これからも…

6/11
前へ
/331ページ
次へ
悠が差し出した我が家の合鍵を、胸の前で握り締める柚希さん。 お風呂から出てラフな服装なのに、ポニーテールに、少しだけ潤んだ瞳が、あんまり綺麗でドキドキしてしまう。 「はいゆきちゃん、ティッシュ。お母さんもゆきちゃんも、すぐ泣くから…。」 「ハハハハ…ゴメンゴメン。でもゆきちゃんは、いつも嬉しい涙だから。そこは、いいでしょ?」 「そうなの?よく、分かんないけど…。」 二人の掛け合いも、もう見慣れたものだ。 年の離れた姉弟みたい。(笑) 『じゃあ、わたしからはこれ…。』 小さな紙袋を柚希さんに。 「開けていい?」 『どうぞ…。』 「わぁ、キーケース!」 『うん。今柚希さんが使ってるの、結構傷んでたでしょ?それなら、ちょうど今鍵も付けてもらえるし、いいかな?…って。』 「ありがとう、智さん。早速付け替えちゃおうっと♪」 「ボクも手伝うー。」 「本当に?じゃあ、これを…」 「うんうん…」 また、仲良し二人組が楽しそうに鍵を付け替えてます。 『悠の鍵は、まだ入学してからだから、一度返してね?』 「……。」 『悠、聞いてる?』 「はーい。分かりました。」 渋々、キーホルダーの付いた自分の分の鍵をわたしに手渡す悠でした。
/331ページ

最初のコメントを投稿しよう!

348人が本棚に入れています
本棚に追加