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第121話 パピィの死闘に駆けつけるサムジャ
パピィは焦っていた。主人であるシノからセイラの事を頼むと言われていたのに翼の生えたダエーワに攫われてしまった。
パピィは急いで追いかけようとするも、獣型のダエーワに立ちふさがれてしまう。
今はこんな奴を相手している場合じゃない。急いで追いかけないとと疾駆するがすぐに獣型のダエーワに回り込まれてしまった。
動きが速い。まともに走っても無駄だ。そう感じとりパピィが地面に沈み込んだ。影に潜り更に影移動のスキルで逃れる。
『kぁjfkjlkfじゃkljふぉkぁsjfさl!!』
その時獣のダエーワが咆哮した。あまりの声の大きさによって周囲の間が割れ地面に亀裂が走り一部が建物が崩れ落ちていく。
「――ッ!?」
咆哮の易経をパピィも受けていた。たとえ地面に潜っていても音は地面を通して伝わる。さらに言えば犬のパピィは聴覚が優れている。
故に獣のダエーワの咆哮に耐えられなかった。集中力が切れスキルが解けた。地上に再び姿を見せるパピィだがその足下はフラフラだった。
『んjぁっfこぁのそいwrふぉlkkぁんfkぁsんfヵs,えろh!』
ダエーワが飛びかかり瞬時にパピィの身を爪で十二回切り裂いた。疾風のような速さだった。
「ガルゥ!」
傷つきながらもパピィは踏ん張り影を伸ばして反撃した。しかし槍のように鋭くさせた影が空を切る。獣のダエーワの動きは速い。
中々捉えることが出来ない。かといって逃げ切れない。そして気がついた時、獣のダエーワが目の前に迫っていた。
角が光っていた。そして栗を開き咆哮する。電撃の乗った咆哮だった。
「キャンッ!」
パピィが体を迸らせながら勢いよく吹き飛ばされた。背後には壁が迫っていた。流石にこのまま叩きつけられたら無事ではいられないかもしれない。
だが――ここでやられるわけにはいかない。パピィが歯を食いしばりダメージに耐えようとした。
だが衝撃は柔らかい感触に変わった。何か温かい物に包み込まれた感覚。
「大丈夫かパピィ?」
「――アンッ!」
◇◆◇
二体のダエーワを追っている途中で獣のダエーワと抗戦しているパピィを見つけた。
電撃混じりの獣の咆哮で吹き飛んで行く姿が見えた。このままでは壁に叩きつけられる。俺は急いで回り込み飛んできたパピィを受け止めた。腕がビリッと来たがそれよりももふもふな感触が心地良い。
回転しながら衝撃を分散させ着地する。俺の腕の中でパピィが、アンッ!、と鳴き顔を舐めてきた。はは、こいつめ。
せっかくだから少しもふっておいたが今はそれどころじゃないのも確かだ。
「セイラを追ってきたんだがな。とにかくまずこいつを倒すぞパピィ」
「……アンッ! アンッ!」
俺が共闘してアイツを倒そうと提案するとパピィが激しく吠えだした。パピィは俺に訴えてきた。速くセイラを追ってくれと。
そして申し訳無さそうな顔も見せた。守れなかったことを気にしているのか。
「パピィ気にするな。アイツらの内一体を食い止めただけでも大したものだ。
「アンッ――アンッ!」
パピィが真剣な目で訴えてくる。意志は硬いようだ。それに確かにセイラだってうかうかしてられる状況じゃない。
「わかった。ただし――居合忍法・影分身!」
影分身で俺の分身を出した。チャクラの消費が大きいからそう何体も出せないが一体なら問題ない。
「頼んだぞ分身。パピィを援護してやってくれ」
「わかった」
「パピィ分身が助けになると思う。俺はこのままセイラを連れ去った最後のダエーワを追う」
「アンッ!」
「速く行ってやれ」
「あぁ俺も頼んだぞ」
そして俺は分身に後を託して先を急いだ――
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