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悠が差し出した我が家の合鍵を、胸の前で握り締める柚希さん。
お風呂から出てラフな服装なのに、ポニーテールに、少しだけ潤んだ瞳が、あんまり綺麗でドキドキしてしまう。
「はいゆきちゃん、ティッシュ。お母さんもゆきちゃんも、すぐ泣くから…。」
「ハハハハ…ゴメンゴメン。でもゆきちゃんは、いつも嬉しい涙だから。そこは、いいでしょ?」
「そうなの?よく、分かんないけど…。」
二人の掛け合いも、もう見慣れたものだ。
年の離れた姉弟みたい。(笑)
『じゃあ、わたしからはこれ…。』
小さな紙袋を柚希さんに。
「開けていい?」
『どうぞ…。』
「わぁ、キーケース!」
『うん。今柚希さんが使ってるの、結構傷んでたでしょ?それなら、ちょうど今鍵も付けてもらえるし、いいかな?…って。』
「ありがとう、智さん。早速付け替えちゃおうっと♪」
「ボクも手伝うー。」
「本当に?じゃあ、これを…」
「うんうん…」
また、仲良し二人組が楽しそうに鍵を付け替えてます。
『悠の鍵は、まだ入学してからだから、一度返してね?』
「……。」
『悠、聞いてる?』
「はーい。分かりました。」
渋々、キーホルダーの付いた自分の分の鍵をわたしに手渡す悠でした。
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