エピローグ

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それは、夕方のニュース番組だった。 美砂は、すでにこの世にはいなかった。 おり悪く、強盗と居合わせた美砂は殺害されたのだ。 犯人は、それから間もなく逮捕されたとキャスターが伝える。 旅行会社の手違いで、一日出発がずれた美砂は、帰宅したところを強盗と居合わせたのだ。 偶然、美砂が旅行に行くことを知り、侵入した強盗。 そして、彼女はその瞬間に時間旅行者となったのだろう。 楽しみにしていた、旅行をするために。 そして、今回美砂は自分がもとの時代に戻ることで殺されることも知っていたのかもしれない。 神様からのご褒美。 彼女はそう言っていた。 なぜ、ふたりが出会えて同じ時間旅行をしたのか、理由はわからない。 だが、旅行を楽しみにしていた美砂と同じバスに乗り合わせたのだろう。 由美子は、携帯電話の待ち受けのなかで笑う美砂の顔を見つめると、泣き崩れた。
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