お隣さん

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「わたし、線香花火…好きなんだ。」 ロウソクと線香花火、そして、少し離れた外灯からの僅かな明るさで照らされた彼女の横顔は、とても綺麗だった。 7月中旬、早朝。 『悠、早くトイレ行ってお着替えしちゃってねー。』 「まだ…悠君寝てるし。起きてないし…。」 寝室のダブルベッドで、パジャマのままゴロゴロしている悠(ゆう)。 5歳、こども園(幼稚園型)の年中さん。 愛するわたしの息子で、唯一の家族だ。 『お母さん今日お仕事だから、悠君サクサクお願いします。』 「は~い、分かりました。」 キッチンとリビングを行ったり来たりしながら言うわたしに、悠は渋々トイレに向かった。 わたしの名前は、越川智(こしかわとも) 25歳。 シングルマザー。 幼なじみだった夫は、3年前に交通事故で他界。 それからは、1LDKのこのアパートで、息子の悠と二人暮らしだ。 「お母さん、今日は悠君お魚ゴハンでお願いします!」 『了解。じゃあ座ってねー。』 さぁ、今日も1日が始まる。
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