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それが、ふたりの恋人としての別れだった。
三十一年前、ふたりは終わっていたのだ。
それから由美子は、大悟の作品を読んだ。
彼の部屋で読んだ思い出も同時に甦る。
美砂が消えたあと、由美子は作品のラストについてこう語った。
この主人公は、自分のもといた時代に戻る。
そのときに、なぜ自分が旅行をすることになったのか理由がわかるのではないかと。
だが、本の結末はそれには触れられていなかった。
自分か思い描いていたラストを当てられたから、と言うよりは、多分遠い未来に読む由美子のことを考えてくれたのかもしれない。
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