348人が本棚に入れています
本棚に追加
「悠君は、柚希のことが大好きなんですね…。」
沈黙を破ったのは、桜さんだった。
『えっ…?はい…大好きですね。そう見えますか?』
「見えます。悠君、凄く楽しそう♪」
可愛い丸眼鏡に、黒の大きめなリュックを背負い、長いブラウンの髪を高い位置で1つに纏めている桜さん。
桜さんと、二人がフリスビーで遊ぶ姿を、ただ眺めていた。
「柚希、あんな風に笑えるんですね…。あんな表情、わたし…はじめて見ました。」
『えっ?あんな風にって、その…』
「初対面でこんなこと、不躾なのは充分承知しています。でも……柚希のこと、よろしくお願いします。」
『えっ…。』
「お願い…出来ますか?」
『桜さん…。』
桜さんが、わたしの方を向き、小さく頭を下げた。
『分かりました。わたしで、よければ…。』
「よかった…。ありがとうこざいます。」
それから暫くして、戻って来たご主人と抱っこを交代した桜さんは、笑顔で帰って行った。
最初のコメントを投稿しよう!