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レイトショーが終わり、アパートに着いたのは、日付が変わる少し前だった。
わたしがアパートのエントランスに入ると、お隣の浅倉さんが、メールBOXの前に…。
『うわぁ!浅倉…さん?』
「……。」
『どうしたんですか、こんな時間に?』
「驚かせちゃってすみません。何でも…ないです…。」
明らかに顔色が悪い。
そして、手に何か持っている。
『浅倉…さん?』
わたしは、失礼だとは思ったけれど、浅倉さんが手に持っていた紙を覗き込んだ。
今日は遅いんだね。
金曜日だからって、遊び回ってちゃダメだよ。
君は僕の物なんだから。
愛してるよ。
A4のコピー用紙。
そこに、殴り書きされた文面。
背筋がゾクッとし、わたしは気付くと後退りしていた。
『これって…。』
「なんとなく、見当はついてるんですけど…。」
浅倉さんが呟く。
わたしはその時はじめて、彼女が小刻みに震えていることに気が付いた。
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