お見合い

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「今日はね……。」 「今日は、ホテルの中の日本料理屋さんで食事をして。それから、やっぱりホテル内のカフェで二人でお茶を飲んで…。お見合いといっても、堅苦しい感じのじゃなくて、食事会みたいな感じだったけど。」 言葉を選ぶように、ゆっくり話す柚希さん。 『そっか…。』 「うん。」 沈黙が流れる。 「それで、ホテルからその足で実家に行って、すぐに両親に話して断ってきた。多分、先方にも連絡が行っている筈…。」 『えっ!もう…?』 「うん。こういうのは、早い方がいいと思って…。両親には、ハッキリ結婚は考えてないって言った。お見合いも、もうしたくないって。」 『そう…。』 「以上です。報告終わり。」 『そっか…。うん、了解です。』 『ありがとう。』 「ううん…。わたしが、最初にきちんと断っていればよかったことだし。ダメだね、わたし…。」 髪を耳に掛け項垂れる柚希さん。 「でも…。」 『うん?何…?』 「でも……こんなダメなわたしでも…智さん、これからも一緒にいてくれる?恋人でいてくれる?」 捨てられた子犬のような目をした柚希さんが、懇願するようにわたしに訊ねた。
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