶリハーサルを行っていたとのことですが、そのわずかの間に、深層心理を見たような気がしました。 そして、出た答えが「複数で」だったのです。「複数で読んでます」「うん、複数ですね」のような会話があったのを記憶しています。 業務に携わっている人間の人数が少ないと、会社としては規模が小さい印象を与え、どうしてもみすぼらしく思われてしまうものです。 本当は「大勢で」とか「全員で」対応していると言いたいところですが、ユーザーを第一に考えるエブリスタが嘘をつくはずなどありません。 そして、落としどころとして出した答えが「複数で」であれば、2人もしくは3人というのはかなり的を射ている解釈だと思います。 ただ、最終的にピックアップしたものの中で順位をつけているのは、代表取締役になられた坂井さんをはじめ大人数で行っているかもしれません。 そして、最近定期的に刊行されている5分シリーズのお題も既に先までいくつか決められていて、ピックアップされた作品の中から審査と同時に目星をつけているのかもしれません。 効率的に業務を遂行するのであれば、その様な方法を取るのが妥当でしょう。 代表取締役の坂井さんは妄想コンテストの応募作品はだいぶ読まれているようですし、ご自身も匿名で応募してらっしゃったんです。「でもほんと通らないよなぁ……」とおっしゃってました。(9周年パーティーの時の話です) 最後に、「⑤ ダメ元でも最低1000字は書こう!」ですが。 それでは、いくつ以上の文字数が受賞できているのでしょうか? この5回分の統計の中では、全体の中での受賞文字数の最低値は1011であり、それぞれのコンテストの優秀作品以上の最低文字数は、1011、1025、2768、1859、1095となっております。 どうやら優秀作品以上にノミネートされるには少なくとも1000字は必要と考えられます。 超短編賞でも、だいたい1000字から2000字前後となっておりますよね。 振り返ってみますと10周年イベントでは「1000文字以内」のコンテストがされていましたので、それは通常の妄想コンテストでは1000字以内の作品というものを重要視していなかったという事実の裏返しなのかもしれません。 この解析結果が正しいかどうかについては、さらに昔や未来について検証し、注意深く見守っていきたいと思います。 追加検証ができましたら、また報告させていただきたいと思います。
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