わたしで、よければ…

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「ちょっと、向こう行ってるよ…。」 「分かった。ありがとう。」 軽くお辞儀をして、桜さんのご主人は息子君を抱っこして歩いて行った。 「ゆきちゃんゆきちゃん、誰、誰?お友達…?」 「えっ!あぁ…うん…。」 暫く固まっていた柚希さん。 悠にパーカーの裾を引っ張られ、こちらに戻って来た様子。(汗) 「えーと……こちら、ゆきちゃんのちっちゃい頃からのお友達で、さくらちゃん。」 「こんにちは。越川悠です。6歳です。」 「こんにちは、悠君。ゆきちゃんのお友達の、さくらです。挨拶上手ですね。」 桜さんは、悠の目線に合わせるようにしゃがみ込むと、言った。 「こちらは、悠君のお母さんで、智さん。えーと……アパートのお隣さんで、普段から、その…仲良くしてもらってるの。」 『越川智です。はじめまして。』 「はじめまして。」 ようやく自己紹介を終え、改めてお互いお辞儀をした。 「……。」 「……。」 『……。』 何話す? さて、どうしたものか? すると、 「ゆきちゃん、フリスビーの続きやろう。ほら、こっちこっち!」 「えっ?ちょ、いや…待って悠君、わぁー!智さんゴメン。」 沈黙を破り、悠が柚希さんを連れて行ってしまった。 「……。」 『……。』 “あの、わたし何を話せば…? 誰か、助けて下さい。(泣)”
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